✒ おみやげ 1
マオ
「 ところでさ、セロは何処に出掛けてたんだよ?
マオキノとセノコンが “ 死神に会いに行ってる ” って言ってたけど、何で死神と知り合いなんだよ? 」
セロフィート
「 犯罪天国都市ですし、死神さんだって居ます。
ワタシが死神さんと友達なのが気に入りません? 」
マオ
「 別にぃ~~、今更だろ!
どうせセロには、オレの知らない友達が他にも居るんだろ! 」
霄囹
「 何だよ、一致ょ前に妬いてるのか?
マオはガキだねぇ。
自分に自信が無いのかよ? 」
マオ
「 そっそんな事ないよ!
オレは何時だって自信満々だし! 」
霄囹
「 本当かぁ~~? 」
マオ
「 シュンシュン、オレに喧嘩売る気かよ! 」
セロフィート
「 マオも霄囹さんも仲良くしてください。
死神さんから頂いた “ お土産 ” があります 」
マオ
「 お土産ぇ??
死神って、お土産くれるもんなの? 」
セロフィート
「 ふふふ。
遥か昔、より多く人間の魂を回収する為に、死神さんの御先祖様達が作った玩具です 」
マオ
「 玩具?
死神って玩具も作るのかよ? 」
霄囹
「 セロフィート、死神の先祖が作った玩具って何だよ?
持ってるなら早く出してくれよ 」
セロフィート
「 はいはい。
これです 」
セロが食卓テーブルの上に出してくれたのは、ソフトボールくらいの大きさの立体的な塊だ。
マオ
「 これは──何??
三角が沢山あるけど? 」
セロフィート
「 それは正20面体の立体パズルです。
このパズルの遊び方を説明します。
両手で包み込む様に持ちます。
おにぎりを握る様に撫で回します。
カチッと音がすると、1面が起き上がり、出っ張ります。
出っ張った部分を回したり、引き上げたりすると別の1面が起き上がったり、引っ込んだりします。
この動作を続けると動物の形に変わります 」
マオ
「 動物の形になるのか?
面白そうなパズルじゃん! 」
霄囹
「 マオには難しいんじゃないのか?
パズルなんだろ。
完成させれるのかぁ~~? 」
マオ
「 馬鹿にするなよ!
オレだってパズルぐらい出来る!
セロ──、どんな動物が出来るんだ? 」
セロフィート
「 熊 → 鷹 → 魚の順番で変形します。
最後は各々違う動物に変形します。
何の動物が出来上がるのかは完成しての楽しみです。
面白そうでしょう 」
マオ
「 へぇ~~。
最後の動物はシュンシュンとは違うんだ?
これを死神が作ったのかよ…。
死神って凄いんだな~~ 」
霄囹
「 多くの魂を回収する為に作った玩具なんだよな?
パズルを完成させた奴から魂を奪える──って玩具なのか? 」
セロフィート
「 死神さんの話では、地獄の門が開き、周辺に居る生物の肉体から魂だけを回収してくれる便利な玩具です♪ 」
霄囹
「 ………………。
おい、そんな物騒な代物を “ 玩具 ” なんて言って良いのか?
玩具の域を超えてるだろ! 」
セロフィート
「 死神にとっては他愛ない玩具です。
何せ死神見習いの子供達に手っ取り早く魂を回収させる為に作られた代物ですし 」
霄囹
「 地獄の門が開く物騒極まりないな代物を子供に使わせるなんて、死神ってのはとんでもない奴等なんだな… 」
マオ
「 セロ、地獄の門って本当に出るのか? 」
霄囹
「 気になるならパズルを完成させてみたら良いだろ?
本当に沢山の魂を回収する事が出来るのか?
くぅ~~~~気になるなぁ!!
マオ、どっちが先に完成させれるか競争するか? 」
マオ
「 えぇっ?!
別に良いけどさ……、地獄の門が出て来て開いたりしないよな?? 」
セロフィート
「 おや、マオは地獄の門とやらが見たくないです? 」
マオ
「 え?
いや…………そりゃ……見られるもんなら見てみたい……かも?? 」
セロフィート
「 マオ、ワタシに地獄の門を見せてください 」
マオ
「 セロ…… 」
霄囹
「 セロフィート、パズルが完成した後、どうしたら元の形に戻るんだ?」
セロフィート
「 上に向かって投げます。
完成体から魚へ戻すのに1回、魚から鷹へ戻すのに2回、鷹から熊へ戻すのに3回、熊から元の状態へ戻すのに4回です。
簡単に戻す事が出来ます 」
マオ
「 へぇ…。
じゃあ、間違えて上に投げない様にしないとだな! 」
霄囹
「 それにしてもさ、なんで死神は明らかに物騒な玩具をセロフィートに2つもくれたんだ?
それに玩具なら取り扱い説明書はないのかよ? 」
セロフィート
「 その玩具は試作品の2つです。
流石に本品は貰えませんでした。
本品は人間の魂だけを回収する事が出来ますけど、試作品のそれは人間の魂だけではなく、人間以外の生物の魂も回収してしまう失敗作だそうです 」
マオ
「 しっぱ──えっ?
失敗作ぅ~~?! 」
霄囹
「 はぁぁぁぁぁぁ!?
人間の魂だけを回収する本品じゃなくて、人間以外の魂も回収する失敗作だってぇ!?
何処が試作品だよ!!
全然、試作品じゃないぞ!! 」
マオ
「 セロ!
何で本品よもヤバいヤツを貰って来てるんだよぉ!! 」
セロフィート
「 面白いと思って♪ 」
マオ
「 何処が面白いんだよっ!!
全然、面白くないだろぉ!! 」
セロフィート
「 マオ、此処は何処でしょう 」
マオ
「 何処って──? 」
セロフィート
「 此処は≪ 日本国 ≫随一の犯罪天国都市です。
毎日、必ず何処かで30件以上の事件や事故が起きてます。
今更、大勢の人間が死んでも誰も気にしません♪ 」
マオ
「 いや、気にするだろ!!
クリスマスには【 大量サンタクロース凍死事件 】が起きたばっかじゃんかよ!
今でもニュースで報道されてるし! 」
セロフィート
「 あれの被害者は犯罪者ばかりです。
今回は人間以外の生物の魂が回収されますから、人間以外の死骸も大量に発生します。
面白い事になります 」
マオ
「 ………………オレ……完成させたくないかも…… 」
セロフィート
「 マオ……。
ワタシに地獄の門を見せてはくれません? 」
マオ
「 ──そんなに地獄の門ってのが見たいなら、セロが完成させたら良いだろ!
オレは──何か、嫌だ!! 」
正20面体の立体パズル──。
死神が作った沢山の魂を回収する危険極まりない玩具──。
そんな物騒な玩具を触れるかよ!!
◎ 此処まで持って来るのに4日も掛かりました。
長かったです。