鈴が鳴る
鈴の音が鳴り響く
「はっ!私は一体何を?」
「ふう…正気に戻ったか、ヘッドの突きを受けきるのは骨が折れたぞ」
ヘッドさんが元に戻り、コーノレ団長が愚痴る
「あれ?ポーカ王子!すっ、すみません!!俺何であんな事を……」
「黒狼に操られたらしい、だから気にしなくても良いぞ、そう言えば問題の黒狼はどこだ?」
ドーロさんを慰めるポーカ王子が辺りを見渡すが、黒狼の姿が見当たらない
『ぐっ……今のは一体何だ!?私の力が霧散してしまったぞ!?』
突然ヘッドさんの影から頭が一つで普通の黒い狼が飛び出てきた、どうやら弱っているようで足をプルプルとさせながらなんとか四足で立っている
『はっ!そうか、41階層に仕掛けた罠を壊したのはこの力か!?』
罠?何の事だろう??
『お前達の様な者が私特製の呪詛を振り切りここまで来れるはずがない!そうか、そこのお前がやったのか、お前は一体何者だ!?』
黒狼に睨まれ質問されてしまった
「私は創造神様から塔攻略の為に呼ばれて来た異世界人よ」
『異世界人だと?名を何と言う?』
「私は命叡」
『ふっ、変わった名前だな』
「異世界人なんだから仕方ないでしょ」
もう、何なの?人の名前を聞いておいて馬鹿にして
「なら、貴方の名前は?」
『我はガフェル!生きる者の絶望、憎悪、怒り、嫉妬、悲愴、ありとあらゆる悪感情を糧とする悪魔なり!』
「それは悪趣味ね、そんな悪魔は退治をしないといけませんねポーカ王子」
『ん?お前は何を言っておるのだ?』
「その通りですね、イボガワ様!」
私が悪魔と話している時にジリジリと悪魔との距離を詰めていたポーカ王子に呼び掛けるとそれを機にポーカ王子が一気に動く
「はぁあっ!魔法斬!!」
『何!!』
ポーカ王子の光りを帯びた斬り込みが黒狼の首を切り落とす
黒狼は一瞬ポーカ王子の斬り込みに気付きはしたが、一言発しただけだった呆気ないものだった
落ちた頭はポーカ王子に気付いた瞬間の目を見開いて驚いた顔をしていた
その頭はすぐに黒い煙となり、無くなった、それと同時に首から下の体も消えてしまう
「ポーカ王子遂にやりましたな!」
コーノレ団長が歓喜を上げる
「ルビー、遂に、お前の仇を……」
ヘッドさんはルビーさんを思い上を向いて感涙している
「やった!あの野郎を倒した!」
ドーロさんも少し涙を流しながら喜んでいる
「ふぅ、イボガワ様、彼奴の気を逸らして下さり有り難う御座います」
「いえ、あの黒狼が勝手に私の事を意識していただけですし、何もしてませんよ」
「何をいいますか、イボガワ様の力に慄いていた訳ですから、やはりイボガワ様のお陰ですよ、有り難う御座います」
そう言ってポーカ王子は腰を九十度に曲げ礼をする
「「「有り難う御座います!!」」」
ポーカ王子に続き後の3人も深々と礼をする、ちょっと恥ずかしい
「そっそうだ、ここで仇を討てたのであれば、少しやって欲しい事があるのですけど良いですか?」
恥ずかしさを誤魔化す為に話題を変える
「はい、私達が出来る事であれば何なりと!」
「有り難う御座います、それでは……」