⭕ 呪われた家? 3
マオ
「 それで?
この《 家 》に住み憑いてる怪異や異形は見付けれたのか? 」
霄囹
「 残念だが期待外れだったよ。
怪異,異形の類いじゃなかったんだ 」
マオ
「 期待外れって、どゆことだよ? 」
霄囹
「 犯人は人間だったのさ。
偶にTVで放送される事が有るだろ。
無断で住居に侵入し、天井裏に住み着く迷惑野郎のニュース 」
マオ
「 あっ!
確かに偶に見るよな!
住む場所の無い浮浪者や犯罪を犯した逃走中の指名手配犯とかが空き家や貸家に勝手に住み着いて暮らしてるヤツ! 」
霄囹
「 それな!
ヤバいストーカー野郎なんかは勝手に合鍵を作って侵入して住み着いたりするんだ。
まぁ、今回はストーカーでもなければ、犯罪者でもなかった。
無職のプー太郎だった訳だが── 」
マオ
「 無職のプーさんか… 」
霄囹
「 コラ!
プーさん言うな!
【 くま●プーさん 】を連想させるだろうが!
著作権で消されるぞ! 」
マオ
「 えぇ~~。
でもさ【 くま●プーさん 】って著作権が切れて、“ ホラー映画とか作られてる ” ってTVで言ってた気がするんだけどな~~? 」
霄囹
「 デ●ズニーは著作権に煩い組織なんだよ。
プールの底にミ●キーの絵を描いた何処ぞの施設にだ、黒スーツを行かせて『 消さないと訴えるぞ 』って脅す様な組織だぞ。
気を付けろ! 」
マオ
「 着色し過ぎじゃないか?
“ 夢と魔法の王国 ” を使ってファンタジーを提供してくれる健全で善良な組織の筈だろ?
黒スーツって……【 逃走中 】っていう番組じゃないんだからさ……。
それにしたって、シュンシュンが著作権を気にするなんて珍しいな。
気にしないでバンバン使って、知らない奴等に罪を擦り付けて知らん顔しそうなのにさ 」
霄囹
「 当たり前だろ!
悪い奴等なんて山程居るからな!
僕の代わりに有らぬ罪を被せて罰せられる様に仕向けるのは当然だ。
犯罪者の利用価値なんて、罪の上乗せそれぐらいしか無いだろ 」
マオ
「 酷い事するぅ~~ 」
霄囹
「 もっと褒めろよ。
見付けたプー太郎は縄で縛って確保してある。
結構長く此処に潜んでたみたいだぞ。
警察に連行だな。
強制猥褻罪に問われる様にしてやるか? 」
マオ
「 猥褻罪って……。
住居不法侵入罪と盗聴罪,盗撮罪,窃盗罪とかで良いんじゃないか? 」
霄囹
「 マオは生温いんだよ!
駄目に決まってるだろが!
もっと重罪を張り付けて警察に付き出さないと意味無いだろ。
もっと誇れて恥ずかしくない罪を上乗せしてやるのが、犯罪者に対する善意ってもんだぞ 」
マオ
「 シュンシュン……。
水を得た魚みたいに楽しそうだな。
シュンシュンに見付かったばっかりに──、運が尽きたかな 」
霄囹
「 おぃおぃ、“ 幸運 ” と言えよ。
僕に見付けてもらえた “ お蔭 ” で、犯罪者は悪事を止める切っ掛けを得る事が出来たんだぞ。
感謝されるべきだろ。
有らぬ罪の上塗りは、僕からの “ 粋な餞別 ” さ★
僕は人生を “ やり直す ” 機会を得れた犯罪者に優しいんだ 」
マオ
「 ははは~~。
物は言い様だな、シュンシュン。
依頼人へ報告をしなくちゃだろ。
どう報告するんだ? 」
霄囹
「 そのままだな。
『 今回の原因は、霊的存在,怪異や異形の類いの仕業じゃなく、人間が犯人だった 』ってな。
『 住む場所の無い浮浪者が勝手に住居侵入した末、我が物顔で天井裏に住み着いて居た 』って事と『 盗撮,盗聴もしていたし、盗撮した画像や動画,盗聴していた録音は、自分で楽しむだけでなく、ネットに上げて商売してた 』って事を伝えるさ。
天井裏から道具も見付けたし、通帳まで有ったんだ。
かぁ~なぁ~りぃ~~貯まってたぞ。
通帳は僕が頂くとしてだ── 」
マオ
「 はぁぁ!?
通帳を頂くってぇ? 」
霄囹
「 何で驚くんだよ。
当然だろ。
良いか、マオ。
僕等は人間じゃない。
理由は違えど、当の昔に “ 人間を捨てて ” 異形となった身だ。
人間の決めた決まりを律儀に守る義理は欠片も無いんだぞ。
何度も言わせるなよ。
──見付けた通帳と判子をパクったからって、異形の僕等が犯罪者になる事は無い!
パクっても問題は無いんだ。
これは犯人を見付けて捕まえた僕が、頂戴出来る正当な報酬なんだ。
ブタ箱にブチ込まれる犯人には、この金を使う事は出来ない。
僕の “ お小遣い ” として有効活用した方が、通帳だって涙を流して喜ぶのさ★ 」
マオ
「 屁理屈ばっかり言うんだもんなぁ……。
止めないオレにも非は有るけど、警察に没収されて保管されるぐらいなら、まぁシュンシュンが使っても良いかもな。
持ち主が犯罪して稼いだ汚ない金だし──、汚れて真っ黒黒なシュンシュンが使っても大差無いかもな 」
霄囹
「 どさくさ紛れに僕をディスるな! 」
マオ
「 でもさ、判子と通帳が有っても暗証番号が無いと金は引き出せないだろ?
拝借しても意味がないんじゃないか? 」
霄囹
「 何の為にキノコンが居ると思ってるんだ。
暗証番号が無くても金は引き出せるんだぞ。
頭を使えよ 」
マオ
「 完全に犯罪者の思考だよな、シュンシュンって── 」
霄囹
「 褒めるなって(////)
よし、後片付けをしたら朝には撤収するぞ。
それまでの時間は、僕が犯罪者に事情聴取するんだ!
腕が鳴るねぇ~~ 」
マオ
「 シュンシュン、程々にな?
オレも立ち合うから拷問は無しだぞ 」
霄囹
「 セロフィートじゃないんだから、拷問なんてするかよ。
道具も無いしな。
指の爪を軽く剥がすぐらいなら良いだろ?
マオが回復魔法を掛けてやれば、爪も再生して元通りになるだろ? 」
マオ
「 まぁな。
爪は皮膚だからな。
再生させるくらい出来るけど── 」
霄囹
「 よぉ~~し、決まりだ!
楽しい事情聴取と行こうじゃないか! 」
マオ
「 犯人には “ 御愁傷様 ” だな。
まぁ……長い間犯罪を犯してた奴だし、同情するのも違うか── 」
オレはシュンシュンがやり過ぎない為の見張り役として事情聴取に立ち合う事にした。
シュンシュンが爪を剥ぐ程度で止めなかったのは、お約束って事で────。
◎ 訂正しました。
意味なだろ。─→ 意味無いだろ。