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王族と会談

 今回連れてこられたのは戸籍登録した時の狭い部屋より断然大きい部屋なのだけど、煌びやかさが無く、壁は要塞の積まれた石が露わになってて、無骨で角張った長テーブルが置かれている場所だった


「揖保川さんはこちらへ」

 匠さんに上座(所謂お誕生日席)の隣へと案内された、因みに四神獣達は真珠の中に入って貰っている私の席の前には椅子が四脚、右手に上座の一脚、左手には匠さんが座る

「揖保川さん、王がいらっしゃると立ち上がり王へ向けて低頭をして下さい、そして王が着席しましたらお座り下さい」

「はい、分かりました」


 あ~貴族って異世界でも面倒くさいな~

 コンコン、部屋の扉がノックされ、扉を少し開けて執事っぽい人が入ってきて


「ロイル王及びポーカ王子、レンダ王子、ペア王妃、ウメ王太后、スート閣下がおいでになりました」


 会釈しながら誰が来たのか教えてくれる、私は匠さんから言われたように立ち上がり匠さんに合わせて低頭する沢山の足音が近づいて来る上座の椅子が引かれる音がすると、誰かが座る気配がしたと思ったので頭を上げ椅子に座る、対面には知らない女の人がいた、その隣にも知らない男の子(多分12才ぐらい)がいて、その隣にあの馬鹿がいた、良かった離れている


「イボガワ殿今日はダンジョンを体験されたと聞きましたぞ?どうでしたか、初めてのダンジョンは?」

 王様が声を掛けてくる

「そうですね、私の仲間の頼もしさを深く感じました」


「仲間とは召喚された時にいた人達ですかな?」


「はい、そうです、厳密に言えば人では無いのですけど」

 そう言いながら私は四神獣達を私が座る椅子の後ろに呼び出す

「ご主人様如何いたしましたでしょうか?」


「ご主人様、お呼びでしょうか?」


「ご主人様、如何様に致しましょう」


「ご主人様お呼びとあらば何なりと」


 四神獣達には次呼んだ時は王族の前だからそれなりの対応をして貰うよう言っておいた、何だかここまでヨイショされるとこそばゆいな…


「おおー!今度は現れたぞ!して、この者達は人ではないと?」

王様は驚き私が言った事に質問を投げ掛ける


「はい私の式神、えっと、ん~、こちらで何と言えば良いのか分からないですね…幽霊って分かりますか?」


「えっ!!この方々幽霊なのですか!?」


 わたしの席から一番離れたところに座っている日本人ぽい女の人が驚いている


「母上分かるのですか?」


 あの馬鹿が母上と呼ぶ、そうなるとあの馬鹿の隣にいる驚いた人が王妃かな?なるほど、あの馬鹿は日本人っぽさが少しある、王様は西洋人のような綺麗なブロンド髪だけどあの馬鹿は黒髪、そして幽霊と聞いて驚いた女性も黒髪、じゃあ、今私の目の前にいる金髪の女性は誰だろう?


「陛下、イボガワ様にとって、初見の方々がおりますからご紹介されたほうが宜しいかと」


 ロイル王の後ろ横にいたスートさんが良い案を出してくれる


「それもそうじゃな、皆、それぞれ名乗りなさい」

 ロイル王が言うと


「挨拶が遅れてしまい失礼しました、(わたくし)ロイル王の妃ペアと申します」


 正面にいた綺麗な女性が王妃様だった!?


「私はペアの子のレンダと申します」

 王妃様の横にいたのは王子だった、え?じゃあ、あの馬鹿は??


「愛しの君よ私はポーカ、前王フルハントの子、貴方の一撃で、ますます愛が深まりましたこれからもっとよろしく」


 キラン☆(ウィンクの音)

 ギャー気持ち悪い!!鳥肌いっぱい出ちゃったよ!匠さん、こいつやっぱりなんにも考えて無いよ!!


「私は前王フルハントの妃ウメです、貴方と同じ召喚者ですよ」

「あ、やっぱり、日本人ぽいと思ってました」


「何と母上は創造神様のお声を聞くことが出来るのです凄いでしょう!」


 ムッフーっと、馬鹿が母親自慢をして満足している

「へっ、へぇー凄いですね」


 凄いのはウメ様であってあんたじゃない!


「そう言えば、揖保川さんは召喚される前に創造神様とお会いしたそうですよ」


 馬鹿の自慢話しで話のキャッチボールに困っていると隣にいる匠さんが違う話題を振ってくれる


「なんと!?誠ですか?」

 ロイル王が驚いている、相当珍しいのかな?


「はい、そうですよ」


なぜこんなに驚いているのかよく分からないので肯定しておく


「タクミ卿、イボガワ様のスキルは報告の通りか?漏れはないのか?」

「はい、それは確かに書き漏らしはありません」

「どうかしたのですか?」

 どうしてここで、私のスキルの話しになるのだろう?

「今まで召喚された者の中で創造神様とお会いになった者は創造神様の声を聞くことが出来るスキルを有していたはずなんですよ」


「えっ、私はその様なスキルは無いですね…」

 ドッキーーンいけない、顔に出そうなぐらい驚いた!!

 ちょっと!創造神様!!スキルを徹底的に隠しすぎですよ!せめてお告げを聞けるみたいなスキルを入れておかないと


『これは盲点でしたその様な統計を取られていたとは』


 創造神様結構おっちょこちょい?


『神だって、失敗ぐらいしますよ、だから召喚者に頼っているのですから』


 そこは開き直らないで下さい!

『仕方ありません…』

 仕方無いって、ちょっと何とかして下さいよこの状況


「ハッ!創造神様のお声が!」


 突然ウメ様が何か言い出した、そして、目を閉じ合掌する、創造神様の声とか言うのでみんなウメ様にくぎ付けに

「イボガワ様の状況が分かりました、創造神様はイボガワ様に塔の100階層踏破をお願いしたそうです、そのため強力なスキルを与えたと」


「「「「100階層!?」」」」


 匠さん以外みんなが揃って驚いている

 これは創造神様なりのフォローかな?驚かせて有耶無耶にしようとしてる?これに乗っかれば良いな


「私は創造神様から最低100階層まで行くよう頼まれました」


「最低ですか?」


「どうやら、この塔には500階層まであるらしく、そこまで私は目指すつもりです」


「500!?信じられん、あの最強だった兄が40階層ボスで惜しくも亡くなったと言うのに…」


「王よ揖保川さんは本当に100階層に行ってしまうかもしれません」


「むっ、どういうことかなタクミ卿?」


「はい、この場で報告する予定でしたが今日揖保川さんと1階層へ出た時に普段ではあり得ない大きさのプヒモと遭遇したのです、私は40階層ボスを思い出してしまい腰が抜け何も出来なかった中でこちらにいる揖保川さんのお仲間さん達が羽虫を叩き落とすかのように容易く倒されたのです」


「大きいとはどれぐらいですかな?」


「揖保川さん、あれを出して下さい」


「え?あのイノシシをですか?」

 多分話しの内容からプヒモはあのイノシシだろう


「はい、そちらの空いている場所へお願いします」

「分かりました」

 言われた場所へ行ってイノシシの毛皮と牙、肉の塊を10個出す


「急に毛皮が出た!?」

 会話に入っていなかったスートさんが驚き声を上げる


「こっこれが、その倒したモンスターなのか?」

「はい、そうです!見て下さいこの大きさ!毛皮では高さまで分かりにくいですが、私の二倍以上の高さを持つ大きなプヒモだったのです!それを簡単に屠ったお仲間さん達の実力を考えれば、100階層も夢ではないでしょう!!」


 匠さんが良いプレゼンをしてくれる、私が言う事は無いね


「おお~何と頼もしい、イボガワ様、我々の中では今まで10階層ごとのボスを討伐すれば爵位を与えるのが恒例ですから、もし100階層を踏破したともなればイボガワ様が王となってしまいますな」


 やめてロイル王そんな面倒事やりたくない、どうせ微塵も思ってないでしょそんなこと、これが貴族の揶揄いってやつ?


「いえ、私は500階層踏破したいので、爵位は要りません」


「そうでしたか、100階層など通過点に過ぎないと、少しお願いがあります」


「えっと、何でしょう?」

 え~、王様からの頼み?嫌な予感しか無いのですけど…


「実はポーカ王子を50階層攻略まで同伴させて欲しいのです」


 王様がヤバイ事を言い出す


「王よ!良い考えですね!!」

 馬鹿が身を乗り出して立つ

「え゛、嫌です」

「なぜだ!愛しの君!!」


 そういう所でしょ!!


「まぁ、落ち着けポーカ王子よ、イボガワ様にも事情があるだろう、それに急に連れて行って下さいと言われても戸惑うであろう、イボガワ様、こちらの事情を話させて頂けませんか?」

 そんな言われ方をして断れる訳ないでしょ


「はい、どうぞ」


「有難う御座います、こちらのポーカ王子はわたしの兄、前王フルハントの忘れ形見、フルハントは去年の40階層ボス戦で惜しくも亡くなってしまった、というのが表向きの死因です」


「表向きですか?」


「はい、ボス戦で疲労困憊のところで41階層に入った時、要塞防衛へ回った時に奴が現れたのです」


「奴?」


「はい、喋る大きな狼です」


「モンスターは喋るものなのですか?」


「いえ、普通は喋りません、奴だけ特殊だったのです、創造神様から、特殊であることを後で聞かされました」


「奴は多くの狼を引き連れボス戦直後の兄フルハントに手下の狼をけしかけ隙を突いてフルハントを亡き者にしたのですフルハントと同行していた王親衛隊3人と騎士5人そしてタクミ殿だけ残して『これから、お前達はその建物から出るなもし出ればなぶり殺しにしてやる、建物の中で大人しくしていろ、定期的にここへ攻める事になっておるからせいぜい死なぬよう汚く足搔くが良い』と言って去ったのです」


「私が不甲斐ないばかりにすみません」

 匠さんは王様に謝罪しながら涙を堪えている

「タクミ卿は40階層ボス戦でフルハントを庇って出来た名誉ある傷を負っていたのだろう?私はタクミ卿を責めるつもりは無い」

「そして奴は50階層を目指す者を阻む存在となりました、それにフルハントの仇となったのです、ですからポーカ王子は仇である奴を打ち倒す事が目的なのです、どうかそれを叶えさせてやりたいのです、ぜひお願いします」

「愛しの君、私からも頼む!足は引っ張らないから!」

 なによ~そんな話があったの?胸が熱くなるじゃない、こういう話弱いのよ~、馬鹿だと思ってたけどそんな過去があったのね、嫌いだけど50階層までなら世話してあげてもまあ、良いかな?でも嫌いだけど!


「50階層までなら良いですよ」


「本当ですか!有難う御座います」

王様が頭を下げる


「おお~!愛しの君!今君の愛を受け取ったよ!!」


「あ、やっぱりこの話無しで」

 やっぱりこいつ馬鹿だ


「一体どうしてですか?」

 王様が困り顔で尋ねてくる、ここはガツンと言わないと分かんないだろうな、あいつは馬鹿だから


「ポーカ王子の態度です、私はきっぱり殴ってまで拒絶を示しました、しかし理解していない様子、一応私を庇護する目的があったと匠さんから聞きこちらにある品を謝礼品として納めようと思ってましたが、それも考え直した方が良いですね」


「ほら、ポーカ謝りなさい」

 ウメ様が馬鹿をコツいて叱る


「すみません!イボガワ様!どうか、父の仇打ちをなにとぞ手助けして下さい!」

 テーブルに両手をついて馬鹿が懇願してくる、私の呼び方が変わってちょっと進歩


「御免なさいイボガワ様、この子私がフルハントにされた求婚話を聞かせ過ぎたみたい、憧れのフルハントの真似なんだと思います」

 親譲りかー


「まず、私は貴方に気はありませんから、これからの態度を改めて下さい」


「はい、分かりました」


 一気にしおらしくなった、これが普通なんだから良かったとしましょう


「一応、庇護下に置いて貰ったことには変わらないしこちらの品をお納め下さい」


「有難う御座います」


「私共もイボガワ様に良からぬ事が起きぬよう手を尽くしましょう」


 王様も庇護してくれる様だ有難い

「有り難う御座います、少し申し訳ないですがこちらの品をポーカ王子とお分け下さい」


「有難く頂きます」

 王様が軽く頭を下げる

 あれ?私、王様に頭下げさせて大丈夫なの(今更だけど)?


「陛下、こちらの特大プヒモもしかしたら奴と同じ特殊なあ奴と同じなのではないでしょうか?」

 匠さんがイノシシを狩った時に気にしてた事を言い出した


 創造神様、早くフォローを!!

「ふむ、確かにこれは気になるな、このプヒモは喋らなかったのか?」


「もし、喋っていたとしても喋る前に倒してしまいましたので分からないです」


「ほう、そこまで手際が良かったのですか」

 王様が尊敬の眼差しで見てくる、でも私何もしてないですけどね!


「ウメ様何か神託はなかったのですか?」

王様でもウメ様呼びなんだ、私もイボガワ様って呼ばれてるし、でも匠さんはタクミ卿だったような、違いは…性別?


「はい、無いですねっ、今来ました」

 ウメ様が合掌して目を瞑る、創造神様のフォローキター


「分かりました、今日このプヒモが大きかったのは…」

 以前創造神様から聞いた話をウメ様が語り出す

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