創造の力
着替えが終わりメイドさん達とお喋りしていたら
コンコン
ドアがノックされた
「はい、少々お待ちを」
そう言って一人のメイドさんがドアまで行き外を伺う
「あ、はい、はい、もう終わりました、確認をいたしますので少々お待ち下さい」
来客の対応をしたメイドさんがこちらに来て
「ミサト様、ヤート様がお越しになりました、お部屋にお招きしても大丈夫ですか?」
どうやらヤートさんが来たらしい
「はい、大丈夫です入って下さい」
着替えはもう済んだので入ってもらう
「分かりました」
メイドさんがヤートさんを招き入れる、その後ろには外で待っていた玄武と朱雀も入ってきた
「ミサト様失礼いたします」
入って来たヤートさんの格好は今朝一緒に城へ来た時と違っていた、青の生地に黒の刺繍が施された服を着ている
「おお!ミサト様より一層麗しく輝いておりますね!」
ヤートさんが賞賛してくれる、あからさまでも悪い気はしない
「有難う御座います、ヤートさんも着替えたのですね、えっと確かその色は子爵?」
「はい、そうです公爵であるミサト様の下で総括役をする事になりましたので確認の為私もあそこで同じ事をしましたところ2階級も上がっておりました」
ヤートさんはとても嬉しそうに話しながら服をうっとりとした顔で見ている
「これもミサト様にお仕え出来たお陰です」
ヤートさんは私に一礼をする
「そう言えばヤートさんは私のところに来る前は何の仕事をしていたのですか?」
「私は城の経理管理をしていました、何とか騎士爵まで至りましたがそれ以上に上がる事が出来ず、ミサト様の元へお仕えする話が来た時、すぐに飛びついたのです、すると子爵にまで上がりましたね、この爵位に恥じぬ様精一杯努めさせて頂きます!ではミサト様こちらを私の胸元に付けて下さい」
ヤートさんが本を開いた形をしたフェルトパッチを目の前に出してきた
「これをですか?」
それを受け取り観察してみる、開かれた本の右側のページは純白、左側のページはシルバー
「あれ?この配色は私のドレスと同じ?」
私のドレスは白地に銀のボタニカル刺繍、完全に一致している
「はい、その通りです、公爵位に仕える総括役であるという意味です、私はミサト様に仕える者ですから主であるミサト様から付けて頂く事が慣例ですのでこちらにお願いします」
そう言ってヤートさんは右手を左胸に当て胸を張る
「分かりました、こちらですね」
言われた通りフェルトパッチを付けようと思ったのだけど、裏に安全ピンみたいな物が無かった、どうやって付けるのだろう?
「あ、胸に当てるだけで付きますよ」
私が悩んでいたら察したヤートさんが教えてくれた
「分かりました」
付ける位置と向きをちゃんと確認してヤートさんの左胸にフェルトパッチを当てると何の原理なのかは分からないけどピッタリと服に付いた
「私ヤート・ショットはミサト様に忠誠を誓います!」
ヤートさんが一歩小さく下がりこちらの世界流の敬礼をしながら宣言をしてきた、私は何か言った方が良いのかな?ちょっとカッコよく言ってみよう
「期待しています、励みなさい」
自分なりに精一杯の澄まし顔でフェルトパッチを付ける時に伸ばした手を前にいるヤートさんの顔に被る様腕を上げ、決め台詞を言ってみる
「おぉぉ……ミサト様神々しい」
私の台詞を聞いたヤートさんが身震いをしたかと思ったらよろめきながら膝をついて涙を流し私を見上げ合掌して拝みだした、えっ!?この反応は大袈裟だよ、拝められた側の私が凄く驚くよ!一体どうしたの!?
『ミサト様が破壊の力を上手くスキルに落とし込めた為に創造の力が出やすくなっています、その上ミサト様には貴方のお父様の幸せな気持ちにさせる力を少しばかり使えますから、その力と親和性の高い創造の力が合わさった力を受けてしまうとその者の様になります、創造の力を上手く扱える様になればこの様なことは起きませんよ』
創造神様が説明をしてくれた、創造の力か〜私あれ苦手なんだよね元の世界で命様に教え込まれたけど難しいのなんの
『こちらの世界ならば親和性の高い魔法がありますからすぐに慣れますよ』
創造神様が事も無げに言い出す
『そうなのですか?創造神様は私の不器用さを知らないからそんな事を簡単に言えちゃうんですよ!』
『魔法は魔力に想像と想いの強さが合わさり発現するのです、その手順を纏めたのが魔法スキルです、創造の力も精気に想像と想いを込めて発現させる手順です、魔力か精気かの違いなのです、現在ミサト様はスキル魔力感知操作で魔力の扱いに慣れておりますから、その要領で精気を操れば良いのです、それでも難しいのであればスキル補助のある魔力を使った、新しい魔法を創造してみてはいかがですか?思ったより簡単に出来ますよ、そちらで正気を失い拝んでいるその者を目覚めさせる魔法を今創造してみては?』
『え?そんな簡単に言われても……』
精気を感じるのが元の世界でも分かりにくかったんだよね、スキルで魔力はよく分かる、精気は……そう言えば精気の塊の精気石があったんだしこれを参考にすれば、そう思い精気石をアイテムボックスから取り出す、これだけ濃縮されているのなら不器用な私でも感じ取れるかも?精気石から精気を感じ取る為に精気を取り込んでみる、力が漲り高揚感で何でも出来そうな気分になる、これならイケるかも?ヤートさんを正気に戻し、幸せな気持ちにする力を霧散させる魔法……いや、その力を無くすのはお父さんとの縁を切るみたいでなんかヤダな、そうなると目を覚まさせる魔法を作ろう洗脳を解く感じで……
「よし、これなら」
イメージ通り新しい魔法を精気で創造し手に魔力を集めて発動!ヤートさんに向けた手がピカッと一瞬光る
「はっ、私は一体なにを?」
ヤートさんが正気に戻った、良かった
『成功しましたね、少しコツを掴めましたか?これで無意識に出してしまう創造の力を抑えてくださいね』
創造神様から助言を貰った
『分かりました、決め台詞を言った時に理想の統治者をイメージしちゃったのが勝手に出ちゃった感じですね?これからは気をつけます、有難う御座いました』
『いえいえ、頑張って下さい』
さて、ヤートさんは元に戻ったけど、この状況を何とか誤魔化さないと
「ヤートさん、早く戴冠式に行かなくてもいいのですか?」
「はっ!そうでした、それでは行きましょうか」
ヤートさんはやるべき事を思い出してくれた、これでさっきの事は忘れてくれたら良いのだけど……
「ご主人様、先程のは?」
先を歩くヤートさんに続いて歩いていたら白虎が尋ねてきた
「先程って、どっちの事?」
ヤートさんの洗脳?それとも新しい魔法を創った方?
「ヤート殿が正気になった方です、創造の力で魔法を作りましたよね?」
私の後ろにいた白虎は分かったみたい、元の世界で散々創造の力を見てきたから分かるよね
「創造神様の助言でやったんだよ」
「創造神様の?」
「時間があったらまた話すよ」
「分かりました」
創造神様の話になったので白虎は話を切り上げてくれた
それから少し歩いてヤートさんの案内で戴冠式の会場、私が召喚された時に来た謁見の間に入った




