24 『あたたかい』
「お、おねえちゃんにッ……ひ、ひどいことを……ッ…………ひどいことをッ、いって、しまいましたッ……」
ぽたり、ぽたり……。
「き、きっとッ……おねッ、おねえちゃんはッ……わたしのこと…………きらいになりましたッ!!」
ぽたり、ぽたり……。
「うぅぅ…………き、きらわれたく、ない……です……」
涙が止まらない。
溢れた涙が地面に落ちる音が聞こえる。
少女は、森の中にいる理由を神様に話した。
「ご、ごめん、なさい…………おねえ、ちゃん……」
神様は何も答えず、ただ黙って話を聞いてくれた。
「ひとりぼっちは……い、いや、です………………ぇ……」
おもわず気の抜けた声が出る。
……かみ、さま……??
少女の言葉を聞いて、神様は少しだけ目を見開いた。
それからすぐに、とても寂しそうな顔になる。……今にも泣いちゃいそうな、そんな顔だった。
「かみさ——ぁ…………」
……あたたかい……。
神様がそっと手を伸ばしてきて、少女の涙を優しく拭ってくれた。
『大丈夫』
「え……」
『大丈夫だよ』
あいかわらず何も答えてくれないけれど、それでも神様の想いは伝わってきた気がした。
「…………」
神様の顔が目の前にある。
今は、口元を綻ばせて笑顔を作っている。
でも、少女にはその笑顔が涙を堪えているように見えて……。
「かみさまも…………さみしいんですか?」
『…………』
何も答えてくれなかった。
涙も止まり、少し落ち着いたころ、涙を拭ってくれていた手が少女の手元に伸ばされる。
「ぁ…………」
優しくて温かい手の感触が伝わってくる。
『行こ』
神様は少女の手を引いて歩き出す。
「か、かみさま!?」
『あなたのお家に帰ろう』
少女は戸惑いながらも、神様についていく。
……く、くらい…………でも……。
何も見えない森の中。
広場と違って、月明かりは届かない。
とても怖い……と、さっきは思っていたのに、今は……。
「かみさま……あ、ありがとう、ございます」
『…………』
やはり、何も答えない。それでも、お礼を言わずにはいられない。
神様は、こちらの歩く速さに合わせながら、ゆっくりと進んでくれた。
足場の悪いところを通るときは、振り返って合図もしてくれる。
「…………あ……」
そのひとつひとつの仕草に、心がじんわりと温かくなる。
誰かに手を握ってもらうことが、こんなにも嬉しいことだなんて……。
「ありがとうございます」
だから、少女はもう一度神様にお礼を言った。
ピクッ。
神様は振り返らなかったが、手が少しだけ震えたのを感じた。




