手合わせ
ティフェさんは私が着替え終えるまで待っていてくれた、その間手合わせのルールやティフェさんのスキル『剣円舞』の特徴や最近の鍛錬方法等(以前騎士団の訓練で導き出した常時身体強化の使用とか)色々話を聞いた、そして二人で稽古場へ出ると、空手の試合場(8×8М)より少し大きめに正方形で石畳が綺麗に組まれている試合場があった、その試合場の真中にはファングさんが佇んでいたその試合場の外(石も敷かれていない土だけの地面)には沢山のギャラリーがいた
「こっ、これは一体……」
沢山のギャラリーに引いているティフェさん、私はこうなるだろうなと思っていたので驚きは無い
「あれはポーカ王とレンダ王!?」
ティフェさんの視線の先には小さく手を振るポーカ王とレンダ王がいた、これには私も驚いた、誰かが呼んだのだろう
「ティフェさん、ポーカ王に良いところを見せましょうね」
色々と驚いて固まっているティフェさんの腰をパンパンと軽く叩き緊張を少しでも解す
「はっ、はい!」
意識が逸れていたティフェさんは正気に戻り試合場へと進む、私もそれに続き試合場の真中でファングさんを挟む形でティフェさんと対峙する
「これよりミサト様とティフェ子爵の手合わせを仕切らせて頂く!勝敗は5本先取、両者宜しいか?」
真ん中にいるファングさんが宣言をする
「「はい!」」
ティフェさんから聞いていた通り有効打の5本先取、頭への攻撃は絶対に寸止め、他の所はちょっと当てても良いらしい、ここはやっぱり異世界、死に至らない怪我程度なら回復手段(ゲームで言うポーションみたいな薬とか)があるのでこういうルールみたい、あとは魔法と武器の使用、ティフェさんは両手に半月刀(刃は潰してある)私は拳に土魔法で造った厚さ一センチ程のミット
「では始め!」
ファングさんは開始合図と同時にその場から少し離れる、ティフェさんは左手を軽く前に突き出し右手を胸に添え左足を少し前に出して半身構えをして少し腰を落した、その構えを見ながらティフェさんのスキルの事を考える、ある程度着替え中にティフェさんのスキルの特徴を聞いた感じではカウンタータイプだと思う、これは私と相性が悪い、私は空手でカウンターが得意だったから、しかも今回は未知の異種目試合、何が来るのか分からないのでどんな対応も出来るように自然体で様子見をする、そりゃあこちらで手に入れた力に任せて完封とか出来るかもしれないけど、今はそう言う趣旨じゃないし、剣円舞と言う武芸の様なスキルを肌で感じてみたいので、神通力による先読みは無しで行く、ティフェさんは身体強化を使っているので私も使っておく、しばらくお互い睨み合いだけで一歩も動かない、どうしようこちらから仕掛ける?ふとそんな事を考えた時、ティフェさんの体が僅かにブレた、と思ったら左足を軸に時計回りをして両手を広げ軸足を変えながら踊るように、私から見て右側から弧を描く様に近付いてくる、その回転速度は結構速く手の動きが捉えにくい、あと半回転で接触!ここは振られる剣を手で弾きカウンターを決める!そうビジョンを立て迫ってきた剣を右手で弾こうとしたが、剣の軌道が突然逸れ私の手と接触する事なく手前の空を切る、これはヤバい!次に攻撃が来る!どこから!?おそらく回転の勢いを着けた左手の大振りの一撃!?しかし左手は死角で動きが読めない、これはカウンターを狙う余地が無い!咄嗟に両手で右側を頭から脇の防御体勢を取った瞬間正面のお腹に衝撃が来る
「一本!」
「「「ワァー」」」
ファングさんの掛け声と同時に周りが沸き立つ、私は追撃を避けるためにティフェさんから距離を取る、先程の動きは何があった?接触する前に逸れた剣の軌道あれは手首もしくは腕を曲げた?最後の一撃は?ティフェさんの立ち位置を見ると思いの外数歩分近く感じた、もしかしてあの一瞬で懐に入られた?あの体勢から?おかしい、もしそうなら回転の勢いを抑えて近づく必要がある、そうすれば一拍の隙が出来るはずなのに無かった、どういう事?これはよく見ないと、そう思い目を凝らし前にいるティフェさんを見る、追撃をせずに構えている、これは誘われている?先程の不可解な動きの謎を解きたいのでもう一度やってくれないかな、まぁ同じ事はやらないかな、元々カウンタータイプなのに攻撃してきた事が稀なのだ、ここは虎穴に入らずんば虎子を得ず、今度はこちらから行こう、左足を前に出し腕を構えてススッと真っ直ぐすり足で近づく、あと一歩で射程圏内のところまで入り込み次の一歩を勢い良く動かし床を強く踏みつけ大きな音がするが、大きく踏み込んだと見せかけで実際は半歩だけ拳を出す素振りを見せる、その動きにティフェさんが過敏に反応、手前に出している左手を迎撃する様に振り右足を軸にヒラリと滑らかに回転する、あれはおかしい、あまりにも滑らかすぎる、確認のためもう一度フェイントをかけてみる、するとまたヒラリと回転、成る程ここは異世界、こちらの常識で捉えてはいけないようだ




