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エピソード8 奥義

そこは、何も無い白い空間

少女は、白い部屋に一人座っていた


少女以外の人間は、誰も居ない

否、居ないのではない

居なくなったのだ


何人もの子供が居た

しかし、今はもう

一人しかいない


白く広い部屋を

少女は見つめていることしかできない









断末魔を上げて魔物ゲルは倒れた

何匹もいた魔物ゲルは全て倒した


「なに!?」


警備兵が応援を呼ぶ


倒れた魔物ゲルを見て

クルートは考えていた


「この魔物ゲル・・・見たコトがない・・・」

「確かに・・・この辺のやつじゃあないね・・」

セリアも不思議そうに見ていた


黒い人型の魔物ゲルは珍しい

ましてや武器を持って襲い掛かってくるなど聞いたことがない


「今は逃げるぞ!」


シェードが先頭に立って、逃げ道を切り開いた


「逃がしはしない!!!」


地主が、後ろに長身の男を引き連れてきた

その手には鎖が巻かれている


後ろから、巨大な魔物ゲルが現れた

その犬のような魔物ゲルはよく知っている


ゲートウルフ

その場をあまり動こうとしないので

そう呼ばれる


硬い毛は、そんじょそこらの剣では斬れない


「紋章を使うしかないな・・・」


四人は同時に紋章を発動した


鎖が放される


ゲートウルフが木製の廊下をズタズタにしながら突っ込んできた


「吹き荒れる突風・・・ロードストーム!!」

ミリィが突風の柱を打ち込んだ

廊下と平行に突き進む風の柱は

ゲートウルフの首元に命中した


ゲートウルフの突進が解除された


爆炎爪ばくえんそう!」

三本の爪に火炎粒子ファイヤーパーティクルの結晶が集まる

高温の爪が、ゲートウルフの身を焼切った


叫びながらゲートウルフは悶えた


大きな鋭い爪で、斬りかかったクルートを弾き返した

「ぐっ!」

腕が痺れる


ゲートウルフの目が光った

すると、ゲートウルフの目前で空間がねじれた

ねじれた空間から黒い光が放たれる

カースレーザーと呼ばれる魔術だ


黒い光は床や壁に当たって反射する

その道筋はよめない


「調子に乗るんじゃないよ!!!

波動銀優雨はどうぎんゆうう!!」

細剣から繰り出される一突きが

衝撃波を放つ


その攻撃に怒り狂ったゲートウルフが、自身が扱える

最も強力な魔術を発動する


ゲートウルフの目が光る

周りの空間が暗黒に染まり

フェイト・オブ・アメジストが発動した

紫のオーラが周囲を取り巻く

「ああぁぁぁぁ!!」

激痛が頭を通る


全員がその場にひれ伏した


「くそ・・・」

シェードが力いっぱい足に力を入れて立つ


「ここで・・・負けるか!!!!」


シェードが一人、ゲートウルフに立ち向かった


ゲートウルフは勝利を確信したように

向かってくるシェードに、懇親の一撃を叩き込んだ


しかし、勢いよく振り下ろされた爪は

床を引き裂いた


シェードはゲートウルフの真下に潜り込んでいた


奥義おうぎ零剛風尖牙れいどうふうせんが!!!!!」

四方八方に風の槍が飛んでいく


ゲートウルフの身体を貫いていく


ゲートウルフは体中を穴だらけにされ即死した






「ば・・・ばかな・・・!!!」

地主が腰を落とした


「そこまでだ・・・」


声のした方向を見た

そこにはキリア少尉と数人の兵士が立っていた


「おまえが、ここの地主か?

数々の罪

おまえが一番よくわかっているな?」


「く・・・くそ・・・」

地主はあきらめたようだった

しかし、

お付の者が地主の耳元で何かをささやいた


「ふふふふ・・・・」

「何がおかしい?」

地主は立ち上がった

「いや、なに・・・今日は何回葬式をせねばならんかと思ってね・・・」


地主が手を振りかざした

すると、兵士達の後ろから

何十体もの魔物ゲルが飛び出してきた


兵士達が簡単に吹き飛ばされる


広い中庭には、キリアが一人で取り残された

その周りを黒い魔物ゲルが囲む


「?」

シェードが飛び込み

キリアと背中合わせに立った


「どういうつもりだ?」


「挟み撃ち」


魔物ゲルの向こうで、クルート達が武器を構える


「なるほど・・・行くぞ!!!」


キリアとシェードが魔物ゲルに斬りかかった



内側から斬りつけ

外側から吹き飛ばす


程なくして全ての魔物ゲルが倒れた


「こ・・・こんな馬鹿なことがあってたまるか!!!

この人工魔物アーマーゲルが一体いくらしたと思ってる!!!?」


人工魔物アーマーゲル??」


地主はしまったとつぶやいた


「詳しく聞かせてもらおうか」

キリアが歩み寄る

「し・・・しらん!!!何もしらん!!名・・・に・・・も・・・・・・・」

突然地主が倒れた

すると、一瞬にして白骨化した

「きゃぁぁぁぁ!!」

驚いてミリィが叫んだ





「やれやれ・・・やはり実験体はモロかったか・・・・」

屋根の上で

誰かがつぶやいた

しかし、そのことには誰も気づかない






朝日が昇った

夜の騒動の足跡が、屋敷に深く残っている


「助かった」

キリアがシェードに礼を言った

「ん?あぁ・・・」


「シェード・・・あんた、ここに軍が来ること知ってたね?」

セリアは、武器を鞘に収めながら云った

「え?」

「どういうことですか?」

キリアは鋭い目でシェードを見た


シェードが袋から、踏まれた紙を取り出した

「こんなのが、落ちてたからな」

それは令状だった

「あぁ!!!」

吹き飛ばされていた兵士が指をさして叫んだ

その兵士は城下町でミリィとぶつかった兵士だった

「はぁ・・・それを返してもらえるかな?」

呆れてキリアが云う

「もちろん、持ってても仕方ないからな」




「やっぱり、最初から知ってたんだ・・?」

宿に行く途中

ミリィが突然言い出した

「やっぱりってどういうことだよ?」

「だって、な〜んかいつもより話の転回がシェードのせいで早かったんだもん」

ミリィは駆け出して宿に入った




「セリア様ぁ!これなぁに?」

少女が近寄ってきた

広場には、すでに人が集まっている

「んん?

この子はねスーっていうんだよ」

「スー?」

「そぅ!今日からここに住むから

仲良くしてあげてね」

「うん!!」

少女は良い返事をして

スーの背中に乗った

「大丈夫かねぇ・・・」

「セリアさんが連れてきたんだ!大丈夫に決まってるさ」

大人たちの心配を知ってか知らずか

子供達が次々とスーに近寄っていく

スーもまんざらではないようだ



「さて・・・もぅ、ここは大丈夫かな」

少し寂しそうにセリアが云った

見送るように振り向く


そこにはクルートが居た


「君は、これからどうするんだ?」

「ここもぅ私がすることはなくなったよ・・・あんた達の旅に連れ込むために

ここまでしてくれたんだろう?」

「なんだ?ばれていたのか・・・」

笑いながらセリアは宿に向かった

「でも・・・ありがとう・・・」

通り抜ける時に小さな声で云った

「ん?なんだって?」

「聞こえてたくせに!!」










「そろそろ・・・ですね」

「時を急ぐな・・・後少しだ」

男が2人

部屋の前の扉で話していた

その扉の向こう側は

白一色の巨大な部屋だ

「あと・・・一人必要だ」

「それなら、上玉が一つ・・・」

別の男が歩み寄ってくる

地主の屋敷にいた男だ

男は不気味に笑っていた

火炎粒子

結晶化することで炎のように燃える

熱を司る原子


魔術

あらゆる魔法粒子を結合させて具現化させる技術

また、魔法粒子は空気の振動などでも結合する

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