⭕ 刑事からの依頼 ５
──＊──＊──＊── 陰陽師４事務所
──＊──＊──＊── ランチルーム
マオ
「 はぁ゛～～～～もぉ゛～～～～……………やっと帰って来れたぁ゛～～～～ 」
キノコン
「 マオ様、お帰りなさいませエリ。
残りの葡萄のタルトタタンを召し上がりますかエリ 」
マオ
「 うん、食べるぅ～～～～ 」
キノコン
「 ご用意、致しますエリ 」
冷蔵庫に入れてくれていた葡萄たっぷりタルトタタンをフリルの付いた真っ白い腰エプロンを身に付けているキノコンが取りに行ってくれる。
別のテーブルでトランプタワーを作っていた分身体のキノコンが、テーブルの上に未使用のオシボリと減らない紅茶が入っている魔法のティーポットとティーカップを置いてくれる。
キノコンに「 有り難う 」と御礼を言うと、嬉しそうに照れながらティーカップに紅茶を注いでくれる。
キノコンが葡萄たっぷりタルトタタンを運んで来てくれる。
トレイの上には別のスイーツも乗っている。
キノコン：本体
「 お待たせ致しましたエリ。
此方も一緒に御賞味くださいませエリ 」
マオ
「 有り難な、キノコン。
これは──エクレアだよな？ 」
キノコン：本体
「 はいですエリ。
小さい子供にも食べ易いサイズで作りましたエリ 」
マオ
「 可愛いエクレアだな。
セット販売でもするのか？ 」
キノコン：本体
「 好評だった場合には考えていますエリ。
取り敢えず、１２種類のクリームを用意していますエリ。
１２入り，１０入り，８入り，６入り，４入り，３入り，２入り──と７種類の箱を用意してますエリ 」
マオ
「 全種類を食べさせてくれるんだ？
嬉しいな～～（////）」
キノコン：本体
「 マオ様、１人で御帰宅ですかエリ 」
マオ
「 刑事さんから受けた依頼が解決した後、殺害事件が発生した連絡が入ったんだ。
それでシュンシュンは残って殺害事件の起きた現場へ刑事さん達と向かう事になったんだ。
オレだけ先に《 陰陽師４事務所 》へ帰してくれたんだ。
今はパトカーに乗って現場に向かってるんじゃないかな。
シュンシュンの目が輝いてたから、きっとシュンシュン好みの殺害事件かも知れないな 」
キノコン：本体
「 気になりますエリ～～。
最近、殺害事件が頻発してますエリ。
この前も園児が “ 何か ” に襲われて亡くなってますエリ 」
マオ
「 何かって？ 」
キノコン：分身体
「 鋭い牙を持つ動物に噛み殺された──と噂されてますエリ。
《 幼稚園 》の園内で起きた事件なのに園児が襲われている場面を誰も目撃していない様ですエリ。
気が付いたら血塗れの状態で死亡している事が多いですエリ 」
マオ
「 園児が襲われてる所を目撃されてない？？
それって怪異の仕業なのかな？ 」
キノコン：本体
「 何でも怪異の仕業にするのは良くないですエリ。
とは言え、人為的な犯行の可能性は極めて低い事件ですエリ。
怪異の仕業だと疑われても仕方無い事件と謂わざるを得ない奇妙な事件ですエリ 」
キノコン：分身体
「 怪異にとって人間は餌ですエリ。
特に成人前の子供は御馳走で、喜ばれて喰われますエリ。
怪異の仕業も無くは無いですエリ～～。
とは言え、人間はセロフィート様の大事な実験台ですエリ。
怪異はセロフィート様を畏れていますエリ。
勝手に人間を襲い喰らう怪異は《 米●町 》には居ない筈ですエリ 」
マオ
「 それもそっか。
怪異だって〈 テフ 〉に変換されたくは無いもんな。
キノコン砲の的にもなり兼ねないしな！ 」
キノコン：分身体
「 セロフィート様に逆らう怪異が居ないか、日夜キノコンが《 米●町 》をパトロールしてますエリ 」
マオ
「 人間が怪異に襲われないのは、パトロールしてくれてるキノコン達のお蔭なんだな 」
キノコン：本体
「 マオ様、ボクは夕食の準備に取り掛かりますエリ。
今日受けた依頼の顛末を分身体に聞かせて頂きたいですエリ 」
マオ
「 うん、良いよ。
物語のネタにするのか？ 」
キノコン：分身体
「 それも有りますエリ 」
キノコンは［ 厨房 ］へ下がって行った。
［ ランチルーム ］に残ったキノコンは笠の中からメモ帳とペンを取り出して、オレの話を聞く気満々だ。
どんな物語のネタに使うのか気になる所だ。
マオ
「 でな──、［ 体育館 ］で苛めっ子達の悪質な苛めを行ってる映像の上映会をしたんだ。
まさか証拠の映像が存在してるなんて思ってない苛めっ子達の顔がだよ、みるみる内に真っ青になって行ってさ──。
苛めっ子達の両親なんて絶句してたし、泣き出しちゃたりして──。
校長先生，教頭先生を始めとした教員達も悪夢を見せられてる様な顔をして映像を見てたよ。
苛められていた生徒の両親なんて…………辛かったと思う。
自分の子供が《 学校 》でクラスメイト達から受けていた酷い仕打ちを見続けないといけないんだもんな。
顔を背けたくなる様な耐えられない苛めが続いてさ──。
虐待に両足を突っ込んだ酷い虐めも有ってな、傍観して笑ってたクラスメイト達も苛めっ子達も担任教師も苛めっ子の両親達もショックを受けてる被害者の両親を前にしてバツの悪い顔してたんだ。
上映会が終わるとな、全員が土下座しちゃってさ、泣きながら被害者の両親に向かって謝罪してたよ。
謝罪されても許せない事をされた訳だから、“ 許してもらいたくてする形だけの謝罪は受け入れられない ” って被害者の両親は泣いてたな…… 」
オレは紅茶を飲んで喉を渇いた潤す。
マオ
「 被害者の両親が教えてくれたんだけどさ──、息子さんが登校拒否を始めてから、暫くは落ち着いていたみたいなんだけど、何度も自殺未遂を繰り返すもんだから、とうとう入院させる事にしたらしいんだ。
息子さんのスマホを見付けてさ、電源を入れて息子さん宛に来てたＬＩＮＥを見たら──、酷い中傷文が残されていたんだって。
その酷い中傷文はクラスメイトから送信されていたモノだって判ってさ、両親は知り合いに頼んで、ＬＩＮＥの内容を紙に印刷してもらったんだ。
でさ、持って来ていた用紙を教師達に見せたんだけど──、酷い中傷文の中には担任教師が送信した酷い中傷文まで有ったもんだから、［ 体育館 ］は修羅場になっちゃったんだよ。
自殺未遂を繰り返した原因にＬＩＮＥ残った酷い中傷文も関係しているかも知れないって、両親は考えてるみたいだな。
息子さんは現在も入院中で、今は昏睡状態に陥ってるんだってさ。
息子さんの人生が壊されてしまった原因が上映会で判明して怒りに震えてたよ…… 」
オレはエクレアを食べる。
糖分を入れないと気持ちが萎えてしまう内容だ。
こういう内容が大好物なのか、キノコンの円らな瞳は生き生きしている。
マオ
「 そうそう、自殺未遂を繰り返して入院してしまった被害者には呪術を使った自転車泥棒は出来ないから、犯行とは無関係だって事が判明したんだ。
呪術を使って自転車泥棒をしていた犯人は、意外にも義妹だったんだ。
日に日に弱っていく優しい義兄を見て、不審に思ったんじゃないかな。
詳しい事情は義妹から聞かないと分からないけど、もしかしたら義妹は、ＬＩＮＥの酷い中傷文を見ちゃったのかも知れないよ。
それで優しい義兄がクラスメイトに苛められている事を知ってしまったんじゃないかな。
義兄が苛められる様になった原因を義妹が突き止めたかは分からないけど──、知ってしまったが故に何もしないでいる事が出来なかったのかも知れないな…… 」
話し終わるとキノコンから幾つか質問を受ける。
オレは自分に分かる範囲でキノコンの質問に答える。
シュンシュンから話を聞けば、もっと詳しい事情が分かるだろう。
キノコン：分身体
「 マオ様、有り難う御座いますエリ。
帰って来た霄囹ちゃまにも聞いてみますエリ 」
マオ
「 うん。
シュンシュンならオレより詳しく話してきれると思うよ 」
葡萄たっぷりタルトタタンとエクレアを食べ終えて、紅茶を飲んでいるとキノコンが夕食の料理を運んで来てくれる。
今夜の夕食は和食のフルコースみたいだ。
テーブルの上に次々と出来立ての料理が並べられて行く。
キノコン：本体
「 マオ様を労う為に真心を込めて作りましたエリ。
お召し上がりくださいませエリ 」
マオ
「 有り難な、キノコン♥️
いただきます！ 」
セロにも御礼を言わないとだ。
セロが証拠となる映像を用意してくれたから、刑事さん達に苛めっ子達を逮捕してもらう事が出来たんだ。
どの苛めのシーンもベストアングルで撮られていた映像だったから、苛めっ子達は言い逃れが出来なかったんだよな。
目撃されてない筈の苛めの場面まで、古代魔法で映像化してくれたんだから、何か贈り物をして御礼をしたいな。
何が良いかな～～？
セロだから、やっぱり実験台に使える人間かな？？
セロの趣味に１番近い幻夢さんに相談してみようかな……。
夕食を終えたら、幻夢さんにＬＩＮＥしてみようと思う。
何処で何をしているのか分からない幻夢さんが、返信をくれるか分からないけどな──。
◎ 訂正しました。
園児が襲われて居る場面 ─→ 園児が襲われている場面
幻夢さんが、─→ 幻夢さんが、
