エピソード13 協力奥義
レプリカルーンは3つの細い目をシェード達に向けた
落ちてきたため足元がへこんでいる
「さて・・・こいつをどう回避するかな・・・」
クルートは緊張を隠さずに云った
その存在感はたとえ複写といえど
全ての生物の頂点にたつ存在であることを否定させない威圧感だった
「前の鹿みたいに怯ませてダッシュ!ってのは?」
「こいつに今の私達の攻撃が通用すればいいが・・・・」
全員が武器を構える
「ライラ・・・下がってて」
ミリィがライラをかばうように立った
「・・・・・・行くぞ!!!」
クルートが叫ぶと同時に走り出した
ルーンが目で追う
そして体制を低くして跳ねた
すかさずクルートの側面に着地する
同時に地面が揺れた
巨大な部屋も巨大なルーンにとっては狭いのだろう
思うように動けないようだ
「いくよ!」
セリアが足に切りかかる
しかし、紋章を発動した衝撃の斬撃すら無意味だった
「硬っ!!」
セリアは手が痺れるのを感じた
細剣の先端が欠けている
「風翔裂破!!」
シェードが風の斬撃を繰り出した
風は孤を描いて首に直撃した
鋭い3つの眼光がシェードに向けられた
3つの目が怪しい光を放った
「!」
シェードの周りに黒い煙が立ち込める
黒い煙がシェードの足元に紫色の魔法陣を出現させ
ミスティック・ダークネスが発動した
闇の衝撃が直接頭に響く
「ぐあぁぁ・・・・!!」
シェードがヒザをついた
「シェード!」
クルートが注意を自分に向けた
しかし、その視線はクルートを無視してセリアに向けられた
長い首が90度に曲がり、ほぼ平面に近い顔面がセリアの目の前に伸びた
そして目が光る
セリアが息を呑んだ
頭上に輝く5つの光が出現して回転しながらおちて
シャイニング・グラビティが発動する
セリアは圧し掛かる重力に声も出せず
抵抗もできずに倒れこんだ
「そんな・・・・」
ミリィが後ずさる
そして気合を入れた
目線はクルートに向けられた
「光よ、抗う全ての脅威に封印の剣を!・・・・シャイニングソード・オブ・フォースアウト!!!」
五本の光の剣が背中に突き刺さる
そのまま何かを吸い出すように光った
ルーンが体制を崩した
しかし、倒れた仲間を見捨てて逃げるわけにはいかない
次の詠唱を唱える
ルーンは腹部から無数の針を飛ばした
「きゃあ!」
ミリィの身体に刺さる
そして、またもルーンの目が光る
ミリィが地面から出てきたオレンジと赤の手につかまる
アースバウンドスピリッツによってミリィは意識を失いかける
「うっ・・・・」
「くそっ」
クルートは倒れゆく仲間を助けることができない
超高速で繰り出されるレプリカルーンの上級魔術を防ぐすべがない
自分がやられたら全滅しかねない
「くっそ・・・あんなゃろう・・・」
シェードが立ち上がる
「シェード!私の火を風で吹き飛ばせ!!」
「はっ?」
目でクルートを確認する
「あ〜・・・なるほど・・・・あれか」
「あれだ」
それは以前、船で思いついた案だった
「さぁ、ショータイムだ!!」
クルートが夥しい火力の炎を出現させた
「喰らえぇぇ!!!」
それをシェードが風で火柱に変える
ルーンの頭上でそれが火の玉にかわる
「「奥義!!ブレイジング・テンペスト!!!」」
風の層を持つ炎が落ちた
風で引き裂き、炎で焼く
ルーンの身体に無数の傷がつく
夥しい量の体液が飛び散るが、空中で燃え上がる
そして、風と炎が反応し爆発した
燃え上がるルーンはまだ生きていた
「おいおい・・・・マジかよ・・・」
もはや手はない
しかし、ルーンは急に狂ったように震えだした
大きな丸い口が気持ち悪い
甲殻にヒビが入る
そのままルーンは崩れだした
「倒・・・した?」
「いや、おそらくレプリカの限界なのだろう・・・・」
太陽がやけにまぶしい
ライラの透視のおかげで敵を回避して脱出した
「ミリィ、大丈夫?」
セリアがミリィを気遣う
ミリィの身体には2本の針が刺さっていた
「大丈夫・・・だと思う」
手で引き抜く
案外簡単に取れた
それほど深く刺さっていたわけではないようだ
「この針・・・確か・・・」
クルートが考え込んだ
「うっ!」
ミリィがお腹を抱えて倒れこんだ
「ミリィ!?どうしたの!!?」
セリアがミリィの肩に手をそえる
ライラが近寄って透視した
「赤ちゃんが・・・いる」
「シェードォォォォォ!!?」
セリアがすかさずシェードの胸座をつかんだ
「俺じゃない俺じゃない!!」
激しく抵抗する
「ふむ・・・どのへんにいる?」
「心臓の、下・・・・」
「なるほど・・・・どうやら、ルーンに寄生されたようだ
この針は確かルーンの産卵管だ」
「え?じゃあ・・・」
「安心しろ、身体の中の異物は後で取り除ける
今は孵化しないように卵の殻を割らずに中身を殺せばいい
幸い、ルーンの卵は殻が固い・・・・異常にな」
「でも、殻を割らずに中身だけ潰せるのかよ?」
シェードが背中越しに問う
「何を云ってる?ここに衝撃波のスペシャリストがいるじゃないか」
「あぁ、なるほど」
「了解!」
セリアはミリィの背中に手を当てた
「いくよ・・・・」
衝撃波が放たれた
「うぁっ・・・・」
「ミリィ!」
ミリィは倒れこんだ
「心配ない、中身と神経がつながっているせいで気絶しただけだ
・・・・どうだ?」
クルートがライラに聞いた
しかし、何も答えない
「ふむ・・・・中身は死んだか?」
ライラは首を縦にふった
「では、ミリィが起きるまでこの町で休むとしよう
レイの隠し通路情報でいけば
港町アカウントには地下トロッコで4時間らしい」
今回は戦闘メインでしたがいかがだったでしょうか?
感想・質問宜しくお願いしますm(__)m
ところで前回の補足をしたいと思います
勇者一行=プロミス 他にも
救世主一行=デスティニー
賢者一行=ネクサス
古英雄一行=レジェンド
新英雄一行=ループ
今後もよろしくお願いします
次回は十獣皇一覧を提示しようと思います