⭕ 刑事からの依頼 2
霄囹
「 駻間さん、今回の依頼を受けた場合、警察は幾ら出せるんだ?
まさか只働きさせた挙げ句、感謝状授与で済ませ様なんてセコい事、考えてないよなぁ?
陰陽師を利用するだけ利用して、天下の警察が支払うべき報酬を踏み倒して無かった事にするなんて── 」
マオ
「 出たよ。
シュンシュンの悪い癖! 」
霄囹
「 何だと!
僕は “ 働きに見合った正当な報酬を支払え ” と言ってるんだ!
警察組織が世間へ公に出来ない裏金を確り溜め込んでるのを僕は知ってるんだぞ!
500万なんて、はした金だろ。
用意させろ 」
マオ
「 シュンシュン……。
警察はさ、弱い善良な市民が安心,安全な生活を送れる様に日夜起きる事件と向き合って頑張ってくれてるんだぞ。
500万は取り過ぎじゃないか? 」
霄囹
「 マオ、何度も言わせるな。
僕はプロの陰陽師だ。
陰陽師を生業としてるんだ。
生きるか死ぬかの命掛けの職業だ。
慈善事業でもなければ、ごっこでもない。
商売なんだから高い報酬を要求する権利が有るんだ! 」
マオ
「 言ってる事は間違ってないかもだけど、流石に500万は……。
100万くらいで良いんじゃないか? 」
霄囹
「 馬鹿野郎!
安過ぎるわ。
500万を支払えないなら、自分達で事件を解決させろ。
僕は知らないからな 」
マオ
「 シュンシュン!
取り敢えずさ、防犯カメラに映ってる映像を見せてもらってから決めても良いんじゃないか? 」
霄囹
「 何だってぇ?
防犯カメラの映像なんか見たいのかよ 」
マオ
「 シュンシュンは見たくないのか?
姿の見えない犯人がさ、どうやって自転車を盗むのか。
決定的な瞬間を── 」
霄囹
「 全く──。
駻間さん、防犯カメラの映像は見れるか? 」
刑事:駻間
「 勿論、出来ます。
私のスマホから見れる様にしてもらっとりますから── 」
刑事の駻間さんがスマホの画面を見せてくれる。
幾つかの操作を終えた後、スマホの画面に防犯カメラの映像が流れ始める。
確かに間違い無く《 中学校 》の敷地内に在る[ 駐輪場 ]だ。
登校して来た生徒達が入って来ては、自転車を停めて去って行く。
登校時間が終わって、静かになった[ 駐輪場 ]にもチャイムの音が響いている。
シぃ~~~~ンと静まり返った[ 駐輪場 ]に異変が起きた。
停められていた自転車が宙に浮いたんだ。
それはまるで、姿の見えない “ 誰か ” が自転車を持ち上げて、出している様な動きを思わせる。
誰かが防犯カメラの映像を勝手に加工だの編集だのをして泥棒の姿を故意に消してるんじゃないか──とすら思えて来る。
悪質な悪戯的な?
持ち上げられた自転車は、そのまま宙に浮いた状態で蟹みたいに横に動きながら移動して行く。
マオ
「 なぁ、これってさ──、誰かが故意に加工だの編集だのした映像を見せられてるんじゃないのか?
消しゴム機能とか有るじゃんか。
画面も拡大させる事が出来る訳だし、綺麗に人間だけパッと消せたりする便利な機能も有るんだろ?
宙に浮いてる自転車が蟹たみたいに横に動いきながら画面から消えて行くなんてさ、明らかに誰かの仕業──人為的な犯行なんじゃないかな? 」
霄囹
「 呪術の気配がするな 」
マオ
「 呪術の気配?
呪いって事か?
画面越しに感じるもんなのか? 」
霄囹
「 其処等辺のザコ陰陽師と一緒にするな。
僕は本物だぞ 」
マオ
「 呪いで中学生が登下校に使ってる自転車を盗むなんて、犯人は何を考えてるんだ?
もしかして変人さん? 」
霄囹
「 変な奴だから、しょうもない事に呪術を使ってんだろ。
たく──。
自転車が盗まれてるのは、この《 中学校 》だけなのか?
他にも在るのか? 」
刑事:駻間
「 今現在は、この《 中学校 》だけの被害で済んどります 」
霄囹
「 ふぅん?
面倒だが現場へ行くぞ 」
マオ
「 シュンシュン!
依頼を受けるんだな 」
霄囹
「 呪術は陰陽師の十八番だからな。
呪詛返しをしてやれば事件は解決だ 」
マオ
「 呪詛返しなんてしたら呪術を仕掛けた犯人が死んじゃうんじゃないのか? 」
霄囹
「 そりゃ呪術で命を奪った場合だ。
今回の呪術は自転車を盗んでるだけだからな、死にはしないさ。
ただ──、忙しい僕の貴重な時間を奪った分の罪は確りと償ってもらう。
本来受けるべき相応の報いに+αをプレゼントしてやるんだ 」
マオ
「 程々にしとけよ? 」
霄囹
「 分かってるって。
僕の慈悲心を信じろ。
四肢の骨を粉々に粉砕させて死ぬ迄、ベッド生活の刑にしてやる!! 」
マオ
「 慈悲心は何処行ったよ 」
霄囹
「 生きてるんだから十分だろ。
事情聴取は出来るさ 」
マオ
「 訴えられたりしないか? 」
霄囹
「 相手は呪術を悪用して他人様の自転車を盗んでる泥棒だぞ。
訴えられる側の奴には、訴える権利も資格も無い!
僕がやったって証拠も無いしな! 」
マオ
「 目撃者に刑事
霄囹
「 ≪ 日
六法全書って言う分厚い法律書にだって一
呪術や呪法を用
犯人逮捕は逮捕状が無いと出来ない。
逮捕状は検事が裁判所に請求して認められないと許可が下
逮捕状が無いのに犯罪者を逮捕すれば、逆に警察が罪
逮捕ってのは、個人の権利を著
だから、どんなに卑
マオ
「 だから、シュンシュンが呪詛返
霄囹
「 その通
僕が直接、犯人を殺害した訳じゃないからな。
僕が犯人を殺害した証拠なんて捏造でもしない限り、出
まぁ、僕を逮捕して裁
家族も親族も仲良く呪
マオ
「 まぁ、シュンシュンになら蟻を踏み潰すより簡単な事だろうけど、刑
霄囹
「 法の目を掻
マオ
「 ははは……。
成
霄囹
「 奴
僕の稼ぎに著
始末するに決まってるだろ 」
マオ
「 始末って──。
刑
霄囹
「 フン。
報酬の500万さえ現金で支払ってくれさえすれば、僕は警察の味方をしてやるよ 」
マオ
「 シュンシュン…… 」
霄囹
「 それより、現場に行くんだ。
パトカーを呼べ 」
マオ
「 パトカーをタクシー代
霄囹
「 事件現場に速攻するならパトカーだろ。
最近のパトカーの後部座席は、高級タクシーみたく座
マオ
「 何
霄囹
「 何
フフン 」
マオ
「 職
自慢する事じゃないだろ…… 」
霄囹
「 職
刑事:駻間
「 助かりますよ。
直
近くに待機させとるんです 」
霄囹
「 流
マオ
「 ははは…… 」
ソファーから腰を浮かせて立ち上
廊下を歩いて階段を下
──*──*──*── 1階
[ ランチルーム ]の横を通
[ 玄関 ]から《 陰陽師4
刑
シートベルトをするのを確認した運転手の警察官はパトカーを走らせた。




