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⭕　マオキノからの依頼

──＊──＊──＊──　回想シーン

──＊──＊──＊──　陰陽師４事務所

──＊──＊──＊──　所長室

霄囹

「珍（めずら）しいな、マオキノが僕の事務所に来（く）るなんて。

　何（なん）の用だよ？」

マオキノ

「霄（しょう）囹（れい）ちゃまに依頼したいエリ」

霄囹

「はぁ？

　キノコンが僕に依頼だってぇ？

　どういう風（かぜ）の吹き回しだよ」

マオキノ

「他（た）意（い）は無いエリ」

霄囹

「有って堪（たま）るか！」

マオキノ

「霄（しょう）囹（れい）ちゃまにしか頼めないエリ」

霄囹

「僕にしか──だって？

　怪しいな…… 」

マオキノ

「つべこべ言わずにボクの依頼を受けるエリ」

　そう言ったマオキノは笠（かさ）を開（あ）けて金塊を出（だ）すと、テーブルの上（うえ）にドンッと置きやがった。

　金塊は６個ある。

霄囹

「んな゛っ──！？

　純金か？」

マオキノ

「２０００％純金の金塊エリ。

　霄（しょう）囹（れい）ちゃま、こういうの好きエリ？」

霄囹

「大（だい）好（こう）物（ぶつ）に決まってるだろ！！

　金塊を嫌（きら）いな奴なんて居（い）るもんか！

　ど…どうしたんだよ、これぇ………… 」

マオキノ

「こんなのキノコンに掛かればチョロいエリ。

　金塊を隠して脱税してる馬鹿から拝借しただけエリ」

霄囹

「マジかよ……。

　拝借って事は無断でパクったんだろ！

　完全に犯罪じゃないかよ…… 」

マオキノ

「知ったこっちゃねぇエリ。

　１番悪（わる）いのは脱税者エリ。

　金塊を溜め込み隠し持ってる犯罪者(脱税者)エリ。

　逮捕されないだけの犯罪者エリ。

　犯罪者(脱税者)から金塊をパクっても犯罪にはならないエリ。

　怪物（モンスター）のキノコンが人間の決まり(ルール)を律儀に守る義務なんて欠片（かけら）もねぇエリ」

霄囹

「その通（とお）りだ！

　悪（わる）いのは脱税してる奴だ。

　きちんと税金を支払い、国民の義務を果たしている善良な国民を裏（うら）切（ぎ）り、国民の義務を放棄しているグズ共（ども）だ。

　金塊を頂戴したって何（なん）の問題も無い！

　国民の義務もま（・）と（・）も（・）に果たさない不届き千（せん）万（ばん）で確信犯な犯罪者(脱税者)共（ども）のリストを持ってるんだろ。

　僕に寄越せ！

　式（しき）隷（れい）に盗ませて、僕の財産にするんだ！！」

マオキノ

「それは出来ねぇエリ」

霄囹

「何（なん）でだよ！」

マオキノ

「ボクの依頼を達成させた報酬として渡すエリ★ 」

霄囹

「何（なん）だってぇ」

マオキノ

「ボクの依頼を受ける気になったエリ？」

霄囹

「何（なん）て小（こ）狡（ずる）い悪（あく）党（とう）キノコンなんだぁぁぁぁぁ！！！！」

マオキノ

「キノコンは悪（あく）党（とう）じゃないエリ。

　癒し系ゆるキャラエリ★ 」

霄囹

「何（ど）処（こ）がだよ！

　 …………分かった。

　目の前（まえ）の金塊に免（めん）じて依頼の内容だけは聞いてやる。

　話してみろ」

　嗚呼っ、なんて僕は慈悲深（ぶか）いんだ！

　決（けっ）して目の前（まえ）の金塊に負けた訳じゃないぞ！

　断じてだ！！

マオキノ

「金塊に触（ふ）れるのは御（ご）法（はっ）度（と）エリ。

　霄（しょう）囹（れい）ちゃまに見せただけエリ」

　マオキノはテーブルの上（うえ）に置いた金塊を手に取ると笠（かさ）を開（あ）けて入（い）れてしまった。

霄囹

「何（なん）で仕舞うんだ！」

マオキノ

「盗まれても困るエリ」

霄囹

「盗人（ぬすっと）キノコンが言う言葉か！」

マオキノ

「依頼の内容を聞くエリ」

霄囹

「 …………どんな依頼だ……。

　くだらない依頼だったら事務所から叩き出（だ）すからな！」

マオキノ

「マオ様を外（そと）へ連れ出（だ）してほしいエリ」

霄囹

「マオを？

　何（なん）でだ？

　玄（げん）武（ぶ）と弓（ゆ）弦（づる）は都道府県を回ってるから無理としても、幻（げん）夢（む）が居（い）るだろ。

　彼奴（アイツ）はし（・）ょ（・）っ（・）ち（・）ゅ（・）う（・）マオを外（そと）に連れ出（だ）してただろ」

マオキノ

「セロ様とマオ様が桃（もも）狩（が）りへ出掛けた後（あと）、幻（げん）夢（む）さまは新種の呪（じゅ）靈（れい）改良を始められたエリ。

　現在も改良に専念されてるエリ」

霄囹

「マオより呪（じゅ）靈（れい）かよ」

マオキノ

「呪（じゅ）靈（れい）はマオ様を衛（まも）る為に必要な戦力になるエリ。

　戦力を増やすのは大事エリ」

霄囹

「キノコンが居（い）るから戦力は足（た）りてるだろ…… 」

マオキノ

「現在、手の空（あ）いてる暇人は霄（しょう）囹（れい）ちゃまだけエリ。

　霄（しょう）囹（れい）ちゃまが適任エリ」

霄囹

「阿（あ）呆（ほ）か！

　僕が１番多（た）忙（ぼう）だ！

　ふざけるなっ！！」

マオキノ

「霄（しょう）囹（れい）ちゃまに似（に）せた〈器（うつわ）(キ)人（にん）(ニン)形（ぎょう）(カ) 〉に代役をさせれば良（い）いエリ。

　仕事が被（かぶ）る時（とき）は何（い）時（つ）もそ（・）う（・）してたエリ。

　誰も気（き）付（づ）かねぇエリ」

霄囹

「それを言われるとな……。

　それで？

　何（ど）処（こ）へ連れ出（だ）せば良（い）いんだ？」

マオキノ

「強力な怪異が住み憑（つ）いてる《心霊スポット》の資料を集めといたエリ。

　此（こ）処（こ）へ出向いて怪異を式神にするエリ」

霄囹

「何（なん）だって？

　怪異を式神にする？

　必要無い！

　僕の式神は今、居（い）る分（ぶん）で足（た）りている。

　 ≪ 日（にっ）本（ぽん）国（こく） ≫の弱っちい怪異なんか僕の式神に加（くわ）えられるかよ！」

マオキノ

「そうでもねぇエリ。

　この資料に載ってる怪異は霄（しょう）囹（れい）ちゃまの式神に相応（ふさわ）しいエリ。

　 ≪ 日（にっ）本（ぽん）国（こく） ≫の怪異も馬鹿に出来ないエリ。

　霄（しょう）囹（れい）ちゃまは式神を増やす為にマオ様を《心霊スポット》へ連れ出（だ）すエリ」

霄囹

「こんなに《心霊スポット》を巡って式神を増やさないといけないのかよ……。

　クソっ…何（なん）て屈辱的な依頼なんだ…… 」

マオキノ

「脱税者達のリストと金塊が欲しければ、依頼を達成させるエリ★

　報酬は御預けエリ」

霄囹

「くぅ…………やり方（かた）の汚（きた）ないキノコンめぇっ！！」

　以上、回想シーン終了。

◎　訂正しました。

　　手が空（あ）いてる暇人 ─→ 手の空（あ）いてる暇人

　　心霊スポット ─→ 《心霊スポット》

⭕ マオキノからの依頼

⭕　マオキノからの依頼