⭕ 囲碁サロン 2
担当さん
「 遅くなっちゃって、メンゴねぇ~~。
セロちゃあん 」
は??
「 セロちゃあん 」だと!?
オレのセロを “ ちゃん ” 呼びだとぉぉぉぉぉぉ!!!!
なんて恐いモノ知らずな男なんだ!
それにしても喋り方が独特な様な……。
癖が強いな。
担当さん
「 あのジジィ~~。
結局、今回の原稿、落としやがったのよのぉ~~。
マジでキィィィィィ~~~~!!!! 」
セロフィート
「 小説界のドンさんに対して、そんな事を言ってはいけません。
稼ぎ頭さんでしょうに 」
担当さん
「 幾ら稼ぎ頭のドンでも、原稿を落とすなんて有り得ないわよ!!
新人だって締め切りを守って頑張って書き上げてくれてるのに、ドンがアレじゃあ新人作家に示しが付かないわぁ!
代わりの小説を掲載するにしても肝心の小説が無いのよぉ~~。
明日の朝までに渡さないといけないのにぃ~~!!
早く新しい担当を付けてほしいわぁ…… 」
セロフィート
「 気難しい方の様ですね。
新しい担当を付けても些細な理由で止めさせてしまうのでしょう 」
担当
「 そうなのよぉ~~。
ジジィになると頑固に拍車が掛かって困るわぁ~~ 」
男なのに女言葉で話しているセロの担当さんは、オネエって事か??
オネエでも編集者になれるんだな……。
それにしてもオレのセロに対して馴れ馴れしいな!
マオ
「 セロ、この人は? 」
セロフィート
「 マオは初めてさんでしたね。
ワタシの担当をしてくれている編集者の功峰さんです。
功峰さん、ワタシの弟です 」
マオ
「 初めまして。
磨絽です。
お兄さんは、オネエなの? 」
編集者:功峰
「 あら、小さいのに “ オネエ ” なんて言葉を知ってるのねぇ。
磨絽君は小学生かしら? 」
マオ
「 20歳だけど!
とっくに成人してるし! 」
担当編集者:功峰
「 あらやだぁ~~。
全然見えないわぁ~~。
ムキになっちゃって可愛いわね♥️
でも、セロちゃんって21歳じゃなかったかしら?
弟さんとは1歳差なの? 」
セロフィート
「 ふふふ…。
マオは16歳です 」
担当編集者:功峰
「 あらぁ~~じゃあ、高校生なの?
20歳なんて嘘吐いてちゃって可愛いじゃないのぉ~~♥️
背伸びをしたい年頃なのね 」
また16歳にされた!
セロはオネエ担当編集者と話をしている。
2人の間に入って邪魔したい!
でも仕事の話をしているから間に割って入って邪魔する訳にもいかないしな……。
オレは黙って2人の話をセロの隣で聞いてるしかない。
2人の話の内容は、架空の駅前周辺に在る《 囲碁サロン 》が物語の中心になるみたいだ。
主人公のモデルは何故かオレになった。
オレ似の主人公は、駅前周辺で起きる数々の事件に遭遇する事になる。
原因は不明だ。
後に事件に遭遇する原因が、首から掛けて身に付けているプラチナリングの所為だと発覚する流れを書くらしい。
プラチナリングには秘密が有る設定にするらしいけど、今は触れないらしい。
で──、事件に遭遇すれば刑事から事情聴取を受ける事になる。
何度も事情聴取を受ける事になるオレ似の主人公は、刑事達にマークされてしまう事になる。
1人の成人男性が主人公の働く《 囲碁サロン 》に来て、通う様になる。
この成人男性は主人公を監視する役目を上司から言い渡された若手刑事だ。
若手刑事は努力の末、主人公と仲良くなる。
主人公と出掛けたりもする様になると若手刑事も主人公と共に事件に遭遇する様になる。
“ 怪しい ” と思われていた主人公が完全に白だと判明した事で監視の任を解かれる事になるんだけど、主人公との友人付き合いは続く。
主人公が奇妙な怪奇事件の謎を解いてくれるから、事件を解決させる為に刑事は《 囲碁サロン 》に通い続ける。
その度に《 囲碁サロン 》では色々なイベントが開催される為、若手刑事は主人公の友人として色々と手伝わされたり、時には対局したりと《 囲碁サロン 》の魅力を読者に伝える役としても活躍するみたいだ。
自然な流れを作って《 囲碁サロン 》の宣伝をする中で、囲碁雑誌を然り気無く登場させて宣伝するなんて流石だな!
今は度々起こる事件を2人で考えているみたいだ。
隣で聞いてるだけなのは詰まらない。
オレは席を立って場所を移動した。
サロンの中をプラプラ歩いていると、スタッフに声を掛けられた。
どうやら入店した院生が対局する相手を探しているらしい。
スタッフはオレがセロと囲碁を打っていたのを見ていたらしく、駄目元で声を掛けたみたいだ。
断る理由も無いから申し出を受ける事にした。
スタッフは安心した顔で院生の元へ案内してくれる。
院生は女の子だ。
スタッフ
「 お待たせ。
囲碁を打てる子が居たよ!
良かったね 」
マオ
「 初めまして。
厳蒔磨絽だよ。
宜しく? 」
院生の少女
「 初めまして。
奥邦真矢奈よ。
貴方の棋力は高いのかしら? 」
マオ
「 低くはないと思うけど?
オレより弱い相手には指導碁しか打てないし── 」
奥邦真矢奈
「 はぁ?
指導碁しか打てない?
何それぇ?
じゃあ、貴方は私に指導碁なんて打てないわよ!
私、強いんだからね! 」
マオ
「 院生ってプロを目指してるんだよな?
じゃあ、期待するよ。
オレに勝負碁を打たせてくれよな! 」
互いに向き合って椅子に腰を下ろして座る。
間にはテーブルが在って、テーブルの上には碁盤と碁笥が置かれている。
オレは何時も黒ばっかりだから、今回は白にしてもらった。
相手の院生の子が黒番で先手だ。
互いに「 お願いします 」と挨拶を交わして、対局が始まった。
◎ 訂正しました。
若手刑事の努力の末、─→ 若手刑事は努力の末、
然り気無くな登場させて ─→ 然り気無く登場させて