感性の星
遠い遠い昔のこと。その星は天候が一瞬にして移り変わり、地殻変動が日常茶飯事だった。今日は晴天で穏やかな一日でも、次の日には巨大地震と津波が生命を飲み込んだ。だが、生命は賢く、力強く、エネルギーに満ちていた。命たちは1日の間に誕生し、成長し、そして多くはその日のうちに老いを迎えた。生命たちは、自身の成長の速度を上げることで、生命を全うする道を選んだ。生命たちは、環境に満足していた。しかし、その中で、マイペースな生命は思った「ちょっと早すぎない?」。マイペースな生命は、成長の速度を減速させた。すると、今までただ生きるための場所だった世界の景色に気が付いた。雨のにおい、太陽の光、友達の笑い声、それら外側の世界に心を向ける時間が生まれた。生きることだけに向けられていた意識が、世界に感動し、自分の内側に温かいものがこみあげてくるのを感じた。マイペースな生命は、それを「愛」と名付けた。マイペースな生命は何度も災害で死にそうになった。でも、外側の世界への関心が経験となり、災害を乗り越えることが出来た。そうして月日が流れ、やがてマイペースな生命は安らかな心を抱いて眠りについた。