エピソード11 施設の謎
「ぬっ・・・」
ホレンが長い刃を床に差し込むようしてにヒザをついた
「見事だ・・・」
すでに朝日が昇っていた
この男は3人の紋章使い相手に一晩戦っていた
「これほど苦戦するとはな・・・」
「時間がかかりすぎた、早く行こう!」
セリアが扉に向かって駆け出した
「まて・・・」
静かだが、無視を許さない声がした
「まだやるのか?」
シェードが挑発的に剣を構える
「樹海に入る前に門があるだろう?
そこの茂みに隠し通路がある・・・・」
「どこへ通じている?」
「セレイデーの民家に隠された施設だ
そこを通れば、走って30分で抜けられる・・・」
「なぜ、それを私達に教える?」
クルートは用心深く聞いた
「信じるかどうかは貴様らしだいだ・・・・」
云うとホレンは閉じていた目を開いた
そこには紋章が刻まれていた
紋章が発動する
「また会おう」
ホレンは煙になって消えた
「煙の紋章?」
「いや、あれは霧の紋章だ」
「どっちでもいいけど、あいつが云ってたこと信用するの?」
「ふむ・・・信じてみよう
少なくともセレイデーに行けるのは間違いないだろう・・・」
「きゃっ!」
ミリィが扉越しに部屋に放り込まれた
「ふんっ」
ギーゼは扉を閉めた
「何・・・ここ?」
そこは純白の部屋、否、世界だった
さっき閉じられた扉のあとが見えない
「だれ・・・・・?」
突然、後ろから透き通った声が聞こえた
振り向くと、白いワンピースを着た少女が座ってこちらを見ていた
「えて・・・私はミリィ・・・・・あなたは?」
「・・・・・・わからない・・・・」
「わからない?」
「自分の・・・・名前を・・・・知らない・・・・ごめんなさい・・・」
「いや、誤らなくていいよ?えと、ここはどこ?」
「部屋、それ以外はしらない」
「そぅ・・・」
「でも・・・なぜここに居るかは知ってる」
「え?」
「コア・・・・・・を作るため」
「コア?」
「うん・・・・でも、それしかわからない」
樹海の門の茂みに扉があった
すこし開いているのはホレンが開けていったからだろうか
「行くぞ」
クルートを先頭にして入った
なかは火炎粒子の入ったビンがいくつも並べられた通路だった
中は一本道のようだった
当然、閉ざされた場所なので中には自分達を妨げるものはない
「走るぞ」
一行は走りだした
すると前から女性が歩いてきた
一行は足を止めた
シェードとセリアが構えた
「レイ?」
クルートがそう呼んだ
答えるように女性も口を開いた
「あらクルート、御機嫌よう」
女性は笑いながら云った
「私の情報は役にたったようね」
「クルート、知り合いなの?」
「あぁ、彼女はレイ
私の故郷の古い友人で、情報部隊のリーダーだ」
「へぇ〜・・・・っでこの人の情報って?」
「ん・・・・なんっだったかな・・・」
「え?もしかして地上の隠し通路一覧表なくしたの?」
「隠し通路一覧表?」
シェードが大げさに聞いた
「・・・・・あぁ、確かそんなものもらったな・・・わすれていた」
「そんなものとはひどいわね」
「いや、失敬失敬」
「レイーーーー!!どこーーーーーー!!!?」
遠くから声が響いた
「あの声の主は私の護衛役であり親友のルナよ」
慌しい足音が近づいてくる
「レイ!先にいかないでって云ったでしょ?」
全力で走ってきたにもかかわらず
息は乱れていない
「さきに行くって云ったでしょ?」
「だーかーら!待っててって云ったでしょ!!」
「とりあえず先を急ぐので失礼するぞ」
「あ、まってクルート
この先の施設は・・・・・って、行っちゃった・・・・」
「どうしたの?」
「いや・・・まぁいいんだけど・・・あの施設のはルーンのレプリカが・・・」
「ふ〜ん・・・気がついたらここに居たんだ・・・・大変ね」
ミリィは少女と打ち解けていた
「最初は・・・たくさん・・・いたけど・・・・みんな・・・殺された・・・」
「殺された?・・・・どうしてわかるの?」
「壁の向こう・・・見えるから・・・」
「え?紋章?」
少女は首を横に振った
「紋章もあるけど・・・・見えるのは別の能力・・・・」
「そうなんだ・・・何の紋章?」
「わからない・・・」
「そっか、実は私も自分の紋章わからないんだ♪」
おどけて云った
「とりあえず、ここを抜けましょうか・・・」
「それは・・・できない・・・」
「どうして?」
「ここの壁は・・・壊れない・・・」
「紋章を使えばできるかも」
「使えるの?」
「うん!」
「・・・・・・・・」
「見ててよ?」
ミリィは目を閉じた
(紋章発動!!)
頭上に紋章が描かれ
身体に入っていく
「・・・・すごい・・・」
「いくよ・・・・」
「まって」
「ん?」
「この壁のほうがいい」
少女は初めて立って
右側の壁に近づいた
「ここ?わかった・・・・」
ミリィは詠唱を始めた