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ティフェ・スロテクシ

 稽古場はお城の入り口玄関ホールの横にある扉を潜りちょっとした庭を石畳の通りに進むと一つの建物があった


「こちらが稽古場です、そしてあちらにある部屋が女性用更衣室になります」

ファング伯爵がその建物の扉を開けて教えてくれる


「分かりました有難う御座います」


「ミサト様、こちらが騎士団女性用団員服になります」

 先程ファング伯爵に服の事で話し掛けられていた女性が服を持ってきてくれた


「有難う御座います」

 服を受け取り更衣室へ入るとそこではティフェさんが着替え終えるところだった


「これはミサト様お着替えですね、こちらの戸棚であれば空いておりますのでお使い下さい」

ティフェさんは一つのロッカーを半開きにして教えてくれる


「分かりました」

 言われたロッカー前でドレスを脱ぎ騎士団女性用の服に着替える、女性用とは聞いているがスラックスに頑丈なジャケットでとても男っぽい、そんな事を思いながら着替えている最中に


「ミサト様、手合わせを了承して頂き誠に有難う御座います」

 ティフェさんが改めてお礼を言いに来た


「今回は私の気まぐれなので気にしなくて良いですよ」

 本当はただの時間潰しのつもりだったけど、ファング伯爵から聞いたティフェさんの心情を考えると本当のことを言い辛い

 大した返答が出来ず会話が盛り上がらない、これはすべて私のせいなんだけどね、何か違う話題を……そんな事を考えていると


「この度ポーカ王の本懐を助力頂き誠に有難う御座いました」

 そう言ってティフェさんは深々と礼をする


「なぜティフェさんがポーカ王の為にお礼を言うのですか?」

 許嫁だから?まだ結婚してないのに?


「私は光栄にもポーカ王と許嫁の関係でしたので、ポーカ王と幼い時からよく話せていたのです、ポーカ王は昔から前王フルハント様に憧れ必至にフルハント様の力量へ追いつこうと励んでおられましたが、黒狼にフルハント様がやられてからは笑顔が消え無心に鍛錬をなされておりました、私もポーカ王の支えになれるよう寄り添いましたが、私ではポーカ王のお力の向上が出来ず口惜しい時が続くばかりでした、そんな折にいと輝きたるミサト様が召喚されポーカ王の目に光が蘇りました、ミサト様に未婚男性が惚れ込むのは必定、許嫁の私がいる中でもポーカ王が元気になったのはとても喜ばしい事でございました、そしてミサト様はポーカ王に光を蘇らすだけでなく本懐のご助力までして頂き、私は感謝の念が絶えません」

 ティフェさんは胸に両手を添え片膝を着き頭を下げる

 この子顔良し器量良しなのにあのポーカ王は私なんかに現を抜かさずこの子を早く娶りなさいよ


「ティフェさんが私に凄く感謝している事は分かりました、もう顔を上げて立って下さい、これから手合わせをしてティフェさんが強くなる指導を出来る限り致しますから、強くなってあのポーカ王に振り向いて貰いましましょう」

 こちらの世界の美醜判断基準がスキルの強さなら、スキルが強くなるよう頑張ればあの馬鹿を見返せるかも


「ミサト様有難う御座います、しかし許嫁の私が成し得なかった事をたやすくなされたミサト様こそポーカ王に相応しいのだと思うのです……が、幼い頃からポーカ王と結婚するのだと思っていた私としては簡単に諦めきれぬものであり、もし出来るのであればもう一度ポーカ王の側を歩みたいです」

 ティフェさんは立ち上がってくれたけど話しているうちにトーンと目線が段々落ちてゆき、俯きがちになってきた


「それならこれからスキルの強化を頑張りましょう、それに私はポーカ王はタイプじゃないのでティフェさんには頑張って欲しいんです、私はティフェさんを応援しますよ!」

 ポーカ王の事が好きな人の前でタイプじゃないと言うのは無神経かもしれないけど私にはお父さんがいる、だから仕方ないのだ

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