✒ 事件が終わらない 3
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── 宿泊室
《 旅館 》の[ 駐車場 ]で轢き逃げ事件が起きてから1日が経過した。
犯人は未だに逃走中らしい。
轢き逃げする様な最低最悪な運転手なんて、早く捕まってほしいよな!
マオ
「 車は通行人を轢き殺す為の道具じゃないってのにさ、迷惑な話だよな 」
セロフィート
「 どんな物でも使い方次第で凶器になり得てしまうものです。
折れ易い爪楊枝ですら、使い方次第で凶器に出来てしまいます。
間違った使い方ではなく、本来の正しい使い方を心掛けて使用する事です。
考え無しに何気無く使うのではなく、責任を持ち使用する必要が有ります 」
マオ
「 そ…そだな……。
轢き逃げは重罪だろ。
免許の剥奪してさ、車の運転を一生涯出来なくすれば良いのにな! 」
セロフィート
「 ふふふ…。
それは難しいでしょうね。
車に乗れないと日々の生活が儘ならない人も居ますし 」
マオ
「 自転車で良いじゃんか。
轢き殺して放置したまま逃げる卑劣な奴には車だって “ 乗ってほしくない ” って思うんじゃないか?
人殺しの道具に使われたら、車だって堪らないと思うんだよな。
車を考えて作った人だって、悲しむんじゃないかな? 」
セロフィート
「 それは誰にも分かりません。
マオ、お喋りも良いですけど、出掛ける支度は出来ました? 」
マオ
「 ──バッチリだぞ!
いよいよ、待ちに待った桃狩りの日だな!
天気も良好だしさ♪
でもさ、良く桃狩りの予約が取れたよな。
どんな手を使ったんだ? 」
セロフィート
「 桃農家さんの記憶を改竄しました♪ 」
マオ
「 え゛っ?!
距離……めちゃくちゃ離れてないか?
離れた相手にも出来ちゃうのかよ…… 」
セロフィート
「 なんちゃって♥️
幾ら古代魔法でも遠く離れた相手の記憶を改竄する事は出来ません。
“ 万能ではない ” 事を忘れないでください 」
マオ
「 吃驚したぁ~~。
セロなら不可能な事でもやり兼ねないって思って…… 」
セロフィート
「 あまりワタシを買い被らないでください 」
マオ
「 だったら、一体どうやって── 」
セロフィート
「 〈 器人形 〉に電話させました。
《 セロッタ商会 》が発刊している新聞の下段には広告を掲載してます。
《 桃農園 》の桃狩り広告を掲載する契約を取りに行く事になってます。
マオが体験した桃狩りと試食した内容を編集した動画も宣伝として流す予定にしてます 」
マオ
「 仕事…… 」
セロフィート
「 はい♪
プライベートでは無理ですから、仕事の一貫として桃狩りと試食を楽しんでください 」
マオ
「 ま…まぁ、どんな形であれ、桃狩りが出来るなら良いや。
有り難な、セロ(////)」
セロフィート
「 ふふふ…。
マオの為に頑張りました♪ 」
頑張ってくれたのは、指示を出したセロじゃなくて、直に動いてくれた〈 器人形 〉だけどな~~。
でも、そんな水を差す様な事は言わないんだ!
嬉しさを表す為に、セロに抱き付いてみた。
セロフィート
「 はいはい。
準備が出来たなら行くとしましょう 」
オレの気持ちが通じたのか分からないけど、セロも満更でもないみたいに見える。
頭を撫でて来る辺り、御機嫌なのかも知れない(////)
桃狩りと桃の試食に免じて、今回は甘んじて頭を撫でられておこう。
マオ
「 《 桃農園 》には本来、バスに乗ってく程遠いよな。
バスは無いから公共の交通機関を使って行くのか? 」
セロフィート
「 転移魔法に決まってます。
マオは公共の交通機関を使って行きたいです? 」
マオ
「 転移魔法が良いに決まってるだろ。
早く行こう! 」
セロフィート
「 はいはい。
収穫した取れ立ての桃は転送魔法で《 裏野ハイツ 》へ送るとしましょう 」
マオ
「 そだな! 」
セロが転移魔法を発動させる。
足元に魔法陣が現れる。
魔法陣が虹色に光すと、視界に広がる景色が変わった。