⭕ 玄武とデート 8
──*──*──*── 何処か
エレベーターの中に入った事は覚えている。
玄武さんとシュンシュンがエレベーターの中に残していた式神を回収した事も覚えている。
シュンシュンがエレベーターの “ 閉ボタン ” と “ ①ボタン ” を押した事も覚えているし、ちゃんとエレベーターの扉が閉じて、1階へ向かって動いた事も確りと覚えている。
突然エレベーターの中の明かりが消えて、途中でガゴトン──って音を鳴らして停まったのも覚えている。
停電になったのかな??
年季の入ってる歴史を感じるラブホテルだから、偶にはエレベーターが停まる事もあるかも知れない。
100歩譲って、“ それは仕方無いよね ” って事で済ませてもオレは別に構わない。
エレベーターの点検をケチって怠ったラブホテルを訴えたりもしない。
オレが問い質したいのは、何で真っ暗なエレベーターの中で異性同士の荒い息遣いや喘ぎ声が “ 聞こえているのか ” って事だ!!
明らかに男女の●●●●中に発せられる声じゃないのか??
エレベーターに乗っているのは、玄武さん,シュンシュン,オレの3人だけだ。
3人以外は居ない筈だ。
断言出来る!!
声を上げたいのに声を出せないのは何でだろう??
次第に激しくなる女性の喘ぎ声と荒々しくなる息の音。
卑猥に響く音と何かと何かが当たる音が暗闇の中に響いている。
男が果てる寸前の声が暗闇に響くと、絶頂を迎えた事を伝えるような女の色っぽい息遣いが聞こえた。
●●●●が終わったのかな??
「 ──ひぃっ、ひぃぎゃゃゃゃゃゃゃゃーーーー!!!! 」
なっ──、何だ!?
悲鳴!?
叫び声!?
男のけたたましい声に、オレはビクッとなった。
奇妙な笑い声も暗闇に響き始める。
背筋を逆撫でされる様な下品で気持ちの悪い笑い声だ。
マオ
「 ──何なんだよっ!!
誰だよ!!
質の悪い悪戯するなよっ!! 」
オレは腹から声を出して叫んだ!
さっきまで声を出せなかったのに嘘みたいに声が出せる。
オレが声を張り上げると消えていた明かりがパッと着いた。
マオ
「 ──はれ??
……………………………エレベーター──の中じゃない??
何処だよ、此処はぁ!! 」
オレの視界に入ったのは、エレベーターの中じゃなかった。
オレにはエレベーターから出た記憶は無い。
それなのに何でオレは見ず知らずの部屋の中に居るんだよ??
?
「 ──明るくなったか! 」
?
「 全く!
いきなり何が起きたんだ!?
あぁ゛~~~~もぅ゛!!
夏でもないのに蝉の鳴き声が煩かったなぁ! 」
?
「 蝉の鳴き声だと?
我には無邪気な子供の笑い声が聞こえていたんだが? 」
マオ
「 玄武さんにシュンシュン!?
良かったぁ~~!!
2人共居てくれたんだ!! 」
霄囹
「 此処は──エレベーターの中じゃないぞ!
どういう事だ?! 」
玄武
「 確かにそうだな。
我等はエレベーターから出ていない筈だ。
見知らぬ部屋の中に居る理由は我にも不明だ 」
マオ
「 シュンシュンは蝉の鳴き声が聞こえて──、玄武さんには子供の笑い声が聞こえた──。
オレに聞こえたのは女の喘ぎ声と男の荒い息遣いだったよ。
途中から男の声が悲鳴に変わって、女が不気味な声で笑い始めたんだ──。
気味が悪かったよ!! 」
オレは思わず玄武さんに抱き付いた。
玄武さんは不安がるオレの背中を優しく撫でてくれる。
玄武
「 マオ── 」
霄囹
「 おい、こら、マオ!
僕の玄武に抱き付くんじゃない!! 」
玄武
「 我はシュンシュンの玄武になったつもりはないんだが? 」
霄囹
「 連れない事を言うなよ~~。
この部屋はラブホの1室に間違いない。
この悪趣味な全面ピンクの胸クッソ悪い室内はラブホだ!
見ろよ、ベッドも派手だ。
天井に付いてるシャンデリアは安っぽいが雰囲気作りの為にジャラジャラしている 」
マオ
「 エレベーターの中に居た筈なのに何で3人揃って、ホテルの1室に居るんだろう? 」
玄武
「 皆目検討も付かないが──、マオが聞いた声が気になるな。
マオが聞いた声の主が居るなら、この室内の何処かに居る筈だ 」
霄囹
「 そうだな。
隅々まで探してみよう 」
マオ
「 うん。
分かった! 」
玄武さんとシュンシュンは、オレが聞いた声を信じてくれたみたいだ。
3人で手分けをして室内の中を調べる事になった。