✒ 交番 1
──*──*──*── 交番
お巡りさんの厚意に甘えて《 タイムミー 》へ寄らせてもらったら、中華まんを買い占めて《 交番 》へ向かった。
《 交番 》に到着すると、お巡りさんに促されて椅子に腰を下ろして座る。
お巡りさんが直々に熱い緑茶を淹れてくれた。
お巡りさんに身元を明かして、事情聴取を受ける。
身元とは言っても≪ 日本国 ≫で生活をする為にセロが考えた設定だ。
要は “ 嘘っぱち ” な身元を話してる訳だけど、バレないかヒヤヒヤもんだ。
マオ
「 でもさ……ついてないよな。
綺麗な星空を見る為に夜散歩に出ただけなのに、死体を見付けちゃうなんてさ──。
聞こえた音なんて無視すれば良かったぁ~~ 」
セロフィート
「 そうなると、マオではない他の誰が第1発見者となるでしょう。
見ず知らずの誰かが、無実の罪で誤認逮捕され、有罪判決を受ける事になっていたかも知れません。
マオが第1発見者となった事で、事実無根の容疑で人生を台無しにされたかも知れない見知らぬ誰かの未来を救ったのです。
喜びましょう 」
マオ
「 喜べるかよっ!
うぅ~~~~数分前のオレを全力で止めたい……。
セロぉ~~、ダイヤル付きの “ どこで◯ドア ” を出してくれよぉ~~ 」
セロフィート
「 マオ、ダイヤル付きの “ どこで◯ドア ” はアニメの中の産物です。
欲しがらないでください 」
マオ
「 ちぇっ…… 」
セロフィート
「 明日に繰り越さなくて良かったかも知れませんよ。
水嵩が増せば、死体は下流へ流されてしまっていたかも知れませんし。
下流へ流されると海へ流されてしまう可能性も有ります。
海へ流されてしまった死体を見付けるのは困難です。
殺害された被害者に家族が居れば、家族の待つ家へ帰れる確率は低くなります。
水嵩が増す前に見付けられた死体は幸運でした。
マオのお蔭で家族の元へ帰れるのです。
マオのお手柄ですよ 」
マオ
「 家族が居ればの話だろ~~。
独り身だったら、引き取り人が居ないじゃんかよ 」
セロフィート
「 そんな事まで知りません。
マオに自分を責めないでほしいだけです 」
マオ
「 セロ……(////)
元はと言えば、『 夜散歩しよう 』ってセロが言わなければ── 」
セロフィート
「 責任転嫁は止めてください 」
マオ
「 してないしぃ~~。
オレを川原へ誘導したな、セロ! 」
セロフィート
「 はて…………何の事です? 」
マオ
「 その態とらしい惚け方ぁ!
その反応で十分だよ!! 」
セロフィート
「 ふふふ…。
マオには敵いませんね 」
もしかしたら、セロはあの川原で人が殺される事が分かっていたのかも知れない。
ツアー先でも油断が出来ないなぁ~~。
もしかしたら、セロの発作かな??
だけど、オレを殺害された死体の第1発見者にして何がしたいんだ??
面倒事が増えるだけなのに──。
予想外に退屈だからツアー先で面倒事に首を突っ込んで楽しもうって魂胆か??
オレが1人で悶々と考えている間、セロはと言うとお巡りさんと話をしていた。
聞き耳を立てていると、どうやら通り道に在った《 タイムミー 》の話をしているみたいだ。
《 タイムミー 》は60年程前に≪ 岐埠阜県 ≫って所で有名だった《 CES 》なんだとか。
だけど、他県から出店して来た《 CES 》が≪ 岐埠阜県 ≫に増えて行ったらしい。
《 CES 》戦国時代に突入した年代らしい。
色んな《 CES 》が吸収合併されて消えて行く中、《 タイムミー 》は新しい事に挑戦し続ける姿勢を失わず、障碍者に寄り添い障碍者も安心して利用の出来る《 CES 》を目指していたらしい。
未来の社会を先取りした障碍者に配慮した店舗を増やしていた《 タイムミー 》だったけど、他の競合店からの嫌がらせを受ける様になって、地域に親しまれていた《 タイムミー 》の受ける被害は《 タイムミー 》を利用していた御客に迄及ぶ事態となったらしい。
常に新しい事に挑戦し続けていた《 タイムミー 》だったけど、目の上のタンコブ的な存在だった《 タイムミー 》の店内で大事件が起きてしまった。
とある組織が仕組んで引き起こされた事件だったらしいけど、それが原因で《 タイムミー 》は《 CES 》戦国時代から離脱する事態となったらしい。
酷い話だ。
競合店が裏で手を取り合って、《 CES 》の最先端を走っていた《 タイムミー 》を陥れて引き摺り下ろしたんだ。
出過ぎた釘は打たれる──じゃなくて、引っこ抜かれちゃった訳だな。
だけど、60年の歳月を経て《 タイムミー 》は復活を果たした。
≪ 岐埠阜県 ≫で誕生した《 タイムミー 》は≪ 東京都県 ≫で復活を遂げると、早馬の如く日本全国に出店しているらしい。
お巡りさん、随分と《 タイムミー 》について詳しいけど…………ファンかな??