エピソード12 万物の頂点に立つもの
今回は少しながいです・・・・多分・・・・
光輝粒子の壁が崩れる
壁は下級魔術で簡単に崩れた
警備兵には気づかれていない
「よし・・・・いこ?」
ミリィが少女に手を差し伸べた
しかし、少女は胸の前で手を組みうつむいている
「どうしたの?」
「行かない・・」
「どうして?」
「足手まといに・・・・なるから・・・・」
「そんなことないよ!?」
声が大きくなった
「どこに・・・行っても・・・同じ・・・死ぬだけ・・」
「なんで?」
「行く場所・・・帰る場所が・・・ないから・・・外に出ても・・・」
「・・・じゃあ・・・私達と来ない?」
「えっ・・・?・・・・でも・・・・・」
「大丈夫!みんな良い人達だから!!!」
ミリィは強引に手をとった
「ね?」
笑顔でそう云った
まだ、少女には不安があるようだ
「私を信じて?」
「・・・・」
民家の裏路地のマンホールが傾いた
二つの目が用心深く外を確認した
「・・・・・大丈夫だ・・・」
中から3人の男女が出てくる
「施設って・・・・どこ?」
セリアが回りを確認するが
それらしいものは見当たらない
「ここじゃないの?」
シェードが後ろを振り向く
少し開けた場所に、古い建物があった
「とりあえず行ってみるか」
3人が門を潜ると
地面から地主の屋敷で戦った人工魔物が飛び出してきた
「当たりのようだな」
3人が武器を構えて切りかかった
あっという間に人工魔物を片付けた
「周りを探って秘密通路を見つけるのと
正面突破どっちにする?」
クルートが提案した
「ん〜・・・ミリィのことだから騒いでるだろ・・・
正面突破!」
「よかろう」
3人は薬飴を舐めて傷を癒し
万全の体制で扉を吹き飛ばした
「なんでバレたの!!?」
ミリィ達は脱走がバレて追いかけられていた
さっき大きな声で叫んだせいだ
「・・・あれだけ・・・・大きな声で・・しゃべれば・・・・」
「うっ・・反省してます・・・・」
施設の中は黒いケーブルだらけだ
隠れるのは案外容易だった
通路の真ん中には網が張ってある
「どうしよう・・・」
「こっち」
少女が手を引っ張る
「え?」
「こっちに・・・・細い道がある・・・」
「ほんとに?」
「ん」
ケーブルの間を抜けて
空気口に進入する
「ここ・・・・外の近くに・・・つながってる・・」
「外の近く?」
「ここの道は全部・・・・大きな部屋に・・・つながってる・・・」
「でかい部屋だな・・・・」
一行は飛び出してくる敵をなぎ払って巨大な部屋にでた
さっきまでの薄暗い通路とちがって
そこは、白一色の部屋だった
否、白と云うよりは灰色かもしれない
目の前に一つの扉があった
「行こう」
部屋の真ん中に来ると人工魔物が落ちてきた
今までのとは少し違う
蜘蛛のような姿だった
「手強そうだな・・・」
「先に行く!」
シェードが蜘蛛の真下を通った
蜘蛛が妨げるように腹を地面にたたきつけた
それをかわして扉にたどり着く
「おまえの相手はこっちだ!」
クルートが火を纏った爪で斬る
蜘蛛の5つの目がクルートに向けられた
空気口に煙が流れ込んできた
ここに逃げたのがバレたらしい
「くっ・・・」
「こっち」
枝わかれした通路を的確に曲がっていく
ケーブルだらけの通路に出た
そこは白い部屋と巨大な部屋の中間地点だった
「よぅ・・・悪い子だな・・・・」
不適な笑みを浮かべたギーゼが立っていた
「鬼ごっこは終わりだ!」
「させない!!」
ギーゼが紋章を発動する瞬間
ミリィが無詠唱で魔術を使った
「ぐっ!」
ギーゼが腕を組んで直撃をしのいだ
「このガキ・・・!」
ギーゼがメリケンを装備した
「気刃!」
突き出された拳から
気の刃が飛んできた
「貫け!ホーリースピア!!」
光の槍が飛ぶ
二つの粒子結晶はぶつかり崩壊した
「逃げて!」
「でも・・・」
「逃げて!!」
ミリィが少女の手を放した
「二人一緒に消えろ!!」
ギーゼの周りに気が集中する
気の紋章が強く反応する
「奥義・神剛気星弾!!!」
巨大な気の塊が通路のケーブルの跳ね除けながら突っ込んでくる
「きゃっ!!」
「んっ」
二人は同時に目を瞑った
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
シェードが二人の前に飛び出し
巨大な気を剣で斬るように受け止めた
気の力に押されながらも
気の塊を斬った
「何?」
「まだ、クライマックスにはほど遠いぜ!」
手に血が溜まる
さっきの攻撃で腕を数箇所切ったようだ
「ほぅ・・・小僧、貴様が俺に勝てるか?
云っとくが、そこの二人は殺さないように手加減したが
貴様には手加減せんぞ?」
「ミリィ、この先にクルート達が来てる
その子つれて先に行け」
「え?、でも・・・」
「いいから!」
「あ、うん・・・わかった」
ミリィは少女を助け起すと走り出した
「あの人・・・・大丈夫?」
「う〜ん・・・・まぁ死なないでしょ・・・」
「ふん・・・・貴様一人で俺を倒せるのか?」
シェードは怪しい笑みを浮かべた
「?・・・何がおかしい?」
シェードは答えず
剣を十字に合わせた
「紋章・・・・開放・・・・!」
巨大な部屋の扉を開けた瞬間
5つの目を持つ蜘蛛の頭が目の前に落ちてきた
「きゃーーーー!!」
「ん?おぉミリィか」
死骸の向こうからクルートが駆け寄ってきた
「なななな何!!?これ!!?」
「ん〜・・・なんだろうねぇ?」
セリアが武器を収めながら近づいてくる
「シェードは?行き違いになった?」
「いや、なんか足止めしてくれてる」
「うむ、では救援に向かうか」
「別にいいよ、終ったから!」
シェードが走ってきた
「んでさ、この子誰?」
「え?あぁ、この子
私と同じところに閉じ込められていたの」
「ほぅ、君名前は?」
「・・・・」
少女は硬直している
「あはははは!!クルートが怖いんだよ!」
セリアが笑った
「この子、名前がわからないんだって」
「そうか・・・・っと云うことは行き場もないのだろう」
「うん」
「じゃあ我々と来るか?」
「え?」
少女が驚いたような顔をした
「はらね、良い人達でしょ?」
「・・・・うん」
「そう決まると、名前がいるな・・・・ん〜・・・メビウスなんてどうだ?」
「却下!それ勇者一行の人の名前でしょ!だいたい可愛げがない!」
セリアが即答で案を切った
「可愛さを求められるのか・・?」
「あたりまえでしょ!女の子だよ!?」
「ん〜・・・」
全員が考える
「・・・ライラ・・・・とか?」
「らいら?」
「そ!どっかの国の古語で<ウサギ>って意味!」
「じゃあ決まり!」
「ライラ・・・」
少女が初めて着けられた名を舌に乗せた
「はいはい!注目〜」
全員が上を見上げた
そこには、10人の男女が立っていた
そこにはホレンの姿もあった
一人の男が送れて出てきた
黒いスーツの男だ
「だめだろ?勝手に逃げたら
逃げる時は、ちゃ〜んと許可をとらないと
『逃げてもいいですか?』ってね」
「逃げてもいいですか?」←棒読みbyシェード
「だ〜め♪」
男がパチンと指を鳴らした
上から紅い巨大な物体が落ちてきた
アリのような魔物だった
「おいおい・・・いきなりラスボスか・・・?」
クルートが後ずさる
「何?こいつ?」
それhがあまりにも巨大な生物だった
「ボク達は鉄心騎士団って云われてる
ボクはクライン、よろしく!」
クラインがキザに挨拶した
「鉄心騎士団?
たしか12人と聞いたが?」
クルートが紅い生物から目をそらさずに聞いた
「そうなんだよねぇ〜
ギーゼどこ?」
「さぁ?」
黒い髪の女が答えた
「ま、いいか」
「ねぇクルートさん・・・こいつ・・・何?」
「コイツは・・・・ルーン・・・」
「ルーン!!?十獣皇の???」
セリアが叫んだ
「あぁ・・・・」
「安心しなよ!そいつは1/1500のレプリカさ!」
「おいおい1冗談言うなよ、このデカサせ1/1500???」
レプリカルーンは軽く5mはある
「これを・・・倒すしかないか・・・」
「それじゃね!諸君!!」
11人の男女は後ろの扉に向かった
一人、ホレンは一旦こちらを向いた
しかし、そのまま扉の奥に姿を消した
「ふぅ・・・・いくぞ!!
全員本気でかかれ!!」
「これ・・・・どうなってるの?」
クラインがケーブルだらけの通路に横たわっている死体の隣でつぶやいた
「・・・・」
そこには紅い液体が辺りにばらまかれたようになっていた
ギーゼの遺体は、原型を思わせないほどに切り刻まれていた