獣人を説得
私が内心ホッとしていると
「うぅっ、ここは?」
朱雀に浄化されて白耳白髪白尻尾になった獣人達が目を覚ましだした
「あ、気付きましたか、ここはアチ村の中ですよ」
「え?アチ村?何でそんな所に?」
獣人の中で一番年寄りに見える獣人が聞き返してきた
「あなた達はガフェルに食べられてからここで吐き出されたんですよ」
「そうだ!あの時ガフェル様に私は食べられて……それからの記憶が無い……」
思い出そうとしているけど何も思い出せないみたい
「それで、ガフェル様はどちらに?」
辺りを見渡してガフェルを探しだす獣人
この質問はちょっと困る、正直にガフェルを倒しましたなんて言うと多分怒るだろうな〜崇拝対象を倒されて怒らない信者なんている訳もなく、でも事実を捻じ曲げる事は逆立ちしても無理だし、困った
「安心してください、あなた達を襲ったガフェルは私達が倒しました」
ガフェルは悪者であるとそれとなく認識させていかかないと話がややこしくなる
「えっ、ガフェル様を?変な冗談はやめてください、ガフェル様がやられる訳が無い」
老獣人は現実を受け入れる事が出来ないみたい
「そうだそうだ!ガフェル様を倒したなど不敬なことを言うお前は何者だ!」
「あ、私は揖保川命叡、異世界から来ました」
創造神様の事を言うと敵意を出してくるのだと以前ブレルと話した時に学んだので創造神様の事は言わないでおく
「耳も尻尾も無い変な奴等だな」
1人の獣人が私達の身なりを嘲笑う、はっきり言って貴方達の方が人の姿からかけ離れてるからね!でも今は多勢に無勢、何を言っても信じる訳が無い
「おい、お前ガフェル様が何処に行ったのか本当は知ってるんじゃねぇのか?」
6人の中で一番ガラの悪そうな獣人が絡んできた
「ガフェルはもう居ないよ、コチ村だけでなくアチ村にも危害を加えたから倒しました」
「ガフェル様が我等コチ村に危害を加える訳がねぇだろ!!」
「「「「「そうだそうだ!」」」」」
ガラの悪い獣人の怒声に他の獣人達も、感化され同調
「あなた達はガフェルに食べられたでしょ!」
実害が出ているのに何を言ってるのか
「いいや!ちゃんと俺達は生きている!ガフェル様が必要だったから食っただけだ!」
受け入れたくない現実の正当性を語りだした、それは希望的憶測であり、正解では無い
「ここにいる朱雀が貴方達をガフェルから助けたの!朱雀がいなかったらずっとガフェルの腹の中だったのよ?」
「お前等が俺達を助けなくてもガフェル様なら我等を吐き出していたに決まっている!」
あ〜これは何を言っても駄目だ、長い間の洗脳が染み付いてる、ブレルはガフェルが目の前で暴れてくれたからガフェルが悪いと分かってくれたけど、今はもういないし、説得するのは面倒そう、まずはその凝り固まった信仰心を『壊そう』、私は力を両手に込めて
ぱんっ!!
柏手を打つ
「うっ、確かに食ってからわざわざ吐き出す訳ないよな、それなら食わなければ良いんだし」
「そうだよな、あんた達助けてくれてありがとう」
獣人達はとても聞き分けが良くなってくれた
「ちょっとちょっと!ミサト何をやってんのよ!ビックリするじゃない!何で急に『力』を使ってんのよ!」
チャルメルが怒っている
「ああ〜ごめんね、邪魔な信仰心を壊そうと思って、咄嗟に使っちゃった、前もって言った方が良かったね」
「ええ……そんなものまで破壊しちゃうの?何それやりたい放題じゃない」
「流石に倫理や道徳は弁えるよ、今回は洗脳みたいなものだったから、そういう悪い物を壊したんだよ、利己的にこの力を使った事は無いよ」
これで話を進められる