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 ティファは黙って話を聞いてくれた。僕は涼香と過ごした日々を思い出してしまい、おもわず涙しそうになった。


 涼香が失踪してから、僕は涼香を探そうと、学者をやめた。そして探偵になったわけだ。まあ、探偵という業務は真剣に、真面目にやれば忙しくて大変らしいけど、僕なんかは依頼を無視してしまう時もあるし、断る時もある(断るときの方が多い)から僕はこの業務で苦労したことはまだ一度もない。


 探偵としての苦労はこれから知っていくのかもしれない。


「涼香さんという女性はここにいないならどこにいるのですか」


「消えたんだよ」


 自分で言っておきながら、それは変だと自分で思ってしまった。


「消えたんですか?」


 ティファも理解できなかったようだ。


「ある日突然姿を消した。警察にも相談したけど、”そんな人は日本にはいない”と言われて探すにも探しようがなかった。もしかしたら、この世界には涼香という女性は存在しなかったのかもしれない……なんて今でも思っているよ」


「それは悲しいですね」


「悲しい、切ない、不安でたまらない。……だけど、今日からなら安心できそうだ。いや、錯覚かな。まあ、錯覚にしろなんにせよ気休めにはなるだろうね」


「どうしてでしょう?」


「ティファが涼香にそっくりだからだよ。たまに仕草も似てる。でもティファは人間ではなくアンドロイドだろ?涼香なわけがないのにな」


 アンドロイドに恋心なんて……


 ……何を考えているんだ、僕は。


「涼香さんがどんな人だったか教えていただければ、真似することはできます」


 ティファは、また、髪の毛を指でくるくるといじった。


 なんでそこまで似ているんだよ。本当、似すぎなんだよ。僕はティファを涼香だと思っていいのか?


 いや、それはダメだ。涼香は唯一無二の存在であって、誰も涼香になることはできないし、僕が涼香以外を涼香だと認識するのは何だか涼香にもティファにも悪い気がした。


「別に真似なくてもいいよ。普通に接してくれたらそれでいいから」


「そうですか、わかりました」


 その後、ミチさんの了承を得て、僕は二階の一室にティファ専用の部屋を作った。


僕は少し仮眠を取ることにした。


 事件の調査は明日からにしよう。 

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