✒ 新年!あけおめ 5
Y県にある《 ホテル街 》に行って、ラブホテルに入ってから起きた事をペラペラと自慢気にセロへ話すシュンシュンの左隣で、オレは両手で頭を抱えていた。
恐くて顔を上げられない。
セロの顔が見れない!!
ラブホテルに入ったのは事実だけど──、オレは別に玄武さんとシュンシュンにと疚しい事なんて、一切していない!
シュンシュンと玄武さんが陰陽術を使って証拠隠滅はしていたけど、厭らしい事なんて、一切してない!!
見知らぬ男女が●●●●してる最中の卑猥な声は暗闇の中で聞きはしたけど──、セロに対して罪悪感を抱く様な事は、一切してない!!
〈 久遠実成 〉に誓う!
死んだって構わない!!
オレは真っ白な無実だ!!
オレは何も悪くないぃ~~~~!!
霄囹
「 ──という訳だ。
異界を作った妖しは僕と玄武の共同作業の末にブッ倒して祓ってやった!
戦力にならなかった役立たずなマオを衛りながら戦ったんだぞ!
感謝してくれよな! 」
マオ
「 オレを衛ってくれてたのは玄武さんの式神だったけどな~~ 」
霄囹
「 僕だって衛ってやっただろうが!
そんな訳で異界から現実世界へ無事に戻った訳だけど── 」
シュンシュンはエレベーターに戻ってから起きた事をペラペラと自慢気に話し始めた。
霄囹
「 ──そんな訳で、玄武と証拠隠滅をしたんだ!
29日にプロ棋士の対局を終えた玄武は、寄り道しないで宿泊しているホテルに戻って、A県の宿泊ホテルに転移すると言っていたし、僕とマオもその日の内に弓弦が宿泊しているE県のホテルへ向かった。
29日に誰かがあの部屋のドアを開けたとしても、念の為に発火する様に仕掛けておいたから、僕達3人の痕跡は爆発と炎と共に消えてると思うねぇ。
防犯カメラは式神に回収させたし、中身のデータは消して、防犯カメラごと粉々に粉砕して水洗トイレに流してやった!
僕達3人が2体の奇妙な死体と関わりがあるなんて誰も思わないさ! 」
マオ
「 第1発見者にならない為に随分と大掛かりな事をしちゃったよな…… 」
霄囹
「 第1発見者になったら面倒だろ!
必要な事だったんだ。
2体の奇妙な死体は燃えない様にしたんだ。
異形,怪異が関係している事件だからな、犯人を捕まえるなんて出来やしないし、解決もしないだろうねぇ。
迷宮入りの未解決事件が増えるだけさ! 」
セロフィート
「 大体の事情は分かりました。
玄武さんと霄囹さんが陰陽術を使った痕跡を消さなかったのは痛いですね。
陰陽術の痕跡を辿って、Y県の陰陽師が訪ねて来るかも知れません 」
マオ
「 何だよ、それ!
陰陽術の痕跡を辿るなんて出来るのかよ? 」
セロフィート
「 魔法を使った痕跡を探る魔法はあります。
陰陽術の痕跡を探る陰陽術が無いとは断言出来ません。
陰陽術を追跡する陰陽術もあるかも知れません 」
霄囹
「 そんな陰陽術は知らないけぞ。
だけど、仮に有るなら面倒な事になるかも知れないな……。
どうしたら良いんだ──!! 」
マオ
「 セロ、どうにかならないのか? 」
セロフィート
「 知った事ですか。
身から出た錆でしょうに。
ワタシは知りません 」
マオ
「 セロぉ~~ 」
セロフィート
「 そんな顔しても駄目です♪
異形,怪異が存在する≪ 島国 ≫です。
此処は東京都でY県から離れてますし、未解決の迷宮入り事件は珍しくないです。
必要以上に心配する事もないでしょう 」
マオ
「 そっか、そうだよな!
此処は東京都なんだ!
Y県から凄く離れてるもんな!
大丈夫だよな? 」
霄囹
「 セノコン、おしるこおかわりな!
餅は焼きめを付けて、バターソテーしてくれよ。
バターおしるこってヤツだ! 」
セノコン
「 畏まりましたエリ 」
マオ
「 何だよ、それぇ!
マオキノ、オレもぜんざいおかわり!
オレの餅も焼いて、バターソテーしてほしい! 」
マオキノ
「 畏まりましたエリ 」
セロフィート
「 お餅は明日の御雑煮にも使います。
食べ過ぎない様にしてください 」
マオ
「 御雑煮かぁ~~。
マオキノの作ってくれる白味噌の御雑煮もセノコンの作ってくれる吸い物の御雑煮も美味いんだよな~~ 」
霄囹
「 僕も雑煮は好きだ!
焼いた丸餅に汁を掛けて食べる雑煮が1番だ! 」
マオ
「 はぁ?
四角い餅を汁と一緒に煮込んだのが美味いんだよ!
トロッとする前の絶妙な柔らかさと味が染み込んだ餅が堪らないよ 」
霄囹
「 いいや!
絶対に焼いた丸餅に汁を後掛けした雑煮が美味い! 」
マオ
「 断然、汁と一緒に煮込んだ四角い餅の雑煮だよ!! 」
セロフィート
「 はいはい。
どちらも美味しいです 」
御雑煮の事で言い合いをするシュンシュンとオレを見て、セロは可笑しそうに微笑んでいる。
セロの笑顔を見ると安心する。
機嫌は良いみたい──だよな?