⭕ 少年陰陽師★平安幻想異聞録 18
土の中に何が埋まっていたのか──。
分からないまま画面が切り替わった。
大事な所じゃないかな!?
何で飛ばしちゃうんだよ!!
ゲーム作りに携わった関係者達に文句を言いたい気分だ!
画面はドット絵で、廃神社屋敷の中庭でシュンシュンと弓嘉さんが焚き火をしている。
廃れた中庭で焚き火なんてして大丈夫なのか?
ゲームだし、大丈夫なんだろうな。
焚き火に使ってる薪は…………屋敷のかな?
画面からは、パチパチ──って薪が燃えてる音がする。
シュンシュンと弓嘉さんは何処で寝るつもり何だろう?
シュンシュンは陰陽師だから妖魔に襲われない様に結界陣を張っているし、式神を召喚して見張りをさせている。
シュンシュンなら1人でも余裕で野宿も出来るじゃんな。
マオ
「 アウトドア用品とかキャンプ用品とか持ってれば、平安時代でも野宿し易いんだろうけど……。
現代では陰陽院内に居たからな~~。
アウトドア用品もキャンプ用品もゲット出来なかったんだよな…。
アウトドアセット,キャンプセット,お泊まりセット──欲しかったよな~~ 」
今夜は廃神社屋敷で1泊するみたいだ。
敷布団なんて無いから、縁側に布を敷いて寝るのかな。
縁側に何も敷かずに寝ると、着物が土や埃で汚れちゃうもんな。
ところで──、今更だけど廃神社屋敷の中に居るけど〔 物色 〕〔 拝借 〕って出ないな。
こういう所でこそ、〔 物色 〕〔 拝借 〕をすべきじゃないのかよ?
まぁ、こんな廃化したオンボロな神社屋敷に宝っぽい物なんて無いかもだけどさ~~。
マオ
「 自由行動とか出来ないのかよ… 」
シュンシュンと弓嘉さんのフルボイス会話を聞きながら考えていると、何時の間にやら就寝の時間になっていた。
画面には[ 弓嘉の誘い ]に対して〔 受ける 〕〔 断る 〕〔 拒否 〕〔 拒絶 〕〔 誘う 〕の5択が出ている。
2つ増えてるぅ~~!
〔 断る 〕ってのは多分、普通にやんわりって感じかな?
〔 拒否 〕〔 拒絶 〕は……角が立ち過ぎる選択肢じゃないか?
この2つは絶対に選んだら駄目なヤツっぽい。
未だに “ 何の誘い ” なのか分からないけど……、弓嘉さんとの波風は立たせたくないんだよな~~。
やっぱり今回も〔 受ける 〕かな?
取り敢えず、一旦ステータス画面を出して[ セーブ ]をする。
シュンシュンから「 おやすみ、弓嘉さん 」って台詞が出る。
弓嘉さんからも「 おやすみ、霄囹── 」って台詞が出る。
2人の挨拶が終わると画面がパッと暗くなった。
暗くなった画面から、キラキラ輝くミラーボールが回っている映像が流れる。
ハープの綺麗な音色も聞こえて来る。
朝を迎えるだけなのに派手な演出。
3度目ぇ~~。
好い加減、何の誘いなのか教えてほしい。
画面に【[ セーブ ]しますか? 】ってアイコンが出たから、〔 する 〕を選ぶ。
オレは一旦、コントローラーをテーブルの上に置く。
キリが付いたと判断したからだ。
≪ 平安京 ≫へ行くのは未々みたいだから、後半戦に向けて元気の補充をしようと思う。
用意をされたまま、未だ手を付けてないスイーツを食べる事にした。
マオ
「 ふぅ~~。
スイーツも食べたし、続きを始めるか。
セロ、来ないな~~。
何してんだよ… 」
テーブルの上に置いていたコントローラーを握ったオレは、Aボタンを押す。
画面が切り替わる。
どうやら朝を迎えたみたいだ。
画面の中から雨音がしている。
どうやら雨が降ってるみたいだ。
雨が降ってたら焚き火が出来ないじゃんか。
──って思ったけど、そんな心配は杞憂だった。
シュンシュンの張っている結界陣は雨を弾いている。
中庭は雨で濡れていないし、焚き火もちゃんと着いている。
結界陣、凄いじゃん!
ゲームの中だもんな~~。
「 弓嘉──、僕だけの弓嘉になってくれないかな?
弓嘉が欲しい… 」とシュンシュンの台詞。
朝っぱらからシュンシュンは何を言ってんだ??
其処は「 朝御飯を食べよう 」じゃないのか??
「 …………霄囹……。
君の気持ちは嬉しいが……私で良いのか?
霄囹は未だ若い。
これから出逢いも増える。
私よりも良い相手と出逢える機会がある 」と弓嘉さんの台詞。
「 僕は弓嘉が良いんだ!
弓嘉は僕が嫌いなのか?!
弓嘉にとって僕は遊びだったのか!?
僕は弓嘉だったから──、弓嘉の “ 誘い ” を受けて来たんだ!
これからも弓嘉と一緒に居たいんだ。
離れたくない… 」とシュンシュンの台詞。
「 霄囹……。
君は私にとって特別だ。
君は私の初めての相手でもあるしな… 」と弓嘉さんの台詞。
うん??
シュンシュンが特別??
初めての相手??
………………命の恩人っ意味でだよな??
「 弓嘉──、僕だって弓嘉が初めての相手だ!
弓嘉は特別だ!
僕は弓嘉が良い!
他の奴となんて考えられない!!
弓嘉──、僕を特別だと思ってくれてるなら、僕を受け入れてほしい!
弓嘉を誰かに取られるなんて、僕は嫌だ!
耐えられない!! 」とシュンシュンの台詞。
「 霄囹……。
………………分かったよ、霄囹……君の想いを受け入れよう 」と弓嘉さんの台詞。
「 弓嘉!
有り難う!
≪ 平安京 ≫に着いてからも宜しくな! 」と嬉しそうに弾んだ声でシュンシュンの台詞。
「 退魔師が陰陽師の師匠になるのは異例なんだが… 」と困ったような声で弓嘉さんの台詞。
「 職業なんて関係無いよ。
これから末永く宜しく、師匠!
僕だけの弓嘉になってくれて嬉しいよ! 」とシュンシュンの台詞。
うん??
師匠と弟子?
シュンシュンが弓嘉さんの弟子?
凄腕最強の陰陽師が退魔師の弓使いに弟子入りしたって事か?
そっか──、≪ 平安京 ≫に着いたらシュンシュンは、弓嘉さんの案内で所属してる退魔仲介所を紹介されるんだっけ。
1人で退魔師試験を受けて、退魔師として活動して生計を立てる事になるんだもんな。
退魔師に関して無知なシュンシュンは、退魔師の事を知り尽くしている弓嘉さんに弟子入りしたんだ。
それにしても朝っぱらから紛らわしい会話だな~~。
平安時代で生き抜く為に頼れる師匠をゲット出来た──って所かな?
シュンシュンは師匠という頼れる存在をゲット出来て嬉しそうだ。
幾ら強くても1人じゃ心細いもんな。
平安時代に詳しい人と一緒に行動が出来るのは心強いと思う。
安泰な生活を送れるかは分からないけど、仲間が出来て良かったな、シュンシュン!
「 ところで──、弓嘉って幾つなの?
成人はしてるんだよね? 」とシュンシュンの台詞。
「 うん?
あぁ…今は18だ。
来月で19歳になる 」と弓嘉さんの台詞。
弓嘉さん、未だ10代だった!
そう言えば、弓弦さんと出逢った時も10代だったよな。
確か──、18歳だったかな?
「 そうなんだ…。
僕は今年の5月に14歳になったばかりだよ。
5歳差か… 」とシュンシュンの台詞。
「 霄囹は未成年だったのか?
私はてっきり成人しているとばかり…。
未成年だと知らず毎晩誘っていたとは──。
済まない事をした… 」と申し訳なさ気に弓嘉さんの台詞。
「 言わなかった僕も悪かったよ…。
人からは良く “ 大人びてる ” って言われてたんだ。
だけど、これで弓嘉は僕に “ 大人の責任 ” を取らないといけなくなったよね!
未成年に “ いけないこと ” を夜な夜なしてたんだからさ! 」と楽しそうな声でシュンシュンの台詞。
「 参ったな…。
断っていたら、私は霄囹に脅迫されていたかも知れないのか。
全く… 」と呆れ笑いの声で弓嘉さんの台詞。
「 僕は弓嘉に出逢って、一目惚れしたんだ。
人生で初めての一目惚れだよ。
何が何でも逃がさないよ! 」とシュンシュンの台詞。
「 ははは…。
私に一目惚れか。
霄囹は面白いな 」と嬉しそうな声で弓嘉さんの台詞。
「 弓嘉──、今朝は肌寒いよね?
暖まりたいな。
今から良いよね?
弓嘉の人肌で暖めてよ 」とシュンシュンの台詞。
「 霄囹…。
身体は大丈夫なのか?
昨晩の今朝だろう、無理はしない方が良い 」とシュンシュンを労る弓嘉さんの台詞。
「 僕は弓嘉を感じたいんだ。
弓嘉は僕を感じたくないのか?
折角、師弟の関係になれたのに冷たいな… 」と悲しそうなシュンシュンの台詞。
「 霄囹……。
手加減は出来ないかも知れないぞ。
それでも良いのか? 」と弓嘉さんの台詞。
「 望む所だよ!
身体の芯まで冷えてるからさ、奥まで入れてよ。
ちゃんと暖まる様に激しく動いてよね? 」とシュンシュンの台詞。
「 分かった。
最善は尽くそう 」と弓嘉さんの台詞。
2人の会話が終わると画面がパッと暗くなる。
画面にキラキラ輝くミラーボールが回っている映像が流れる。
ハープの綺麗な音色も聞こえる。
4度目の映像。
本日2回目ぇ~~~~!!
妖魔のボス探しはしないのかよ?
キラキラ輝くミラーボールの後ろで、シュンシュンと弓嘉は一体何をしているんだよ?
早く先に進みたいんだけどな~~。
早く≪ 平安京 ≫に行きたい!!