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エピソード2 紋章覚醒

「あ・・・」

「ん?どうしたんだ?」

村の外に近いところまで行くと

クルートは急に止まった

「いや・・・今思えば、食料3日分しかないな・・・」

確かに、荷物は少し減っていた

賊が少し拝借したらしい

「これは、少しの間ここで稼ぐしかないな・・・」

「宿なら家を使ってくださって結構ですよ」

ミリィはそう云うと

家の方向に向いた


その後ろについていく


行く時はあまり気にしなかったかが

中はメチャクチャに荒らされていた

「最後の希望だったのに・・・」

ミリィは云うと

カウンターの引き出しをしまった

「売上金は全部もってかれちゃいました・・・」

「ふむぅ・・・ま、取られたものは仕方ないな

しばらくは、この辺の怪物ゼスで稼ぐか」

クルートは荷物を床に置いた

「しかし・・・マジで汚いな・・・オレが掃除するよ」

「え?・・・掃除なんてできるの?」

不安そうに聞いてきた

「当たり前だろ!!家事くらいできて当然じゃないのか?」

「なら、私達はミリィの武器を買いに行こう

運よく、昨日の賊から少しばかり頂いたからな」

「は・・・はい」

不安を隠すことなく返事した



「ここら辺もかなり荒らされてるな」

繁華街のほとんどは全焼していた

「親父さん!!武器がほしいんだが」

「ん?・・・あぁ・・・悪いが、ほとんど使い物にならなくなっちまってな・・」

「弓はありますか?」

「あぁあるよ・・・」

武器屋の親父は奥から

新品の弓を取り出した

セットで矢が数本付いてきた

「こんなものでよければタダでいいよ」

「ありがとうございます」

丁寧に礼をいう

「しかし・・・この状況では人手が足りないでしょう・・・少し手伝いますよ?」

「おお!!そうか!ありがたい!!」

二人は繁華街の復旧に手をかした

焼けた家に潰されそうになっている人や

すでに亡くなっている人もいた

何人もの人が、死んでいる

中には兵士や賊などの遺体もある



昨夜の鐘がなった


「マナウルフだーー!!」

「ミリィは家にもどってろ」

クルートは、爪を装備し

門のほうへ走った

「おいおっさん!!マナウルフは向こうだよ向こう!!」

「おお!?すまんすまん!!」

照れながらクルートは反対側へ走っていった



「なんだ?」

シェードは掃除を終らせ家の外に出た

すると、兵士たちが目の前を走り去っていく

「どうした?」

走り行く兵士に聞いた

「あぁ!!マナウルフが北門に大量に現れたんだ!!」

そう云うと慌しく走り去った

「えと・・・どうしよう」

行くべきかやめておくべきか

頭のなかで考える

「シェード!」

ミリィが走ってくる

「向こうにマナウルフが!」

「わかってる!」

応答すると

兵士達が走っていったほうへ走ろうとした

「!!!シェード!!後ろ!!」

「え??」

振り向くとそこには、3匹のボスウルフが村に入ってきた

どうやら誘導をかけられたようだ

「ちっ・・・」

剣を抜くと

前に構えた

ミリィが後ろで弓に矢を装填する

「お・・おい!!大丈夫なのか??」

「大丈夫!!初めてじゃないんだから!!」


ボスウルフが3匹一斉に飛び掛ってきた


前へ出てわざとバランスを崩しながら

先頭の一体に斬りかかる


前とは違う

今回は自分にあった剣だ

一撃一撃が確実にダメージとなる


云うまでもなく囲まれる


「ちょ!!」

何のためらいもなく

鋭い爪が振り下ろされる

よろけるように避けて

腕を斬りつける


さすがに、三匹はキツイ

そこへ一筋の矢が飛んできた


ボスウルフに命中することなく

腕をかすめた

「あ・・・あれ?・・・き・・きっと弦がまだ硬いから・・・」

「そこで絶対!!動くなよ!!!!」

半切れで云った


しかし、こいつを一人で相手するのはキツイ


一体どうすれば・・・


「おまえが、紋章を刻む者だからだ」


いきなり、あの時のクルートの言葉が頭を過ぎった

なぜ・・・こんな状況でこんなことを思い出すのか


(貴様は、何を望む?)

「だれだ?」

そんな声が、どこからか聞こえてきた

(貴様が望むのは、現実か?幻想か?)

「何??」

(答えよ・・・)

ボスウルフの一撃を避けながら考えた



「少年大丈夫か?」

北門のマナウルフを片付け

クルート達は応援に来た

しかし、そんなことに気づくことができない

頭に直接響く声への答を探した



「全部だ!!」

(心得た)


「今行くぞ!」

「待て!!」

立ち向かおうとする兵士をクルートが止めた

その瞬間、空気が一気に冷める


シェードの身体に緑の粒が舞う


(紋章を覚醒させる!!)


緑の粒が

頭上に怪しげなマークを描き出した


「あれは、<風の紋章>だ・・・」

「風の紋章?」

ミリィが聞く

いにしえにおいて、かの氷英雄と共に戦った<異学者>も風の紋章を宿していたそうだ・・・その力は、全てを引き裂くのだそうだ」

「あの緑の粒は一体?」

「あれは、疾風粒子ウィンドウパーティクルだ」



力が湧いてくる

あらゆる動きが

誰かに後押しされているようだ



「喰らえ!!」

瞬速で動く刃が

ボスウルフの喉を裂く


絶命の響きを上げ

ボスウルフは倒れた


一匹が噛み付こうと突っ込んでくる

風波ふうは!」

疾風粒子が剣の軌道にそって集合し結合して

透明の結晶体が生まれる

結晶体はボスウルフに当たり

巨大な図体を吹き飛ばす

覇皇連砕牙はおうれんさいが!!」

大地に叩きつけられた剣先から無数の風の刃が飛び出した

否、風ではない

疾風粒子が刃のように結合し結晶化したものだ

結晶体は、ボスウルフを何枚にも下ろした


最後の一匹が、危機感を感じたのか

逃げ出した

風翔尖光ふうしょうせんこう!」

風のようなやわらかい緑の線が

ボスウルフを貫いた

転がるように倒れ

動かなくなる



「さっきのは一体・・・」

「あれは紋章によって発動した呪術だ」

「紋・・・章?」

初めて舌にのせる言葉のように云う

「そう・・・弱いもので云うなら魔法陣だ

しかし、魔法陣は誰にでも刻めるが

紋章は生まれつき備わっていなければ、決して覚醒しない」

クルートは籠手をはずして

手の甲を見せた

「これが私の紋章だ。名は<焔の紋章>だ」

そして、なぜかミリィを見る

「君にも、紋章が宿っているはずだ」

「え?・・・」

当然だが、ミリィはとまどった

「まぁ焦ることは無い・・・いずれ覚醒するだろうからな・・・さて、戻ろうか」

倒したボスウルフから毛皮を取る

すると、ボスウルフは輝きながら消えていった

怪物ゼスは時間粒子の集合体のようなものだ

死ねば時間粒子は気化して肉体は消えるんだ」






「うわ・・・綺麗・・」

片付けられた家を見て

ミリィは驚いた

「そうか?これくらいは普通だろ?」

少々自慢げに云う

「よし!食材も余分に手にはいったし

今日は私が作ろう」

「「えぇ??」」

驚いて声を合わせてしまった

「なんだ?何か不満なのか?」

「え・・あ・・いや・・・別に不安ってわけじゃないですけど・・・」

不安気にミリィは云いながら目をそらした

「待っていろ!とびっきりの手料理を作ってやるから!!」


十五分後


「できたぞ!!」

出てきたのは<野菜炒め>だ

野菜しか買えないので致し方ない


一口食べる


「どうだ?」

「ん〜・・・まずくはないが、うまくはない・・・・普通だな」

「・・・・・ノーコメントでお願いします・・・」

「うそだろ〜?・・・・じゃあ次はミリィ作ってみてくれ」

「え・・・えぇ!!」

「人の料理にイチャモンつけたんだから

作ってみろよ?」

いたずらにシェードが云う

「ノーコメントっていったのに・・・」


一時間後


出てきたのは<野菜スープ>だ

しかし、煮崩れし・なぜか焦げている上に怪しい物質が浮いている

「その・・・お粥類しか作ったことなくて・・・」

「いや・・・でも・・・野菜スープ作って焦げないだろ・・・」

「じゃあ、シェードが作ってよ!!」


二十分後


鮮やか温野菜と半透明の輝く汁が食欲をそそぐ

完璧な野菜スープが出てくる

二人が同時にスープと野菜を口に運んだ

甘い人参にホクホクのジャガイモ

とろけるような玉葱が、スープのコクを引き立たせる

「おいしい・・・」

「う〜む・・・負けたな・・・・・・」

「な・・・なんで、こんなにおいしいの?」

「そりゃあ、物心付いた時から一人で生きてきたんだから当然だろ?」

空気が重くなるのを感じた

「や・・・えぇと・・・ととととりあえず食おうぜ!」



夜が明け


朝日が当たり前のように顔を出す

昨日あんなことを言ったせいか

シェードはエトピタートのことを考えていた

今日が来たが

エトピタートはまた、同じ日を繰り返しているのか・・・


「今日こそヴァリスマリネリスへ行くぞ!」

「もぅ忘れ物はないよな?」


三人は、世界最大の渓谷へ向かった


今回は前回の半分になってしまいました

次回はもう少し長くしようと思います


疾風粒子

動きや流れを司る魔法粒子


紋章

生まれた時に宿る。

その力はどの魔法陣をもってしても太刀打ちできない



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