⭕ 刑事からの依頼 1
──*──*──*── 東京都米●市米●町米●横丁
──*──*──*── 犯罪天国都市・米●町
──*──*──*── 陰陽師4事務所
此処は陰陽師であるシュンシュンが所長を務めている陰陽師が働いている事務所だ。
シュンシュンと同じ陰陽師の玄武さん,幻夢さん,退魔師の弓弦さんが所属している。
玄武さん,弓弦さんは《 裏野ハイツ 》から通っていて、幻夢さんは《 陰陽師4事務所 》で暮らしている。
因みに死神のキギナは空き部屋を借りて居候している。
キギナは依頼が入っても一切手伝いはしない。
魂を狩るのが役目の死神の対象は人間だからだ。
オレは昼食をする為に《 陰陽師4事務所 》へ来ていた。
セノコンとマオキノが故郷の≪ キノコン王国 ≫へ帰省している間、シュンシュンから《 陰陽師4事務所 》の管理を任されているキノコンの手料理を食べる為だ。
[ ランチルーム ]の片隅でキノコンの力作──葡萄たっぷりタルトタタンを食べていると来訪者が来た。
陰陽師の玄武さん,幻夢さん,退魔師の弓弦さんは私用で出掛けていて居ない。
《 陰陽師4事務所 》に残って居るのは、管理人のキノコンと所長のシュンシュンだけらしい。
来訪者の対応もキノコンの役目だ。
キノコンの本体は腰に白いエプロンを付けているけど、分身体のキノコン達は目印になる様な物を何も身に付けていない。
キノコンが[ 玄関 ]に設置されている[ 受付口 ]で来訪者の対応を終えると待機している別のキノコンが来訪者を2階へ案内する。
[ ランチルーム ]の横をキノコンと来訪者が通り過ぎて行く。
[ ランチルーム ]の一角で囲碁を打っていたキノコンの1体が、冷たいオシボリ,魔法のティーポット,コップを乗せたトレイを持って[ ランチルーム ]を出て行った。
葡萄たっぷりタルトタタンを完食したオレは、厨房を仕切っているキノコンに御礼を言った後、階段を上がって2階の[ 応接室 ]へ向かった。
──*──*──*── 2階
──*──*──*── 応接室前
[ 応接室 ]の前でシュンシュンと鉢合う。
シュンシュンの右横をキノコンが歩いている。
[ 受付口 ]から来訪者を2階の[ 応接室 ]へ案内したキノコンかな?
霄囹
「 マオ、来てたのか。
来訪者が気になったか? 」
マオ
「 来訪者も気になるけど、シュンシュンが必要以上にぼらないか心配でさ 」
霄囹
「 僕はぼったりしないぞ!
何時でも良心的な価格を提示してるだろ 」
マオ
「 でもさ、ぼったら駄目な相手にも容赦無くぼるじゃないか。
ぼるにしても相手は選らばないとだろ 」
霄囹
「 全く──。
交渉の邪魔だけはするなよ 」
マオ
「 何時もしてないだろ 」
霄囹
「 どの口が言うんだ! 」
とまぁ、[ 応接室 ]の前でシュンシュンと軽口を叩き合ってウォーミングアップを済ませる。
その間にキノコンは居なくなっていた。
シュンシュンが[ 応接室 ]のドアを開けて入室した。
──*──*──*── 応接室
シュンシュンの後に続いてオレも入室する。
1人用のソファーには来訪者が座っていた。
霄囹
「 待たせたな、駻間さん 」
マオ
「 シュンシュン、知り合いか? 」
霄囹
「 “ 所長 ” って呼べよ。
特別に僕の “ 助手 ” として同席させてやるんだぞ 」
マオ
「 分かったよ、シュンシュン所長 」
霄囹
「 ………………普通で良い…… 」
シュンシュン所長がソファーに腰を下ろして座る。
オレはシュンシュン所長の左側に腰を下ろしてソファーの上に座った。
簡単な自己紹介で、向かいに座る来訪者が《 警察署 》の[ 刑事部 ]に勤務している刑事だと分かった。
マオ
「 刑事さんも陰陽師に依頼とかしに来るんだ?
ドラマの中だけじゃないんだね 」
なんて感心していると、刑事の駻間さんは《 陰陽師4事務所 》へ来た理由を話してくれた。
刑事:駻間
「 ──という訳で、犯人を特定し、捕まえてほしいんですよ 」
霄囹
「 はぁ?
自転車泥棒の犯人を捕まえろだぁ?
そんなの警察の仕事だろうが!
そんなしょぼい依頼を持って来るな!
僕は暇じゃないんだぞ。
帰れ! 」
マオ
「 シュンシュン!
未だ話の途中だろ。
自転車泥棒だって立派な犯罪じゃないか。
態々足を運んで来てくれてるんだから協力してあげよう 」
霄囹
「 茶々を入れるな 」
マオ
「 刑事さん、もう少し詳しく教えてくれないとシュンシュンに追い出されちゃうよ 」
刑事:駻間
「 あ…あぁ…………実は犯行現場は《 中学校 》の敷地に在る[ 駐輪場 ]で起きとるんです。
自転車通学をしている学生達が利用している[ 駐輪場 ]です。
[ 駐輪場 ]には監視カメラが設置されていて── 」
マオ
「 《 中学校 》の敷地?
何で《 中学校 》の[ 駐輪場 ]に停めてる自転車が泥棒の被害に遭うんだ?
今日日の《 学校 》って、一般人が無断で入れない様に警備員が配置されてるんじゃなかったっけ? 」
霄囹
「 《 学校 》勤務の警備員の事だな。
不審者だの異常者だのが校内へ侵入するのを防ぐ為、警察官を定年退職した元現役の警察官達を《 学校 》勤務の警備員として雇用し、子供達の安全を衛ってるんだろ。
主に《 小学校 》《 中学校 》で取り入れられている制度だな。
警備員に現役時代のコネを使わせて犯人を探させろよ。
裏社会と通じていた警察官だって居ただろ 」
刑事:駻間
「 監視カメラの映像を何度確認しても犯人の姿が何処にも映っとらんのです。
生徒の自転車が[ 駐輪場 ]から盗まれる映像は映っとりますが、肝心の犯人の姿が映っとらんのです 」
マオ
「 自転車って盗まれない様に鍵が掛けられてるよな?
鍵が掛けられてる状態の自転車を持ち上げて盗んでるって事か??
警備員が見回りしてる《 中学校 》で堂々と泥棒するなんて、頭のイカれてる奴の犯行かな?
《 駅 》にも[ 駐輪場 ]は在るし、明らかに《 中学校 》の[ 駐輪場 ]に停めてある自転車より盗み放題なのに── 」
霄囹
「 問題発言だぞ、マオ。
監視カメラに映らない自転車泥棒の犯人を怪異の類いじゃないか──と踏んでる訳だな 」
刑事:駻間
「 そうなります。
どうですか。
受けてもらえますか 」
霄囹
「 盗まれる時間帯は昼間か? 」
刑事:駻間
「 そうなります。
被害が発覚するのは決まって放課後の様ですから 」
霄囹
「 自転車を盗む怪異ねぇ?
そんな怪異は聞いた事が無いんだが── 」
マオ
「 でもさ、今時の怪異の中にはスマホを使いこなしてる奴も居るじゃんか。
人間みたいに盗んだ自転車を売ってる怪異だって居てもおかしくないだろ? 」
霄囹
「 まぁ、確かにな。
否定は出来ないな。
金が好きで守銭奴な怪異も実際に居るからな── 」
マオ
「 シュンシュンみたいにな 」
霄囹
「 一言多いぞ! 」
マオ
「 受けるのか? 」
霄囹
「 急かすなよ、マオ 」
シュンシュン所長は胸の前で腕組みをして考えている。
勿体振って考えなくても受けてあげたら良いのにな!
◎ 訂正しました。
起きとおるんです。─→ 起きとるんです。




