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手合わせから稽古へ

 ティフェさんが早くあり得ない動きをする瞬間足は魔力が沢山使われている、これは身体強化だけではなく多分動きを手助けする何かで、見る限り純粋な魔力だけが足を覆っている、身体強化なら足の中にも魔力が循環しているはずだけど、『纏っている』のだ

 試しに私も真似てみる、すると魔力の膜で地面から足が離れる、これで摩擦ゼロ状態になっているこれが滑らかに動いた原理かな?でもこれは少し浮いているだけなので横移動に向いていない、他に何か理屈がある筈、そう思い踏み込もうとした時、纏う魔力が地面を踏みしめる感触まで伝わってきた、そうか纏う魔力は身体の一部みたいになってるのか、そういう事なら……良い事思い付いた!それにこの原理ならティフェさんの動きに説明が付く

 私のフェイントから避けて離れていたティフェさんが左足を軸に反時計回りで半回転して右足を出して右足を軸にまた反時計回りで半回転して左足を出してを繰り返して真っ直ぐこちらに来る、次の半回転で接触する場所まで左足を前に出して半身の状態になった時、ぬるりと突然あり得ない動きでこちらに入り込んで来た、その時の足に纏わせている魔力の動きを見て確信に変わる!ティフェさんは懐に入り込む勢いに任せて左手の突きをお腹に向けて刺して来た、しかし私は見様見真似で左足に纏わせた魔力を左前方に噴射!

 右足を軸に左半身は反時計回りで小さく弧を描きティフェさんの突きを避け勢い良く回った左手を裏拳で、突きの体勢でがら空きになってしまっているティフェさんの背中へカウンターを決める!


「一本!」


「「「ワァアー!」」」

 ファングさんの声と同時に周りが沸き立つ


「ぐぅっ!まさかミサト様も剣円舞を!?」

 ティフェさんは背中を突かれバランスを崩して膝を付き顔を顰めながら驚愕している


「いえ、私はティフェさんの歩法を真似ただけですよ」


「私の?」


「私の足に纏わせた魔力をよく見てて下さいね」

 ティフェさんに分かりやすく目の前で魔力噴射(今、命名)を披露した


「ティフェさんのスキルはこの特殊な歩法を利用して相手に虚を突いて隙を作ったところで攻撃!っという感じですね、最近は身体強化も併用しているみたいなので以前より機敏に動けているのではないてすか?」

 この歩法は身体が柔すぎると身体がついていけないと思う、だから身体強化で身体が強くなれば急激な加速に耐えられる


「はい、そうなのですが、顕著な輝きの変化が無く、どうすれば良いのかと……」

 ティフェさんは肯定した後に、ポーカ王をチラリと見てから少し声を抑えて答えてくれる、身体強化だけではスキルの成長まで行ってないらしい


「成る程、まずはスキルに頼る事無くこの歩法が出来るようにしていきましょうか、私のやった通りに今からして下さい」

 手合わせそっちのけで指導に入る、まずは前後左右の運きからスッスッとやって見せる


「はっはい!えっとふん!」

 ティフェさんは何度もスキルを使い込んで来たおかげなのかすんなりとやってのけた


「お〜良いですよ、ではスキル剣円舞を使わずスキルの動きを真似ながら手合わせをやりましょうか」


「はいっ、お願いします!」

 そういう訳で、スキル不使用のティフェさんと手合わせをする事になったのでティフェさんが動きやすい様にやっていく、もうこれは手合わせでは無く稽古になってしまっているギャラリーとしてはあまり面白くないだろう、兎に角ティフェさんの問題を解決してポーカ王と引っ付いて欲しい私としては真剣にビシバシと指導して行った、色々やっているうちに魔力噴射の使い勝手の良さを見出し、足だけでなく手や腕だけでなく身体全体で噴射してスキル剣円舞を魔改造して行った、流石に手や腕はスキルで使われていなかったのですんなりと出来なかったけどティフェさんは頑張って何とかものにした、そんな事をしていたらギャラリーがざわつきだした、一体どうしたのだろう?


「ミサト様、ご指導のところをすみません、今からティフェのスキルを確認して来ても良いですか?」

 そんな事をふと思った時にファングさんが話し掛けてきた


「え?スキルを?良いですよ」


「ありがとう御座います、ティフェ行くぞ」


「はっはい!」

 ファングさんとティフェさんは試合場から駆け足で出て行ってしまった、私は訳が分からずポツンとその場に佇んでいたら


「ミサト様!どうか私も手合わせをお願い致します!」


「「「「「私も」」」」」

 突然ギャラリーから人が沢山駆け寄ってきた


「えっ、あの……」

 何がなんやら訳がわからないので戸惑うばかりで揉みくちゃにされていたら


「皆さん静まりなさい!」

 ウメ王太后の一言で場が静まる

「創造神様より御告げです、ティフェ子爵は日頃より人一倍の努力をしていたからこそスキルが成長したのです、この中にティフェ子爵に負けぬ程の努力をしていたと言える者はいるか?」

 ウメ王太后がそんな事を言うと集まっていた人達はスーッと私から離れていった、皆が迫ってきたのはスキルの成長か、いや〜創造神様有難う御座います事態の収束助かりました


『いえいえ、ミサト様には塔攻略を優先して頂きたいですからね、それに集まって来た者の大半はスキル成長の見込みが無い者達でしたから』


『そう言えばスキルの成長には魂の成長が必要なのでは?』

 確かこちらに来る前に聞いた様な気がする


『立ち塞がった問題に真摯に向き合い打ち勝つ心で挑む事で魂は成長していきます、これには成功や失敗もあるでしょう、成功すれば成長しやすいのですが、失敗したとしてもそこから学ぶ事があれば、成功した時と同様の成長が見込まれます、スキルは成功へ導く一つの型なのです、その型をしっかり使いこなせれば成長の見込みが上がりますのであのティフェという娘は成長出来るだけの努力をしいたと言う事ですね』

創造神様の話しと周りにいる人達の反応からティフェさんの努力は半端なかったみたい


「ミサト様、ティフェの事、誠に有難う御座います」

 ポーカ王が引いてゆく人達を避けてやって来た


「出たなティフェさんの悩みの元凶」


「うっ、確かにそうなのですが、前王フルハントが黒狼に殺されたと聞いた時から目の前が暗く歪んだ日々の中でミサト様の強き輝きを見ると一瞬で惹かれてしまったのです、これは仕方ない事なのです」

それって輝きの強い私が悪いって事?そんな理由で一目惚れを私のせいにするの?なんかモヤモヤする


『ミサト様、これは本当に仕方の無い事なのですよ、ミサト様が持つスキルであれば人間が美の女神に直接会った様なものですから、未婚だったポーカ王では抗うことなど出来ないのです、せめて許嫁では無く婚約にしていれば違ったのでしょうが』

 創造神様の話から考えると本当に私のスキルのせいだったみたい


『本懐を成した今のポーカ王ならば目が覚めていることでしょう』

 そう言えば私に対するあの気持ち悪い言動が減ったような……


『ポーカ王と娘ティフェの仲を取り持ちたいのであれば、手っ取り早く46階層で手に入れたクッコロ鳥を二人の前で焼けば良いのです』

 ちょっと創造神!?あれは永遠に葬ろうと思ってたのに!あんなヤバい薬物みたいな物に頼ったら駄目ですよ


『二人は相思相愛なのですから良いではないですか』

 あれ?そうなの?そう言えばティフェさんに対するポーカ王の想いを聞く事無く、自分勝手にティフェさんと引っ付けようと独りよがりになってた、相思相愛ならあとは切っ掛け次第で私が何もしなくても引っ付くんじゃ?


『甘い!甘いですよミサト様、二人は許嫁とされてお互いが意識をしだして既に10年、進展が何も無いのですからね!』

 人にはそれぞれペースと言うものがあるじゃないですか?それにあれだけ頑張っていたティフェさんなら何とかなりますよ、それにスキルが成長したみたいですしね


『それではこうしましょう、スキルの成長をしても尚、進展がなければクッコロ鳥を使うというのはどうでしょう?』

 ちょっと、何でそんなに急かすのですか!?


『先頭に立って戦うのが剣の王なのです、その為短命になりやすく、また塔民の食料確保の為に忙しなく出撃するものですから若い段階で子作りをしておかないと夜の体力が出ないのです、同じ様な理由で砦を守る盾の王も体力の関係上早く結婚する事が望ましいのです』

 急いでいるのはそう言うことなんですね、ん〜〜、クッコロ鳥は最終手段かな……

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