エピソード6 いくらなんでも平手打ちはやりすぎだろ!byシェード
長くするつもりが前回と同じに・・・;
「まてーーーーー!!!!!!!」
後ろから何人もの男が、女性を追いかける
「待てと云われて待つ盗人がいると思ってるの?」
女性は笑いながら言い捨てた
「自分で泥棒っていったけど・・・捕まえたほうがいいのかな・・・?」
云いながら
シェードは剣をとった
「そこの旅の方々!!道を開けてちょうだい!」
「逃がすかよ」
女性は、短剣を手に持っている
「なら・・少し寝ていてもらいますよ!!!」
その一太刀が、高速で振り下ろされた
剣で受け止めた
その時
恐ろしいほどの力が発動し
二人は吹き飛ばされた
「「紋章!!?」」
「・・・今回はあきらめたほうがいいようね・・・」
女性はそのまま走り去った
そこには盗んだものだとわかる布包みが置かれていた
「あいつ・・・・あっ!!」
シェードは受け止めた剣を見て意気消沈した
ヒビが入っていたのだ
「買い換えるしかないな」
あきらめろ、と云うようにクルートは街へ戻っていった
「あんたらには売らんよ」
武器屋の老人はそういって海を見た
「なんで??」
「あんたら・・・さっきセリアさんを止めただろ?」
「だって、あいつ盗人って・・・」
盗人じゃない
そんな声が周りからした
みれば、周りには人々が集まってきていた
「あの方は我々の希望だ!!!」
「セリア様を悪く言うな!!」
老若男女を問わずに
人々はそう叫んだ
「それは申し訳ない
なにやら事情があるようですね
よければ彼女の功績を聞かせてはくださいませんか?
これだけ多くの人から指示されている人物だ
よっぽど素晴らしい方なのでしょうな」
シェードとミリィはクルートとの付き合いが長い
これが、口先だけの言葉であることは、すぐにわかった
「いいだろう・・・」
しかし、初対面の人間からしたら
自分達の尊敬する人物が褒め称えられたようにしか聞こえない
「あの方は、無駄に税金を取ってくる地主から
余分な分の金を奪い
我々に返してくださる」
どっかの物語に出てきそうな泥棒だ
正直、尊敬される盗人など大体そんなものだ
ここまではクルートの想像どうりだった
「それだけじゃない!
あの方はあの山に居る
巨大な化け物を村に近づけないように
いつも奴と戦ってるんだ!!」
「それに、最近地主の奴が怪しい怪物を連れてきたって云ったら
必ず倒してあげるって・・・」
クルートは何か腑に落ちないものを感じた
「それは、すごいですね・・・
となれば、今回我々のせいで彼女を邪魔してしまったようだ
彼女はどこにおられますかな?」
「会ってどうする・・・?」
「謝罪がしたいのです」
絶対、謝罪しないな
と、二人は思った
「どこに住んでいるのか
どこで何をしているのか
我々にはわからん・・・
しかし、あの山におられることは確かだ・・・」
武器屋の老人は、一番安い剣を持ってきた
「その剣じゃ・・・あの山には入れんからな・・・」
一番安いと云っても
イズホ村では最高級の剣だった
山は、思ったより深くはなかった
木漏れ日が、緑の木々をよりいっそう鮮やかに光らせている
「あんた達ここに何しに来たんだい?
ここは危険だよ?」
厳しく、何者も寄せ付けない
しかし、どこか優しげな
そんな声が聞こえてきた
女性は突然上から降りてきた
否、落ちてきた
「いったーーー・・・・」
足元には折れた枝が
女性の体重で粉々になっていた
「ちょっと!ちゃんと受け止めてよ!・・・って・あぁ!!!
あんた達はさっきの!!!」
女性は叫ぶなり
後ろへ飛び、武器に手を翳した
「まて!さっきは申し訳なかった
少し話がしたい」
「話・・・?」
「そうだ」
クルートは武器をしまわせた
「っで?私と何について語り合いたいのかしら?」
腕を組んで
女性はいたずらっぽい表情で言った
それは確実に、話す気などないと云っているようだ
「まずは自己紹介だ
私はクルートだ」
「・・・セリアよ」
クルートは籠手を外して焔の紋章を見せた
「それは・・・焔の紋章・・・?」
セリアは見覚えがあるらしい
以前、クルートが紋章について語ってくれた
紋章とは、この世に二つ同時に覚醒することの無い
固有の力なのだと
紋章を宿すものが死んだ時
別の同じ紋章を持つものが、その力を宿せるのだそうだ
無論、紋章が刻まれているからといって
紋章が覚醒する保障はない
「君の紋章は・・・二次紋章だな?」
二次紋章
それは、風や焔のような一次紋章よりも強力な紋章だ
「紋章は・・・衝撃の紋章か?」
「な・・・なぜそれを・・・」
図星だったらしい
「結論にいたった理由は2つ
一つは、街でシェードとぶつかった時に
シェードの方が吹き飛ばされたこと、そして、剣にヒビが入っていたことだ
この子の紋章は風でね
発動させなかった風の紋章では
あそこまでお互いが吹き飛ぶことはない
もう一つは、その枝だ」
クルートは粉々になった枝を指差した
「二次紋章は、その力を発動しなくとも
宿すだけで、紋章効果がでる
その枝が粉々なのは
君の紋章のせいか、君が重たいかのどっちかだ」
「おも・・・・・・・えぇ、そのとおり
私の紋章は<衝撃の紋章>よ
それで?何が言いたいの?」
「この山に巨大な化け物がいると聞いた
そして、それを君が村に近づかないように戦っていると・・・」
「えぇ」
「その化け物の討伐・・・手伝おうか?」
すると急にセリアは背を向けた
「・・・私一人で十分よ」
そういうとセリアは森の中に消えていった
「ふぅむ・・・一旦帰ろうか・・・」
「セリアさんには会えたか?」
宿に行くと
カウンターの主人が聞いてきた
「えぇ・・・心優しい方でしたよ」
「そうだろう、そうだろう!」
クビを縦に振りながら
主人は満足げに言った
突然、玄関から役人だとわかる連中が押しかけた
「おい!税金を納めてもらうぞ」
主人は固くなって
店の売り上げ金を差し出した
「・・・・・けっ・・・これっぽっちか・・・」
「おい!一生懸命働いて稼いだ金だぞ?
これっぽっちて・・・・・・」
クルートがシェードの後頭部に平手打ちをかました
「すみません。」
クルートは軽く頭を下げた
「ふん・・・・いくぞ!!」
「いっつ・・・・・おい!クルート!!
何するんだよ!!」
「おまえはもう少し世渡りというものを学べ」
云うとクルートは振り返りカウンターに金を置いた
「一晩3人、よろしく頼む」
「あいよ!」
云うと主人は鍵を差し出した
「坊主・・・ありがとな」
片目を閉じながらシェードにそういった
部屋に入ると、シェードは少し不機嫌だった
それは、クルートに平手打ちをされたからではない
あの役人のせいだ
「なんで、あんなこと云われてあの主人は平気な顔してるんだ?」
「それは、セリアが取り戻すからだろう・・・しかし、ここの地主は相当のワル
のようだな」
「それは・・・あんな役人を雇っているからですか?」
ミリィが荷物を整えながら聞いた
「いや・・・それもそうなんだが・・・
あの役人 ちっぽけな金だ って云ったろ?
税率が一定なら
税金もほぼ一定のはずだ・・・・
なのに ちっぽけ と云うことは
馬鹿デカイ税率の割りに、金が少ない
ということか
税率が一定じゃない
ってことだ」
窓の外を見れば
あの役人があらゆる家々を回っていた
「それで・・・明日はどうするんですか?」
「そうだな・・・・・・・化け物退治・・・だな」
はい!というわけで、読者の皆さんが感づいているように、セリアは仲間になります!なんのひねりもなく仲間になります!どのような過程で仲間になるかを、お楽しみください。