✒ 呪われた家? 2
──*──*──*── とある家
マオ
「 随分と奥に有る《 家 》だな…… 」
霄囹
「 立派な《 家 》だろ。
階段の下には有名な《 温泉街 》が在って、此処から見る景色は絶景と来た。
暮時を見てみろよ。
バズる事、間違いなしさ 」
マオ
「 確かに景色は抜群に良いと思うけど、階段がキツいよ……。
これを毎日、上り下りするなんてハードだな…… 」
霄囹
「 専用のエレベーターが有るらしいぞ。
階段の上り下りは気分でするそうだ 」
マオ
「 エレベーターが有るのかよぉ~~ 」
霄囹
「 へばるのが早いぞ、マオ。
これから《 家 》の中に入って、隅々調べるんだからな 」
マオ
「 どうせ怪異か異形の仕業だろ?
人間に見えないから、覗き見し放題じゃんか。
入浴とか着替えとかトイレとか、覗き見してんじゃないのか?
流石に盗撮はしてないとは思うけど? 」
霄囹
「 調べる前から種明かしするんじゃない。
盗撮してる事を祈ろうぜ。
データを回収して、依頼人の弱味を握ってカモにするんだ 」
マオ
「 今日も最低だなシュンシュン…… 」
霄囹
「 今日日の怪異と異形はスマホを使いこなせる器用で賢い奴等が増えてるんだ。
利用しない手は無いだろ。
データの入ったスマホは没収決定だ!
僕が有効活用させてもらうからな 」
マオ
「 シュンシュンの仕込みじゃないよな? 」
霄囹
「 誰が仕込むかよ!
僕は其処まで暇じゃない! 」
マオ
「 暇だったらするのかよ……。
まぁ、シュンシュンなら式隸を使うだろうし、怪異にさせたりしないか── 」
霄囹
「 そういう事だ!
全く、陰陽師ってのはあこぎな商売だよなぁ~~ 」
シュンシュンは悪い顔をしてクックックッと笑う。
式隸をコキ使うシュンシュンなら、既にしているかと思ったけど、其処迄は手を染めてないみたいだ。
セロはミニマムキノコンを使って既にさせてるけどな~~。
シュンシュンには言わないでおこうと思う。
マオ
「 仮にだけど、覗き見しながら盗撮しているのが怪異若しくは異形だったら、どうするんだ?
退治するのか? 」
霄囹
「 何時の時代の話だよ。
祓ったりはしない。
スカウトするに決まってるだろ 」
マオ
「 スカウトって? 」
霄囹
「 ビジネス契約を交わすのさ。
強力な言霊でな!
拒んだら式隸にして一生涯コキ使ってやるさ 」
マオ
「 ひっどぉ~~ 」
霄囹
「 もっと褒めろよ! 」
そんな訳で、シュンシュンとオレは《 家 》の中へ入る事にする。
合鍵はシュンシュンが依頼人から預かっていた。
立派な両扉のドアの右側を開けて入った。
──*──*──*── 家の中
どうやら土足で上がる《 家 》みたいだ。
廊下を歩いて[ 居間 ]に入ると家族写真を見付けた。
普通に裕福そうな家族写真だ。
マオ
「 これといって気配は感じないな。
怪異や異形じゃないのかな?
上手く隠れてる……とか? 」
霄囹
「 式隸に調べさせるさ。
腹が空いたな。
マオ、冷蔵庫に有るの使って何か作ってくれよ 」
シュンシュンは既に立派なソファーの上に腰を下ろして座っている。
TVのリモコンを手に持って、TVの電源を入れる。
マオ
「 寛ぐの早くないか? 」
霄囹
「 調べさせてる間、僕は暇だからな。
あっ、飲み物も欲しい。
ジュースが有ったら頼む 」
マオ
「 あのなぁ!
オレはシュンシュンの使用人じゃないからな。
飲みたきゃ自分で取って来いよ 」
オレは[ 居間 ]から出て[ 台所 ]を探す。
勝手に冷蔵庫の中の食材を使って良いのかな?
依頼人から怒られても知らないぞ!
──*──*──*── 台所
[ 台所 ]を見付けたオレは、調理を始める前に物食──もとい、何処に何が置かれているのか確認を始める。
調理器具,調理道具,食器,食具,調味料,香辛料,食材──等々の場所を確認する。
ある程度の場所を把握した後、冷蔵庫を開けて中身を確認する。
マオ
「 う~~ん……。
オムライスでも作るかな。
後はスープかな…… 」
冷蔵庫の中から必要な食材を取り出して、オレは2人分のオムライスとスープを作ることにした。
──*──*──*── 居間
マオ
「 シュンシュン──。
料理が出来たから[ ダイニング ]に食べに来いよ 」
霄囹
「 分かった。
直ぐ行く 」
マオに呼ばれた霄囹はリモコンでTVの電源を消すと、ソファーから腰を上げて立ち上がると[ 居間 ]を出た。
──*──*──*── ダイニング
食卓テーブルの上にはマオが作った料理が並んでいる。
2人分のオムライスと具沢山のゴロっと野菜スープだ。
出来立ての為、湯気が出ている。
霄囹
「 んげぇっ…………オムライスかよ…… 」
マオ
「 文句言うなら食べなくて良いからな! 」
霄囹
「 食うに決まってるだろ 」
霄囹は椅子に腰を下ろして座る。
マオは霄囹の目の前で、オムライスの上にナイフで切り込みを入れる。
切り込みを入れられたオムライスから卵がトロリと出る。
霄囹
「 おぉっ!
ふわとろオムライスなんて豪華じゃないかよ 」
マオ
「 卵の賞味期限が近かったからな、奮発してみたんだ。
野菜も期限が近かったから大胆に使ってみたんだ。
ジャガバター焼きも作ったけど食べるか? 」
霄囹
「 食べるに決まってるだろ!
持って来い♪ 」
マオ
「 シュンシュン、命令口調は直せよ。
セロの耳に入ったら大変だからな 」
霄囹
「 考えとく!
──キノコンの料理には劣るが美味いな♥️
具の多いスープも美味い! 」
マオ
「 キノコンの作る料理と比べないでくれよな。
キノコン粉末とかキノコンペーストとかキノコンじるとか使わないからさ 」
霄囹
「 あの癖になるヤバい調味料か。
あれは反則だよな~~。
中毒性が高くてヤバいってのに、薬物反応が出ない代物だろ。
然もだ、無味無臭と来たもんだ 」
マオ
「 最初は味も匂いもしてたけどな。
知らない内に無味無臭になってたし、液体だけじゃなくて、粉末とかペーストまで作っちゃってさ~~ 」
マオと霄囹は他愛の無い話をながら食事を続ける。