✒ 囲碁サロン 5
セロフィート
「 マオ、帰りますよ 」
マオ
「 セロ!
御免っ、今、対局中なんだ。
終わる迄、待っててくれないかな 」
セロフィート
「 多面打ちですか 」
担当編集者:功峰
「 多面打ちって、磨絽ちゃんって多面打ちが出来るくらい強いのぉ?
凄いわぁ~~~~。
院生も真っ青ねぇ…… 」
マオ
「 もう直ぐ終わるよ 」
セロフィート
「 対局の相手──彼等はプロ棋士みたいですよ、功峰さん 」
担当編集者:功峰
「 そうなのぉ?
プロ棋士と多面打ちなんて、磨絽ちゃんって何者なのよ、セロちゃあん 」
セロフィート
「 可愛い義弟です♪ 」
セロと功峰さんの会話を聞きながら、ひたすら白石を打つ。
次々にオッサンの知り合い達が投了して行く中、オッサンだけが粘っている。
功峰さんは、オッサンの知り合い達の中に混ざって対局が終わった盤上の棋譜をスマホで写メっている。
セロは碁罫紙に棋譜を記録している。
漸くオッサンが投了してくれた。
やっとセロと帰れるぅ~~。
マオ
「 セロ、お待たせ!
多面打ち、終わったよ 」
セロフィート
「 マオ、楽しめました? 」
マオ
「 う…うん……。
まぁまぁ…かな? 」
セロフィート
「 折角ですし、ワタシが黒石で逆転させましょう 」
マオ
「 えぇっ!?
帰らないのかよっ! 」
セロフィート
「 ワタシもプロ棋士さん達と打ちたいですし 」
マオ
「 程々にな? 」
オッサンと対局した盤上の棋譜をスマホで写メる。
オレが盤上の棋譜を碁罫紙に記録した後、入れ替わる様にセロが多面打ちをする事になった。
投了後の黒石を赤石に変えたセロの相手をするのは、白石を黄石に変えたオッサンとオッサンの知り合い達だ。
担当編集者:功峰
「 セロちゃあんも多面打ちするのぉ~~? 」
マオ
「 今から絶望的に負けてる黒石を逆転させるんだよ 」
担当編集者:功峰
「 はぁ??
負けてる黒石を逆転させる──ですってぇ?
そんな事が出来るって言うのぉ?? 」
マオ
「 逆転の一手が盤上に有るんだ。
セロにはさ、逆転の一手が何処に有るのか分かるんだ。
赤石が黄石を負かしちゃうから、見てろよ 」
担当編集者:功峰
「 信じられないわぁ…… 」
半信半疑な功峰さんを余所に、セロとオッサン,オッサンの知り合い達との多面打ちが始まった。
プロ棋士であるオッサン,オッサンの知り合い達は、真剣な顔で黄石で陣地を守ろうと攻防している。
逆にセロは、一定のペースを崩さずに赤石を打つ。
余裕のヨッちゃんで赤石は容赦無く黄石の陣地を奪って行く。
みるみる内に、赤石は逆転を果たしてしまう。
オッサンもオッサンの知り合い達も手も足も出せないまま、一方的に投了した。
担当編集者:功峰
「 磨絽ちゃん、どうなったの? 」
マオ
「 セロが勝ったよ 」
担当編集者:功峰
「 セロちゃあんがプロ棋士達に勝ったのぉ? 」
マオ
「 セロの強さは異次元級なんだ 」
担当編集者:功峰
「 セロちゃあんの意外な一面を知っちゃったわぁ~~。
作品の参考に棋譜を写メって残さないとね! 」
セロフィート
「 マオも碁罫紙に棋譜を記録してください 」
マオ
「 分かったよ… 」
セロに言われて碁罫紙に盤上の棋譜を記録する。
当然、写メを撮るのも忘れないぞ!
《 裏野ハイツ 》に帰ったら【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 ~ 碁会所 ~ 】に写メを送信して、BPをゲットするんだ!
不機嫌なオッサン
「 アンタはプロ棋士か?
投了した後に逆転させるなんて事、今の本因坊にも出来るかどうか── 」
セロフィート
「 ワタシはしがない物書きです。
マオ、帰りましょう 」
マオ
「 お…おぅ…… 」
セロフィート
「 功峰さん、一通り書いたら連絡しますね 」
担当編集者:功峰
「 了解よぉ。
連絡、待ってるわぁ 」
功峰さんに挨拶を済ませたセロはオレの手を握る。
セロに手を引かれて《 囲碁サロン 》を出た。
功峰さんは、オッサンとオッサンの知り合い達に囲まれている。
5人のプロ棋士達にセロの事を根掘り葉掘りと聞かれそうだ。
ご傷様だな──。
騒ぎになりそうなのに、セロは全く気にしてないみたいだ。
マオ
「 セロ、プロ棋士達の前で逆転碁しちゃって良かったのか? 」
セロフィート
「 構いません。
彼等の記憶等何時でも改竄出来ますし 」
マオ
「 そだったな……。
都合の悪い記憶を消すなんて朝飯前だったな…… 」
セロフィート
「 ふふふ…。
偶には《 囲碁サロン 》も良いですね 」
マオ
「 そ…そだな……。
お高いけどな! 」
セロフィート
「 参考の為に別の《 囲碁サロン 》へ行く事も有るでしょう。
その時はワタシに付き合ってください 」
マオ
「 良いよ。
“ 囲碁サロンデート ” も偶には良いかもな? 」
手を繋いで歩いてるセロとオレって、どんな風に見えてるんだろう。
恋人同士には見えて無いよなぁ……。
身長が180cm有れば、通行人達から恋人だと思われるかな?
お巡りさんに職質とかされたら嫌だな……。
なんて事を考えて歩いていたら、お巡りさんが2名歩いて来る。
声を掛けられるんじゃないかと内心ドキドキしたけど、前を歩いていたカップルが声を掛けられたからホッと胸を撫で下ろした。
セロフィート
「 お巡りさん、ご苦労様です 」
お巡りさん
「 あぁ…これはこれは、セロフィートさん!
この前は御協力、有り難う御座いました。
お出掛けですか? 」
セロフィート
「 《 囲碁サロン 》からの帰りです 」
セロは自分から、お巡りさんに声を掛けて話し始めた。
どうやら、お巡りさん達と顔見知りみたいだ。
“ 御協力 ” って何に協力したんだよ……。
マオ
「 セロ、お巡りさんは仕事中だろ?
邪魔したら駄目なんじゃないか? 」
セロフィート
「 ふふふ…。
そうでしたね。
お巡りさん、また何か有れば協力させて頂きますね。
今日は失礼します 」
お巡りさん
「 助かります!
気を付けて、お帰りください 」
マオ
「 セロ、何でお巡りさんと親しいんだよ? 」
セロフィート
「 引ったくりを捕まえた事が有ったので。
その時から親しくさせてもらってます 」
マオ
「 引ったくり?
知らん顔して見て見ぬ振りが当然のセロが、捕まえたのか?
替えの利く使い捨ての玩具だと思ってる人間の為に? 」
セロフィート
「 ふふふ…。
ワタシにも魔が差す時は有ります 」
マオ
「 …………嬉しいな。
オレの知らない所でセロが人助けしてくれてたなんてさ(////)」
セロフィート
「 人間助けは嫌いですけど? 」
マオ
「 ははは……。
有り難な、セロ! 」
セロフィート
「 ふふふ…。
マオに喜ばれました♪ 」
セロの意外な一面を知れるなんて、予想外な収穫だったな。
セロも少しずつだけど、変わって来てるんだ!
自分の事みたいに嬉しい(////)
マオ
「 益々、セロに惚れちゃうな! 」
セロフィート
「 嬉しい事を言ってくれますね。
今夜、久し振りに『 いいこと 』しましょう 」
マオ
「 えっ、良いのか?
本当に久し振りだよな(////)
セロと『 いいこと 』したい! 」
セロフィート
「 決まりですね。
朝まで寝かせません。
良いですね? 」
マオ
「 望む所だ!(////)」
セロと『 いいこと 』かぁ。
今夜が楽しみ過ぎるぅ~~♥️
──*──*──*── 翌日
日付が変わった午前2時頃、日本全国に存在している《 囲碁サロン 》が、一斉に原因不明の大炎上に見舞われた。
見事な炎柱が夜空に向かって伸びており、ゴゥゴゥと勢い良く燃えていた──という朝のニュースが放送された。
何で《 囲碁サロン 》が一斉に燃えるんだ!?
全国の《 囲碁サロン 》が一斉に放火されたのか??
でもそんな事が有り得るのか??
もの凄い数在るのに、一斉に──なんて……。
セロフィート
「 物騒な世の中ですね、マオ 」
マオ
「 そ…そだな…… 」
マオキノ
「 恐いですエリ~~ 」
言葉とは裏腹に全然恐がってないのがバレバレだ。
だってスマホを触りながら言ってるからだ。
セノコン
「 大事件ですエリ。
未解決事件で御蔵入りしちゃいますエリ 」
マオ
「 そだな……一斉放火なんて人間業じゃないもんな…… 」
オレの身近には、それが簡単に出来てしまうセロとキノコンが居るけど──、疑っちゃ駄目だよな??
怪異とか異形とか霊的存在の仕業で──。
いや、霊的存在の仕業は無いよな。
セロもキノコンも異形に入るじゃんか!
オレもだけど──。
マオ
「 これからどうなっちゃうんだろうな…… 」
セロフィート
「 警察も忙しくなりますね 」
犯人はセロ…………かな??
でも聞けないオレはチキン野郎だ。
ま…まぁ……犯人探しなんてする必要無いよな?
オレは探偵じゃないからな!
気分転換に【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 ~ 碁会所 ~ 】で遊ぶとしよう!
そうしようっ!!
◎ セロフィートを担当する編集者は、交代しています。
その内、ホストクラブで情けなかった編集者も登場させる予定です。