⭕ 続・交番 2
──*──*──*── 交番
話ながら歩いていたら《 交番 》の前に着いた。
昨日《 タイムミー 》で殉職したお巡りさんが、一昨日の夜オレに事情聴取したお巡りさんだったら嫌だな……。
どうか、違うお巡りさんですように!!
オレは《 交番 》に顔を出してみた。
一昨日のお巡りさんの姿は無い。
もしかしたら、非番なのかも知れないよな??
セロフィート
「 マオ、どうしました?
誰を探してます? 」
マオ
「 一昨日、オレの事情聴取をしたお巡りさんが居ないと思ってさ…… 」
セロフィート
「 非番かも知れませんよ 」
マオ
「 うん……。
そう…だよな! 」
塢榁嶂德
「 知り合いの巡査でも居るんですか? 」
セロフィート
「 《 セロッタ商会 》のファンだと言うお巡りさんです 」
塢榁嶂德
「 《 セロッタ商会 》のファン?
あぁ、それなら《 警察署 》で働いている刑事にも《 セロッタ商会 》のファンが居ますよ!
皆セロカ君が大好きで、セロカ君グッズ自慢してますからね 」
マオ
「 セロカ君って刑事さん達にも人気なの? 」
塢榁嶂德
「 昔のセロカ君グッズの復刻版が手に入るってので、皆貢いでるよ。
非売品のセロカ君グッズって転売禁止されてるから、メ◯カリなんかで検索してもヒットしないんだよね 」
マオ
「 へ…へぇ~~ 」
そりゃそうだよ。
セロカ君グッズをネットにアップして転売してる違反者は、キノコン達が見付けて掃除してるんだからな。
キノコンの餌かな~~。
《 交番 》を後にして、乱射事件の起きた《 タイムミー 》へ向かった。
──*──*──*── タイムミー コンビニエンスストア
《 タイムミー 》には立ち入り禁止を知らせるイエローテープが貼り巡らされていた。
マオ
「 ドラマで見る事件現場みたいだぁ~~ 」
塢榁嶂德
「 まぁ、事件現場だからね 」
マオ
「 あっ、看板が在る。
何々…………【 お供え物,お花を供えないでください。お墓へ持って墓参してください。無許可で置かれた物は処分します 】って書かれてるな 」
セロフィート
「 地域の住人は看板に書かれた内容を守ってくれている様です。
おや、誰か居ますね。
亡くなった被害者の親族です? 」
マオ
「 本当だな 」
塢榁嶂德
「 一寸君、此処は立ち入り禁止区域だよ 」
誰か
「 あ……済みません……。
弟が此処で殉職したって、ニュースで知って…… 」
マオ
「 弟さんが殉職……。
声が……似てる…?
じゃあ……昨日の乱射事件で殉職したお巡りさんは…やっぱり……?? 」
セロフィート
「 おや、そっくりさんですね。
もしかして、一卵性双生児です? 」
誰か
「 あの……貴方方は…? 」
マオ
「 あ……えと……オレ達は── 」
セロフィート
「 一昨日の夜、川原で殺人事件が有りました。
不運にも付近に居た所為で第1発見者となってしまい──。
《 交番 》勤務をされていた貴方の弟さんに事情聴取を受けていた兄弟です 」
誰か
「 …………そう…ですか……。
弟に事情聴取を……。
そのニュースなら見ましたよ。
僕は理容師見習いをしているんですけど、働いている《 理髪店 》に御客で来られていた人だったので驚きましたよ 」
マオ
「 えっ?
じゃあ、殺された人は近所の人って事? 」
誰か
「 さぁ……。
でも…常連さんみたいですから、御近所さんかも知れないかな?
店長に聞いたら分かると思うよ。
随分と親しく世間話をしていたし…。
店長も落ち込んでたなぁ……。
飲み友達みたいだったから── 」
マオ
「 飲み友達?
お酒の? 」
誰か
「 違うよ。
店長は飲めない人だからね。
珈琲だよ。
近くに珈琲豆に拘った《 珈琲専門店 》が在ってね、其処の店ではマイカップを置けるんだけど、本当の通しか通わないから、珈琲の値段が高いんだよね。
1番安い珈琲でも1杯1.500円はする世界だからね。
店長に連れて行ってもらったけど、彼処の珈琲は飲めないね。
抜群に美味しいんだけど、珈琲1杯に1.500円はね──。
財布に響いて痛いんだ 」
セロフィート
「 塢榁刑事、折角ですし《 珈琲専門店 》へ寄ってみません?
被害者と犯人の手掛かりを得られるかも知れません 」
マオ
「 《 理髪店 》で聞き込みもだね! 」
塢榁嶂德
「 そうだね。
貴重な証言を有り難う御座います!
えぇと── 」
誰か
「 あ…済みません。
未だ名乗ってませんでしたね。
僕は萩頼寛晶です。
弟は藤嶋周斗です 」
セロフィート
「 苗字が違いますね 」
萩頼寛晶
「 母が夫婦別姓派ですから。
『 長男には絶対に自分の姓を名乗らせたい 』って頑として譲らなかったそうです。
父や祖父母は “ 跡取りの長男 ” を父方の姓で登録したかったみたいですけどね。
母のゴリ押しで僕は母方の姓で登録されたんです。
母は長女なんですが、実家には跡取りが居ませんから、僕が母方の跡取りになる事が勝手に決められてしまってるんですよね……。
弟の周斗が父方の姓を登録されて、父方の跡取りになったんですけど……。
婚約者を残して亡くなってしまいましたからね……。
母親が毒親だと振り回される子供は苦労の連続ですよ…。
嫌気が差して、高校進学を機に実家を出て寮生活に踏み切ったんです。
何かと干渉して来る過保護な母親と離れて暮らせてる今は、充実していて楽しいです 」
マオ
「 ……………… 」
萩頼寛晶
「 あっ、済みませんね。
僕の話なんかしちゃって(////)
《 珈琲専門店 》へ行くなら案内しますよ。
初めての人には気付き難い場所に在りますから。
隠れ家をイメージして建てられたらしいですよ 」
セロフィート
「 御願いします。
1番高い珈琲を飲んでみたいですし 」
マオ
「 マジかよ……。
1杯10万とかしないよな? 」
萩頼寛晶
「 ははは……。
流石に10万もする珈琲は無いと思うよ 」
塢榁嶂德
「 萩頼寛晶さん、《 珈琲専門店 》への案内、頼めますか? 」
萩頼寛晶
「 勿論ですよ。
《 珈琲専門店 》にはイメージキャラクターが居るんですけど、そのマスコットが可愛いんですよぉ♥️
珈琲は高くて頼めないけど、マスコットのグッズは集めてるんですよね。
可愛いは正義です! 」
立ち入り禁止区域になっている《 タイムミー 》の前で出逢ったお巡りさんの双子の兄──萩頼寛晶さんに《 珈琲専門店 》へ案内してもらえる事になった。
この出逢いが、川原で起きた殺人事件の解決に繋がるかも知れないな。
そうなったらどんなに良いだろう。
《 タイムミー 》で起きた乱射事件は、犯人達の自害に依って幕を閉じられてしまったけど、川原で起きた殺人事件はちゃんとした形で解決してほしいな──。