⭕ 桃狩り
──*──*──*── 桃農園
転移魔法を使うと直ぐだな。
《 桃農園 》には既に〈 器人形 〉が居た。
《 セロッタ商会 》のロゴとイメージキャラクターのセロカ君が描かれている作業服を着ている。
〈 器人形 〉は《 桃農園 》で働いている桃農家の人達から話を聞いていた。
《 セロッタ商会 》が新聞を発刊していた事に驚きだけど、広告の掲載もしてるなんてな~~。
全国版の新聞で、広告1枠の広告掲載代は4.000円らしい。
新聞は8面で、1面には広告枠が12も有るんだとか。
全国版とは言え、新聞の購読が出来るのはセロカ会員だけらしく、広告に掲載が出来るのもセロカ会員限定らしい。
セロカ会員の特権みたいなもんか。
新聞に掲載されている内容は、一押しの商品ネタ,主婦ネタ,料理ネタ,時事ネタとからしい。
他にも年配者や学生向けに歴史特集なんかもしてるんだとか。
子育てに頑張るママさん向け特集も人気らしい。
何でも、≪ 日本国 ≫を解体する為に、家族を壊してバラバラにする悪魔的な法案を国会に通そうとしている政党の企てを阻止する為、絶讚平和ボケ中の愛国心が薄らいでる日本国民へ向けて新聞を通じて警鐘を鳴らしてるんだとか。
ヒロッキの母親が御執心しているカルト宗教団体がまさにその政党とズブズブらしく──、夫婦別姓,同性婚,事実婚,重婚なんかを進めているのは、戸籍制度を廃止して先祖と子孫の繋がりを絶ち切り、家庭を壊し、家族をバラバラにして個人単位にしてしまえば、≪ 日本国 ≫を解体するのが簡単になる──っていう恐ろしい目的を達成する為の手段の1つに過ぎないんだけど、平和ボケしている国民はとんでもない裏が隠されている事まで深く考えないで、夫婦別姓や同性婚,事実婚,重婚に対して『 いいこと 』だと勘違いさせられて、共感,賛同する運動をしている道化と化して踊らされているんだとか。
オレ達には関係無い事だから放っといても良いのにさ、お金を落としてくれる御客様達へ、より良い影響を与える為に情報提供の一貫として還元してるみたいな。
これも全は、ガッポリの為か。
反対にセロが “ ガッポリ ” しなければ、≪ 日本国 ≫はとっくの昔にセロの実験場と化していた事だろう。
キノコンは≪ 日本国 ≫を征服する気、満々だからな。
幻夢さん,玄武さん,弓弦さん,麼白もだよな。
皆、物騒な想いを胸に抱いて生活している。
≪ 日本国 ≫での楽しい暮らし、何時まで続けられるんだろうな……。
〈 器人形 〉が取材をしている間、セロとオレは桃狩りを堪能させてもらえた。
色んな種類の桃の木が在って、色の異なる桃を採らせてもらえた。
桃を採るコツってのが有るみたいで、桃農家さんに教えてもらった。
収穫した桃を2つずつ用意して、段差を付けた長テーブルの上に1つずつ並べて行く。
切ってない状態の桃は上の1段目に置かれる。
中身を見せる為に切られた桃は真ん中の2段目に置かれる。
試食用に切られた桃は、3段目に置かれる。
桃を並べ終わると、試食用の桃の前に桃の名前が書かれたプレートも置かれる。
撮影する為の下準備が終わると、〈 器人形 〉が桃農家さんへのインタビューが始まった。
桃農家さんは、《 桃農園 》で育てている桃について丁寧に説明をしてくれる。
桃って奧が深いんだな~~。
桃の違いを体験する為に試食をして確かめる事になった。
試食用に切った桃をセロとオレが食べる事になった。
中身の色が微妙に違う桃を1つずつ味わいながら食べる。
桃の香り,味や食感の感想をコメントしながら、微妙な違いを伝える。
桃を食べれるのは嬉しいけど、感想をコメントしながら食べるのは遠慮したいな。
セロは適切な感想をコメントしている。
どんな調理方法に合いそうか迄コメントしてるから、隣で食べてるオレとしては参っちゃうな~~。
器人形
「 皆様、お疲れ様でした。
宣伝用の撮影は、これにて終了致します。
編集版は後日、皆さんに確認して頂く事になります 」
桃農家の社長
「 本日は有り難う御座いました。
《 セロッタ商会 》さんに桃の魅力を消費者の皆さんへ伝えて頂けるなんて願ったりで── 」
セロフィート
「 無理を承知で桃狩りをさせて頂けたのです。
《 桃農園 》の宣伝は任せてください。
桃を使った新しい商品開発にも協力させて頂きます。
後継者問題も有るでしょうし、此方から社員を派遣させて頂きます 」
桃農家の社員
「 何から何まで有り難う御座います 」
この《 桃農園 》に派遣される事になる社員ってのは、十中八九〈 器人形 〉だろう。
後継者問題に悩んでいる生産者を探しては、〈 器人形 〉を社員として派遣して、技術をマスターさせては伝統を引き継がせて、廃れて消えていくのを防いでいるんだ。
古き良き伝統文化を継承し、後生へ残していく活動も、表面的に見れば “ 善意の活動 ” に見られがちだけど、結局は “ ガッポリ ” する為だったりするんだよな。
貴重な伝統文化や伝統技術を上手く活かす事で、莫大な利益を生み出す事が出来るし、《 セロッタ商会 》はウハウハに潤うんだ。
決して、人間助けの為にしていないって事を忘れたら駄目なんだ。
だけど、本来の目的を知らない人達は、伝統文化や伝統技術を継承して守ってもらえている事に喜ぶし、感謝もされる。
《 セロッタ商会 》のファンが減る所か増えるカラクリでも有るんだな。
今回の事でまたまたセロカ会員が増えたし、毎月の収入額が増えるからウハウハだな。
MBKを使ってるから、毎月収入が有っても使う機会が無いんだよな~~。
貯まる一方なのは良い事だけどな。
マオ
「 桃の試食、美味かったよな♥️
それにこんな沢山の桃を持ち帰れるなんて、桃農家さんは太っ腹だよな 」
セロフィート
「 どんなスイーツに返信するか楽しみですね、マオ 」
マオ
「 うん♪
代々的に宣伝して、美味しい桃を沢山の人に食べて欲しいよな!
色んな種類の桃の詰め合わせたセットを作って販売するのはどうかな?
3種類セット,6種類セット,9種類セットを作ったりしてさ。
ジャムならさ、食べ比べが出来る様に3種瓶セット,6種瓶セット,9種瓶セットを作ったりして──。
パイとかなら、1種類ずつ選んで、1ホールにしたのを販売するとかさ 」
セロフィート
「 はいはい。
帰ったらセノコン,マオキノに提案してみましょう 」
マオ
「 だな! 」
桃狩りを堪能した後は、桃農家さんに見送られながら《 桃農園 》を後にした。
お土産に貰った桃を〈 器人形 〉に持ってもらって、セロが転移魔法を発動させる。
セロとオレの代わりに〈 器人形 〉に《 裏野ハイツ 》へ転移してもらう事になった。
〈 器人形 〉の姿が魔法陣から消えたのを確認したら、次はセロとオレの番だ。
転移魔法を発動すると、セロとオレは一瞬で《 旅館 》の中に在る[ 宿泊室 ]の室内に戻れた。
◎ 訂正しました。
満々だからな。─→ 満々だからな。