黒狼遭遇
近づいて来る脅威に警戒していると斜め上から漆黒で大きな狼が襲ってきた私の頭ぐらいはある前足を振り下ろして来るところだったが、私達と黒狼の間に透明な壁が現れ、黒狼の攻撃を防いだ、この壁は
「玄武?」
「はい、その通りで御座います」
右隣にいる玄武が結界を張ってくれたらしい
「ありがとう、玄武」
玄武によって突進を防がれた黒狼は斜め上空で玄武が出した壁とせめぎ合っていたと思ったら突然姿が消えた
「消えた!?もしかして影に!?」
コーノレ団長が警戒して自分の影を確認する、私は先読みをして黒狼が出てくる先を読む、拳に神通力と光の魔法を込め
玄武の背後の影から出てくる黒狼にタイミングを合わせて正拳突きを放つ
『ぐふぅおっう!』
先読みをした通りに、黒狼が玄武の影から出てきて、玄武を後ろから噛もうと大口を開けた顔の横から殴る事が出来た、黒狼は勢いよく殴った方向にぶっ飛び、塔の内壁にぶつかり凄い衝撃音がする
『ぐおぉぉ、おっ、おのれぇ、よくもやってくれたな』
私が殴った事で下顎が欠損した黒狼は足を震わせながらゆっくりと立ち上がる
「イボガワ様!奴こそあの漆黒の狼です!」
コーノレ団長が説明をしてくれる、私に声をかけ、黒狼を睨んでいる、とても興奮している様な気がする
「チャルメル様!神聖魔法をお願い致します!!」
ヘッドさんがチャルメルに頼んでいる、しかしチャルメルに反応が無い
「チャルメル、どうしたの?」
「なんで?ここでなら弱るはずなのに、変わってない……」
チャルメルは私の肩の上で茫然としている
「ほらチャルメル、神聖魔法をかけないと」
「はっ!そっそうね、皆いくわよ!」
そう言ってチャルメルが光りキラキラした星屑を空中に出した、その星屑が私達に降りかかる、体がほのかに光っている様な気がする
「さあ、これでアイツを倒せるわよ!」
チャルメルの魔法はこれで掛かったらしい
「ありがとう御座います!」
チャルメルの力を受け気合いが入ったヘッドさんが細い剣を抜いて黒狼の元へ走る
「私達も行くぞ!」
ポーカ王子が掛け声を出してヘッドさんに続く
「うぉおお!やってやる!」
コーノレ団長は自分を鼓舞してどこに持ってたのか分からない大きな剣を掲げポーカ王子に続く
「よっしゃ!仇討ちだ!」
ドーロさんは短剣を二本持ち黒狼の元へ走る
『ぐっ、治らぬ!?なぜだ!?』
黒狼は私が殴った顔が治らない事に驚いている
「ご主人様、我々はいかが致しましょう?」
白虎が尋ねてくる
「皆はポーカ王子達のサポートに回ってね」
多分チャルメルの力があるから大丈夫だと思うけど、念のためにね、それにポーカ王子達には仇討ちをして欲しいし、私達が出張るのはちょっと違うかな
「畏まりました」
四神獣達はポーカ王子達に近づきサポート体勢に入った、私もサポートに入ろう、神通力は有限だから光り魔法を中心に使っていこう、チャルメルが掛けてくれた力があるし、四神獣達もいるし倒せないとかはないだろう多分