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空想恐怖  作者: 春稀
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噂話5

いよいよ館に侵入しよう、というところで問題が起きた。

「そりゃそーだ。よくよく考えたら入れるとは限らないんだったな」

「参ったな、ここまで僕達を拒絶しているとは思わなかったよ」

というわけで館の扉は鍵が掛けられていた。しかも南京錠なので無理矢理こじ開けるというのも難しそうだ。

「とりあえず、館の周りを捜索してみよう。僕と悠也は左から時計回りに、坂守と小暮さんは右から反時計回りでちょうど裏で鉢合わせるだろうから、もしなにも見つけられなかったらもう片方のチームが見落としをしてないかチェックしながら来てくれ」

「了解。それじゃ行こうぜ佳奈」

「うん、えっと…二人共、気をつけてね」

僕と智が頷き、2チームに分かれて探索を開始した。

時計回りに探索しはじめるとすぐに、焼却炉のようなものと薪割りの斧が立てかけてあった。

「おー。焼却炉といえばホラーの定番だよね」

確か怪談モノで「昔いじめられていた男の子が、この焼却炉に閉じ込められちゃって、しばらく泣いていたらしいんだけど、いつの間にか男の子は泣き疲れて眠っちゃったんだ。2時間くらい経った頃、ゴミ焼きに来た用務員さんが眠ってる男の子に気付かず、火をつけちゃったんだって…そして、熱くて目を覚ました男の子が必死に助けを求めたんだけど、用務員さんはトイレに行っててしばらく気がつかなかったんだって。戻ってきた用務員さんが変な臭いに気がついてドアを開けてみると、大火傷を負った男の子が転がり落ちた」「それで、助かったの…?」「すぐ病院に運ばれたらしいんだけど、必死の手術も虚しく。結局助からなかった。ただ、最後まで「熱い…痛い、痛いよ…出してよ…ここから出して…」って言い続けてたんだって」「可哀想…」「ホントだね。それからこの学校の焼却炉は使われなくなったんだって。だけどね…今でも使われていないはずの焼却炉から中でなにかが暴れるような音とか、真っ黒な煙となにかがこげるような臭いがするらしいよ…」「呪い、なのかな」「多分、ね。この話には続きがあるんだけど…」

と、そんな話があったなぁなんて思っていた。

智も似たようなことを思い出したのか

「確かにここに閉じ込められて燃やされる、なんてちょっと考えたくないね。ただ、僕の知ってる焼却炉の怪談にはなにか続きがあったと思うんだけど…聞いてないのか聞き流してしまったのか、とにかく思い出せないんだ。そもそもこの怪談って誰がいってたか覚えてるかい?」

「水羽、じゃないかな…僕もその続きが思い出せないんだよね」

なんとなく、続きが思い出せないと危ないような、それこそ…嫌な予感がする。

「とりあえず坂守と佳奈にでも合流したら聞いてみようよ」

「そうしようか。あとこの斧はもしもドアを破ることになったら使えそうだから一応持っていこう」

「そうだね」

それからしばらく歩いてみたが特になにも見つからなかった。

大体正門の真裏辺りについたが、佳奈と坂守はまだ来ていなかった。しばらく待っていると何故か二人共僕たちの後ろから走ってきた。

「おーい!」

「なにかあったのかい?」

走って来たせいか、二人共軽く息が上がっていた。しばらく呼吸を整えてから坂守が向こう側には井戸があって、危険な気がしたから走って戻ってきたらしい。

「じゃあ他にはなにもなかったかい?裏口とか」

「あー、いや、一応井戸のそばにあったんだが…ほら、佳奈と二人だけだからちょっと、な」

要するに二人共怖かったから確認もせずに戻ったというわけだ。

「む…。私より、坂守君の方が怯えてたよ?」

「……」

どうやら坂守が先に戻ろうといったみたいだった。

都合よく女の子のせいにして体面を守ろうとした坂守に、少しだけ冷ややかな目が三人から向けられた。

「えっと、その…スイマセンデシタ…」

「まあいいや。坂守のビビリは今に始まったことじゃない。それよりも裏口があるならもしかしたら空いているかも知れないし、行ってみよう」


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