樹液
「よしっ!駆除出来たわね、早く食べないと新鮮な樹液が溢れちゃうわ!」
「あ!チャルメル様ずるいです私も!」
切り株の動きが止まるとチャルメルが倒れている幹の切断面へ飛んでいく、それに釣られてカーも付いて行く
「チャルメル様!駆除完了しましたか?音が無くなりましたけど?」
素早く飛ぶチャルメルの前にベルが突然現れた(どうやら転移してきたみたい)
「ちょっ!」
「へ?」
ドーーーン!
チャルメルは避けきれずベルとぶつかってしまう
「いったたた……ベル!びっくりするじゃない、もぅ」
チャルメルはぶつかった後、すぐに態勢を整え目の前に現れたベルに愚痴る
「あたたた……チャルメル様すみません」
ベルはぶつかった所から飛ばされ地面で四つん這いになっている
「チャルメル様、ベル大丈夫ですか!?」
チャルメルの後ろにいたカーが二人を心配して駆け寄る
「ええ、私は大丈夫よ、それより早くしないと樹液が!」
「ん〜〜お〜い〜し〜」
チャルメルは倒れた幹を見て驚愕する、ティンが既に切り株から切り離された幹の切断面から出てくる新鮮な樹液を食べていたから
「ティン!抜け駆けは許さないわよ!ベル、カーあんた達も早くしないと、新鮮な樹液が減っちゃうわよ!」
驚きのあまりに少し固まったチャルメルはすぐに意識を戻しティンに抗議しながら新鮮な樹液が一番出ているティンがいる所へと突撃し樹液を掬い取り舐め
「んー!美味しい!何これ今まで食べた樹液の中で一番美味しいー!」
一口舐めた瞬間に目を見開き絶賛するチャルメル
「ん〜!甘いだけでなく適度な渋みのある木の香りが奥深さを出していて美味しいですね、精気もたっぷりありますから力が漲ります」
カーが饒舌に食レポをしてくれる
「美味しい〜!美味しい〜!」
ベルは味わうよりも貪る感じで食べていた
「こら!ベルもっと味わって食べなさい」
チャルメルはベルのオデコを軽く叩き注意する
「でもでもチャルメル様〜先程のダメージを回復したくて沢山食べたいんです〜」
「んっ、んんんそうね、私が悪かったわ、しっかり回復するまで食べて良いわよ」
「はい!」
ベルはチャルメルから許しを得てまた貪りだす、チャルメルはベルが食べやすい様に体をずらし場所を譲るも、ベルが食べるところをチラリと見ては少し樹液をすくい取りチビチビと舐めていた
「チャルメル、その樹液を採取しても良い?」
「あっミサト、そうね新鮮な樹液が出る今が一番美味しいから取るなら今よ、ほらベルちょっとこっちに来なさい」
チャルメルは私が採取できるように場所を譲ってくれる
「ありがとうチャルメル」
匠さんに用意して貰った蜂蜜を入れていた(今は何も入って無い)壺で切り口から滴る琥珀色の樹液を受け止める、チャルメル達が絶賛していたので壺に溜まる前に一口舐めてみる
「ん!美味しい!」
なんとなく、メイプルシロップっぽいけど、確かメイプルシロップはサトウカエデの樹液を煮詰める工程がいるはずなのにこれは何もしなくてもメイプルシロップみたいな風味で香ばしく美味しい
「でしょ〜?今回のは特に美味しいから、ミサトは運が良いわね」
壺いっぱいに溜まるまで時間がかかりそうなので今日はここで寝泊まりする事になった、一応周辺に何かないかと散策したけど枯れ木があるだけで食べられそうな物が無かった、残念、チャルメルが言うにはさっきの木が周辺の精気を長い間吸い取ってたから何もないのだろうとの事、だから今手に入る精気はこの木の新鮮な樹液しかなく、とても貴重な物だから私のアイテムボックスに採れるだけ取って保存しておいて欲しいらしい