⭕ 女装兄弟 4
──*──*──*── 高級ホテル
高級ホテルの中に入ると別世界に来た様な感覚に襲われた。
広いホールの天井には、大きくて綺麗なシャンデリアが取り付けられている。
高級な大理石を惜しみ無く使われている床や壁、繊細で丁寧に彫られた彫刻に感心してしまう柱。
フロントで玄武さんが利用している宿泊室を教えてもらったら、エレベーターに乗って5階へ上がった。
──*──*──*── 5階・廊下
廊下を歩いて玄武さんが宿泊している宿泊室の前に来た。
マオ
「 ──鍵が掛かってるから入れないじゃん 」
霄囹
「 鍵ぐらい簡単に開けれる。
まぁ、見てろ 」
シュンシュンは陰陽術で宿泊室のドアの鍵を簡単に開けた。
空き巣泥棒も真っ青になる手際の良さだ。
霄囹
「 ほら、開いた。
ホテルの鍵も陰陽術の前ではチョロいもんだ 」
マオ
「 ホテルの鍵ってさ、ルームキーが無いと開かない仕掛けになってる筈だよな?
………………こわっ 」
霄囹
「 鍵を開けたぐらいで怖がるなよ。
僕だから出来る芸当だぞ。
もっと感動しろよ。
中に入ったら鍵を掛けとくぞ。
知らない奴にドアを開けられたら厄介だからな 」
宿泊室の中へ入ると、シュンシュンは陰陽術でドアの鍵を簡単に掛ける。
オレ達、完全に犯罪者だな。
霄囹
「 良い部屋じゃないか。
スイートルームかな? 」
マオ
「 玄武さんは居ないみたいだな。
観光に出掛けてるのかな? 」
霄囹
「 かもな。
戻って来るまで待ってよう 」
シュンシュンは靴を脱ぎ捨てるとベッドの上に寝転がる。
何でベッドの上をゴロゴロしてるのか分からないけど楽しそうだ。
オレは何をしたら良いんだろうな?
マオ
「 ──これって、棋譜……だっけ?
凄い枚数だな 」
テーブルの上には棋譜帳に書かれた棋譜が沢山ある。
玄武さんが対局したヤツかな?
オレは棋譜を見てもさっぱり分からないんだよな~~。
マオ
「 あっ、碁盤あるじゃん!
シュンシュン、碁盤があるからさ囲碁やらないか? 」
霄囹
「 僕は玄武を感じるのに忙しいから1人でやってろ 」
マオ
「 囲碁は1人で出来ないだろ~~ 」
シュンシュンはベッドの中に潜り込んでいる。
何でベッドの中に入る必要があるんだろうな?
マオ
「 玄武さんを感じる──って何だよ…。
玄武さんは寝ないんだから、ベッドに入っても意味無いと思うけど? 」
霄囹
「 良いだろ、別に! 」
マオ
「 眞小呂はどうしたんだよ?
浮気者だなぁ 」
霄囹
「 浮気の何が悪い!
眞小呂は居ないんだ。
浮気にはならないんだよ! 」
マオ
「 玄武さんって、式妖魔だろ。
何で好きなんだよ?
獅聖幻夢に似てるからか? 」
霄囹
「 違う!
式妖魔だって構うもんか!
例え玄武と子作り出来なくても、僕は玄武と両想いになりたいんだ! 」
マオ
「 玄武さんは弓弦さんと仲が良いじゃんか。
2人の仲を引き裂く気かよ? 」
霄囹
「 引き裂きはしないさ。
玄武と弓弦の間に僕が入るんだ! 」
マオ
「 引き裂いてるじゃんか。
玄武さんを待ってる間暇なんだからさ、囲碁やろうよ 」
霄囹
「 碁罫紙を見ながら、1人で棋譜並べでもしてろ。
僕は忙しいだ! 」
マオ
「 ベッドの中に入ってるだけだろぉ~~ 」
オレは掛け布団を掴むと思いっきり捲った。
「 何するんだよ! 」って怒って来たシュンシュンと取っ組み合いの喧嘩になった。
どのくらいの時間、シュンシュンとオレは取っ組み合いをしていただろう?
気が付いたら宿泊室の中は滅茶苦茶になっていた。
こ……これは、ヤバいんじゃないか?!
玄武さんが宿泊室に戻って来る迄に片付けないと、玄武さんの雷が落ちるかも知れない。
マオ
「 ──シュンシュン、喧嘩をしてる場合じゃないよ!
玄武さんが戻って来る迄に部屋を片付けないと!! 」
霄囹
「 ……………………確かにな…。
幾ら何でもこれは酷いか…。
仕方無い──。
マオ、頑張れ! 」
マオ
「 オレ1人に丸投げするなよな!
シュンシュンも片付けるんだからな! 」
嫌がるシュンシュンに片付けをさせようとするけど、シュンシュンは素早くヒラリ,ヒラリと軽快にオレの腕をかわす。
シュンシュンは逃げ足が早い!
シュンシュンを捕まえて、2人で片付けをするか──、シュンシュンの事は諦めて、オレ1人で片付けるか──、悩み処だ。
マオ
「 シュンシュン、逃げるなよ!! 」
霄囹
「 『 逃げるな! 』と言われて逃げない奴は居ないんだよ! 」
シュンシュンとの追い駆けっこは長引きそうだ。