英雄の昔話と本当の気持ち…?
※前回に引き続き、女性軽視的発言や表現があります。
誠に申し訳ございません。
「お詫びと言ってはなんだが…。私の幼馴染であり、この国の姫である【王女ミルティ】をお前にくれてやろうっ♪」
いくら御貴族様であっても、場合によっては不敬罪で処罰される……大変失礼極まりない巫山戯た事を、まるで子供が友達に玩具でもあげる感覚で、ハッキリ言い放つ愚者…。
それを聞いたヴィクターは少しの間だけ思考停止するが、直ぐに戻り
「───はぁ? ……はぁぁあああああああッッ!? お前、自分が何を言っているのか分かっているのかあッ?! ──ミルティって…。あの【ミルティ姫】だろうっ!? 勇者の【“婚約者”】のッ?!」
「無論だ。何か不服と問題でも? 一応、アイツはお前の恋人と一緒で、この王国の【絶世二大美女】なんて言われて民衆からの評価も高い筈だが…。容姿は私から見ても申し分ないし、胸もお前好みの豊満な乳だ♪ それに、アイツがちゃんと私の言いつけ通り約束を守っていれば、お前が一番“重要視”している『純潔』だぞっ! それからだな、アイツの歌唱力はとても素晴らしくて、この私でさえ思わず聴き惚れて──」
「違うっ!! 俺が言っているのはそうゆう事じゃないッ!! あと、俺を『“処◯厨”』みたいに言うなあっ!!」
ヴィクターの声に驚き『はて?』みたいな表情をして、一瞬固まるリオンハルト。
しかし直ぐに手を広げて、
「お前の方こそ何を言っているんだ? 『未経験の爆乳女子』はお前の大好物だろう? 何をそんなに直隠す必要が?」
「人聞きの悪い事をいうなあっ!! 俺はそんな畜生人間じゃあないッ!!」
冷や汗を掻きながら顔を真っ赤にして、焦った様に怒鳴るヴィクター。
リオンハルトはそれを鼻で笑って返す。
「隠すな隠すな! 安心しろ、お前だけじゃあない。大抵の男はそうゆう者だ。『男は女の最初の男に、女は男の最後の女になりたがる』って格言があるぐらいだ。──まあ、私は微塵もそうは思わないがなっ! 生娘なんて絶対に、後々面倒臭い事に…“厄介事”になるに決まっているからなあっ!」
腕を組んで、力強く何回も頷くリオンハルト。
ヴィクターはイライラしながらも再度、反論をする。
「だーかーらーあッ!! 俺を『◯女厨』って不名誉な扱いをするなぁああああッ!!」
「分かった分かった! ──しかし、『巨乳好き♡』なのは否定しないのだな?ww」
「おっ、お前…ッ?!///」
美しくて切れ長の目を、三日月みたいな形にして、ニタニタと悪魔の様に嗤うリオンハルト。
ちょっと気持ち悪いが、それでもその綺麗な顔立ちと、溢れ出る優雅さは失われなかった。
それを見たヴィクターは顔を赤らめながらも、
『コイツ…ッ!! 嵌めやがったなあ…ッ!?』
と内心焦りながら、憤慨した。
「すまんすまん! 悪かったよっ♪ ──『“乙女狂い”』や『中古嫌悪』は流石に言い過ぎたようだ。許してくれw」
口は謝罪の言葉を発しているが、目や態度が明らかにしていない…寧ろ若干まだ小馬鹿にしている感じだ。
ヴィクターは青筋を立てて、更に咎めるように反論する。
「いくら酔っているからって、そろそろ口を慎むべきだ。度が過ぎるぞっ! それに、俺だって『我慢の限界』ってのがあってだなあ…」
「冗談だ。別にお前を本気でそう思っている訳ではない…。『“絶対純潔至上主義”』なんて糞みたいな戯言をほざく連中と、お前は全然違うだろう? ──そうじゃないと、お前の『初体験』の顛末が、私的には納得しかねるからなっ!」
リオンハルトの言葉に、目を見開いて驚くヴィクター。
それを見たリオンハルトは、不敵な笑みを浮かべる。
「私は知っているぞ? お前の『初めての相手』はセレーネではないのだろう?w」
「おっ、おっ、お前…。いっ、いっ、一体何を言って──」
「確か『“アンナ”』だったか? お前の故郷の、村娘の…」
「!?!?!?!?」
更に両目をひん剥いて、リオンハルトの発言にヴィクターは驚愕する。
リオンハルトはどこか得意気に話を続けた。
「彼女だけじゃない。『リーシャ』『シエス』『ハミルダ』『ネファン』『ニキーニ』『セッティ』それから──」
「わー! ワー! わー! ──何でお前がその事を……アンナ姐さん達の事を知っているんだあッ!??!」
「私の情報網を舐めるなよ? 全てとは言わないが、大抵の事は私は知っている! 『“情報”』は何よりも【武器】になるからなっ!」
優雅に腕を組み、鼻高々に『ドヤ顔』をキメる勇者様。
『こいつ…。マジで一発、ぶん殴ってやろうかッ!!』
と思ったヴィクターだが、事実何度もそのリオンハルトの【武器】に助けられた事があるので、歯痒い気持ちを抑えて黙り込む。
リオンハルトは尚も得意気に話を続ける。
「しかし…まあ…。まさかお前も脱童貞が、『姉姐祭り』だったとは…。いやはや、熟お前と私は何かしらの縁があるようだなっ♪」
「えっ? じゃあ、お前も…?」
「ああ。私もお前と一緒で“卒業”は『歳上◯交』だっ! ──経緯も、お前とよく似ている…。恐らくお前も、情に絆された口だろう?」
勇者の問い掛けに、バツが悪そうに表情を歪める戦鬼。
それを見た美青年は軽く笑ったあと、親友から目線を少し逸らし、暫く虚空を見つめる。
「私の場合…。とある子爵家の当主が、自分の妹達や娘達。使用人やその娘達にも手を出していたって糞みたい事案があってだな…。それを偶々知った幼い頃の私が、父上の力を借りながらどうにか解決してあげてなっ! それで、その後の事後処理をしているうちに……なんと言うか…。そのまま成り行き的にだな…」
どこか懐かしむ感じで、ぽつりぽつりと自分語りをするリオンハルト。
その表情はとても穏やかで、一切の後悔の念を感じさせなかった。
それを見たヴィクターも、リオンハルトから僅かに視線を逸らして、ほんの少しだけ昔を思い出す───。
『ありがとう、ヴィクターちゃん…。これで私達は……』
『うわぁあああんんッ!! 恐かったよぉおおおっ!! ヴィクターお兄ちゃああああんんんッ!!』
『お前はホント凄い奴だよ…。誰がなんと言おうと、お前はこの村の誇りだ…ッ!!』
ここで英雄に代わって、ちょっとだけ昔話を記述する。
詳しい内容は割愛するが、戦鬼と聖女が生まれ育った小さな村で、とある“大事件”が発生した。
悲運な事に当時、それを対処・対応出来たのはまだ幼かったヴィクター少年だけだった。
いくら英雄がその時から周りの他の少年達と比べて、『大人の男性』並に体格が良かったからって、それでも子供は子供である。
精神は未熟で未発達の少年には、余りにも荷が重過ぎた決断と行動だったが、それでも彼は己を鼓舞して頑張った。
愛する村の為に、いつもお世話になっていた皆の為に…。
何より後に最愛の恋人になる、当時から実の妹の様に可愛がっていた、大切で大事な【“家族”】の為に───。
結論から言えば、結果的にはその“大事件”は【小英雄】のお陰で、どうにか解決出来た。
しかし残念な事に、小英雄の奮闘も虚しく、被害を被った者……犠牲者が少なからず出てしまったのである。
それが村で『お姉(姐)さん組』と呼ばれていた、可憐な少女達や清楚な淑女達だ…。
彼女達『お姉さん組』の身を呈した【自己犠牲】によって最小限の被害で済み、最愛の『幼馴染』の身も、どうにか無事だったのである。
今も尚ヴィクターは、変わらず彼女達『お姐さん組』には、感謝してもしきれない恩義と、申し訳ない…『助けてあげられなかった』後悔と謝罪の気持ちでいっぱいだった…。
だからこそあの時小英雄は、彼女達の提案に……細やかな『願い』に応えてしまったのである───。
『お願いヴィクターちゃん…。私達の事を…抱いて……くれないかな…?』
『えっ…? でも……それは──』
『やっぱり…。こんな穢れてしまった……醜い身体の…女達は……嫌っ…よねっ…?』
『そんな事ない! アンナ姐さん達はとっても綺麗だ!!』
『それじゃあ…?』
『………こんな俺で良ければ。あと、セレーネには…』
『ウフフ…。勿論よっ! これは私達だけの秘密ねっ♪ ──本当にありがとう、ヴィクターちゃん…♡♡♡』
年端もいかない少年に、何をお願いしているんだと馬鹿にする者や、呆れ果てる者。
『犯罪者だッ!!』と口汚く罵る者もいるだろう。
しかし、それぐらい彼女達の“精神”は追い込まれていて、もしあの時ヴィクターが応えなければ、恐らく彼女達はそのまま自ら命を断っていただろう…。
それ程までに悲惨な“事件”だったのである。
英雄の昔話はこれで終わるが、ここで余談話を一つ。
彼女達『お姉(姐)さん組』は現在、皆それぞれ愛する伴侶と出逢い、結ばれて家庭を持ち、子宝にも恵まれて幸せな日々を謳歌している───。
戦鬼は忌々しくも貴重で、懐かしい昔の出来事を振り返りながら、勇者に確認の意味を込めて問い掛ける。
「せっ、セレーネには…?」
「ん? 云うわけないだろうっ! それに、彼女はそれぐらいでお前の事を嫌いになる女性か? 先ほど私は言ったな。『女は男の最後の女になりたがる』とっ! 彼女は典型的なそれだ! ──『経験人数なんてどうでも良い…。ただ最後に私の傍に居てくれれば、それだけで…』を地で行くような女だぞアレはッ!!」
少し興奮気味に力説し、空になった友のグラスに、酒をなみなみと注ぎ入れるリオルハルト。
『ほれ、注いでやったぞっ!』的な促す素振りをされたヴィクターは、躊躇いながらも一気に呑み干す。
「良い飲みっぷりだな、ヴィクター! ──フフフ…。それからなのだろう? お前が生粋の『おっぱい星人』になったのはっ!w」
「ごほっ?! ゲホゲホッ!? ──なっ、何を…///」
「白を切っても無駄だぞっ! 調べはついているんだからなっ♪ ──お前が初体験を捧げた村娘たち全員、『たわわな果実』の乙女達だったのだろう? 子供ながらに衝撃が強過ぎた所為か、お前はそれ以来『大きな実』の持ち主以外ではあまり興奮出来なくなってしまった! …違うか?ww」
先程より更に気持ち悪さを増々にしたニタニタ顔で、悪友が詰め寄ってくる。
予想外の図星を突かれヴィクターは、それを顔を真っ赤にしながら視線逸らし、全力ですっとぼけた。
「アハハハ! 分かりやすい奴めっ♪ 良かったなあっ! 愛しの恋人が『“乳牛娘”』でっ!w」
「ちっ、違うッ!! 俺は別にセレーネが…そのっ…大きいからって…付き合った訳じゃあ……/// ──それに、俺の彼女に変な渾名を付けるなッ!!」
「すまんすまん!w お前を見ているとつい、揶揄いたくなる衝動に駆られてしまうんだっ♪ ──そうだよなぁ…。お前は彼女が小さい時から気に掛けて、過保護気味にずっと見守ってきたんだもんなぁ…」
一旦間を開けて、気持ち悪さを通り越して不気味なまでの『ニチャア…w』顔を晒すリオルハルト。
そして、ヴィクターにとってはある意味『禁句』の言葉を、平然と投げ掛ける。
「なあ? ヴィクター 『“お 兄 ち ゃ ん”』 www」
「!??!!??!!??!」
【勇者】のクセに【悪魔】の様な下卑た笑みを浮かべる、微笑みの貴公子様。
それを見た戦鬼は金魚の様に口をパクパクさせながら、顔を赤らめて固まる。
「いやぁ〜。まさかあの【聖女】が、昔は【戦鬼】の事を『“お兄ちゃん”』呼びしていたとはなっ! 私も是非、上目遣いで『リオルハルトお兄ちゃん!』と呼んでみてもらいたいものだなっ♪」
「おいっ…」
「ん? なんだ? 『お兄ちゃん』呼びは幼馴染である、お前だけの“特権”とでも言いたいのか? 意外と独占欲と嫉妬心の強い奴だなあ!w」
勇者の揶揄に再び青筋を立てて、ご立腹になる英雄。
その様子を見た彼は『やれやれ…』と言った感じで手を広げて、頭を数回振るいながら親友を諭すように見やる。
「冗談に決まっているだろう。それにあのセレーネが、お前以外にそんな事するかぁ? 周囲が軽く引く程、お前の事が『大大大大大好きっ!♡』な、あの【狂愛聖女様】がっ! ──本当にお前もセレーネも、お互いに相思相愛…大好き同士だな!w 少し羨ましく思うぞっ♪」
「なっ、なんだ急に…」
「だってそうだろう? 私が気付いていないとでも思っているのか? ──お前は確かに『このパーティーを抜ける』とは言っていたが、『“彼女と別れる”』とは言っていなかったよなあ?」
「ッッッ!!!!!!」
意表を突かれた問い掛けにヴィクターは、目をまん丸として驚く。
それを見てリオンハルトは、自分の考えが当たっていたのを確認し、軽く数回頷きながら微笑する。
「やはりな…。──お前の事だ。大方、頭を冷やす為に暫く距離を置きたくて、『パーティーを抜ける』なんて言ったのだろう? んで、パーティーを抜けた後は気付かれないように遠くから我々を…『最愛の恋人』を見守るつもりだった。もし、彼女に何かあれば直ぐに駆けつけれるようになっ!」
一息おいてリオンハルトは話を続ける。
「それでもし本当にセレーネが、自分以外の男性を好きになった場合は、お前は潔く身を引くつもりだった…。どうだ、違うか…?」
親友の推察に、暫く呆気に取られるヴィクター。
しかし、直ぐにいつもの…仲間や親しい者達に見せる、優しい目の表情で微笑する。それと同時に想う──
(やっぱり俺は親友が少々苦手だ…。いや、正直……かなり嫌いだ。俺より俺の事を熟知して、理解している勇者が…)
と。その戦鬼の心中を見透かすかのように、リオンハルトも軽く笑い、言葉を紡ぐ。
「フフ…。お前は本当に、不器用で面倒臭い奴だなあっ! まあ、そこがお前の最大の長所で、私が一番評価し、魅力を感じている人柄でもあるのだがなっ♪」
「うっ、うるさい…ッ/// 元はと言えばお前が…ッ!!」
そう言っていつの間にか、また注がれていた酒を照れ隠しを誤魔化す為に、一気に呷るヴィクター。
それを「おおっ!」と驚嘆の声と共に、小さく拍手するリオンハルト。
それから一気飲みをして、「ゼーハー…ゼーハー…」と荒い息を吐いている親友を暫く見詰めた後、あっけらかんとした態度で、再び戦鬼に問い掛ける。
「それでだ。少々脱線はしだが、話を本題に戻すぞっ! ──どうだ? ミルティを娶る気になったか?」




