匠純一郎
床に伏せる馬鹿に周りにいた人の中から馬鹿を心配して駆け寄る人が出てくる
「ポーカ様早く治療をヒール!」
「召喚者様、ポーカ様が求愛をしている所で殴るとは、あまりにも酷いですぞ!!」
1人は治療に当たり1人は私に対して抗議をしてきた、周りにいる人達も同意見のようで頷いている、何だかよく分からない責められ方をされて、どうすれば良いの?
「召喚者様はまだ、こちらの文化に慣れておられん、だから私が世話役になったのだ、皆の者まずは落ち着けい」
「うっ、タクミ卿、しかし、それではポーカ様が」
「ポーカ様が先走っただけの事、故にポーカ様にも非がある、後は私に任せて貰う、では、揖保川殿私に付いてきて下され」
「あっ、はい」
タクミ卿と言われる日本人っぽい人に付いてこいと言われたので居心地の悪い空気のこの場から逃げるように彼に付いていった、廊下を歩く中で話し掛けられた
「召喚早々、大変でしたね、ポーカ様の行動には驚かれたでしょう?」
「そもそも、女性を口説くのになぜ攻撃してくるのか全く理解出来ません」
「ハッハッハッ、そうでしょう、そこが変わっている所ですな、異世界は」
この話し方から察するに、この人は多分
「もしかして貴方も召喚されてこちらに?」
「はい、そうです、私は匠純一郎、産まれも育ちも歴とした日本人です、こちらには1年ほど前に召喚されました、本当は山で遭難して死ぬかと思ったのですがこちらに呼ばれ生きながらえております」
やっぱり日本人だった
「私自身こちらに来て1年ほどしかいませんからこちらの全ての文化に詳しいと言う訳ではないですが、一つ言える事が、この世界ではスキル・能力が絶対でありその人の魅力もスキル・能力で決まります、先程揖保川殿が見せた真珠へ人を入れた能力は今までに無い物、あの場で揖保川殿はすごく魅力的な女性となったのです、そしてポーカ様は自身の魅力を見せるために揖保川殿に向けスキルを見せ付けたのです、本当は寸止めにしていたはずですが先に揖保川殿が殴ってしまいあの様な不興を買われてしまった状況です、ポーカ様はこの世界基準で、何も悪い事をした訳では有りません、後で謝っておいた方がよろしいでしょう、私も仲介に入りますので御安心下さい」
「そうだったのですか、横行な態度だったのでつい腹を立ててしまい、やってしまいました」
「ポーカ様は元々神から授かったスキルが良かった上に次期王として育てられたため少々天狗になっている事は否めません、ではこちらへどうぞ」
質実剛健と言える無骨な廊下を歩きながら話していると入口に扉の無い部屋へ来た、そこは小さな教会ぐらいの礼拝堂の様に長椅子が脇に並べられ、少し前まで話していた創造神様を模した彫刻像が正面にあった
「これは、創造神様ですね、とても似ています、凄い再現度ですね」
「おぉ、揖保川殿は創造神様にお会いになったのですか!?」
「えっ?はい、こちらに来るときに会いました、匠さんは会わなかったのですか?」
「私は会っていません、過去に創造神様にお会いした召喚者によってこちらにある像が創造神様だと伝えられているらしく、召喚者の中でも会った人と会わなかった人で分かれるらしいです、そしてこの像はこちらの要塞が見付かった時からあったらしく、当初は何の為にあるのか分からずホコリが被る程のずさんな扱いをしていたらしいのですが、創造神様にお会いした召喚者によって事実が分かると、ここは神聖なる場となりました」
「ここは要塞なのですか?」
「はいそうです、こちらは塔1階にある最初の要塞です、今は実質王宮のように扱っています、ではこちらにある石碑に手を添えて下さい」
「あっ、はい」
言われた通りに創造神像の前にあった四角柱の石碑に手を添える