✒ 新年!あけおめ 1
──*──*──*── 東京都米●市米●町米●横丁
──*──*──*── 犯罪天国都市・米●町
──*──*──*── 裏野ハイツ
──*──*──*── 102号室
オレとシュンシュンは弓弦さんの本因坊を懸けた対局をモニター画面から見てから、シュンシュンの転移陣を連続使用して裏野ハイツへ帰って来た。
弓弦さんの対局日は1月1日──正月だった。
弓弦さんは忙しくて、12月30日の朝食を一緒に済ませて以降、会う事はなかった。
10歳の本因坊はスケジュールが詰まっているそうだ。
優秀で有能なマネージャーの〈 器人形 〉がスケジュール管理をしているから、弓弦さんの負担は酷くない筈だ。
例え、ハードなスケジュールだとしても弓弦さん本人が楽しいなら別に構わない。
1月1日の対局会場でもシュンシュンとオレは遠目でしか弓弦さんを見る事は出来なかった。
女装して会いに来たんだから、身内として会う事が出来ないのは致し方無い事だ。
一般客用のモニタールームで午前の対局だけを見て、速攻で裏野ハイツへ帰ったんだ。
だって、1月1日は正月の元旦だ。
大晦日も留守にしといて、正月も留守にする訳には行かないじゃないか!
セロも帰って来てるかも知れないし!!
で──、裏野ハイツへ帰って来たら案の定、セロは出掛け先から帰って来ていた訳だ。
シュンシュンとオレの転移先は101号室の居間。
急いで101号室のドアを開けて──、102室のドアを開けたら居間に入ったら、セロが椅子に座って読書をしていた。
食卓テーブルの上には豪華な重箱が並べられている。
床にはセノコンとマオキノが器用に土下座をした状態で、セロに対して平伏していた。
何か──、恐い。
オレの身体は勿論の事、シュンシュンの全身もカタカタと震えている。
シュンシュンは真っ青な顔をしていて、今直ぐにでも倒れてしまいそうだ。
何とかセロに説明をしたいのに、声が出ない。
言葉を発する事が出来ない。
どうしてだろう!?
オレは……読書をしているセロを怖がっているのか??
セロフィート
「 お帰りなさい、マオ,霄囹さん。
短い旅行は楽しかったです? 」
セロは本から目を離す事なく、オレとシュンシュンに話し掛けて来る。
怒っているのか??
声だけじゃ分からないな……。
セロフィート
「 大体の事情はセノコンとマオキノから聞きました。
ワタシが居ないのを幸いに随分と羽目を外した様ですね 」
玄関からじゃあ、セロの表情は見えない。
怒ってる……んだよな??
セロフィート
「 何時まで玄関に立っているつもりです?
セノコン,マオキノ──、分かっていますね? 」
セノコン & マオキノ
「「 はいですエリ 」」
セロフィート
「 始めなさい 」
セノコン & マオキノ
「「 畏まりましたエリ 」」
土下座をして平伏していたセノコンとマオキノがシュタっ立ち上がる。
玄関に立っていたオレとシュンシュンは、セノコンとマオキノに捕まると、訳も分からぬまま階段を上がって2階へ連行された。
──*──*──*── 2階・居間
マオ
「 マオキノ,セノコン──。
もしかしてオレがシュンシュンと出掛けちゃったからセロに怒られたのか?
もしそうなら御免な!
セロにはオレから事情を話すから!! 」
マオキノ
「 セロ様は怒ってませんエリ 」
マオ
「 本当か?
だって正座させられてたじゃないか! 」
セノコン
「 あれは新年の御挨拶をさせていただてましたエリ 」
マオキノ
「 今年1年もセロ様に命を懸けて尽くす事をお誓いしてましたエリ。
土下座と平伏は絶対服従の忠誠心をと忠義を誓う為のポーズですエリ 」
マオ
「 怒られた訳じゃないんだ……。
良かったぁ~~。
シュンシュン、セロは怒ってないみたいだぞ!
命拾いしたな! 」
霄囹
「 そ、そうだな……。
それで……セノコンとマオキノは僕とマオに何をする気なんだ?
まさか──、お仕置きするんじゃないだろうなぁ!! 」
セノコン
「 ある意味では、お仕置きかも知れませんエリ 」
マオキノ
「 準備を始めますエリ! 」
セノコン
「 レッツ、“ メ~~イクア~~ップ! ” ですエリ♪ 」
霄囹
「 メイクアップだぁ??
一体何をするつもりなんだよ!? 」
セノコンとマオキノが分裂する。
シュンシュンとオレは引き離されて、セノコンとマオキノの分身体に囲まれてしまった。
マオ
「 な…なんか……こわい……!! 」
マオキノ
「 終わりましたエリ 」
セノコン
「 完璧ですエリ 」
マオキノ
「 お似合いですエリ 」
セノコン
「 セロ様もお喜びになられますエリ 」
セノコンとマオキノは手に持っているスマホでパシャパシャしている。
シュンシュンが「 おい! 何で写メってるんだ!! 」って声を荒げている。
オレはシュンシュンが居る方に目を向けると、黒紫色の髪をした美少女が居た。
シュンシュン──なのか??
着物を着ているんだが??
シュンシュンと目が合う。
シュンシュンはオレの姿を見ながら、口をパクパクと動かしている。
金魚の物真似かな??
マオ
「 シュンシュン、すっごい美少女に変身してるぞ!
和服美少女だよ! 」
霄囹
「 それを言うなら、お前もだよ!
セノコン,マオキノ!
これはどういう事だよ!
説明しろぉ!! 」
セノコン
「 セロ様の御命令ですエリ 」
マオキノ
「 ボク達はセロ様の御命令通りに、マオ様と霄囹ちゃまを華麗に変身させましたエリ 」
セノコン
「 セロ様が1階で御2人を御待ちですエリ 」
マオキノ
「 セロ様へ晴れ姿を見せて差し上げてくださいませエリ 」
セノコンとマオキノに背中を押されて階段を下りた。