✒ 少年陰陽師★平安幻想異聞録 11
ソファーの上でセロからたんまり『 いいこと 』された後──、オレの代わりにセロがコントローラーを握ってゲームを進めてくれる事になった。
オレがぐったりしていてゲームを続けるどころじゃないからだ。
セロめぇ!
少しは手加減してくれよ…(////)
画面の中では既に日付が変わっていて、街中で好き勝手に暴れまわっている沢山の妖怪達を相手に戦っている陰陽師達のイラストに変わっている。
今はシュンシュン視点で、現在どんな状況なのかが文章で語られている。
画面が切り替わって、陰陽師達やシュンシュンが式神を召喚して妖怪達と戦う美麗な映像シーンが流れる。
凄い迫力だ。
本物と見分けが付けれない程の超絶美麗なCGで見る妖怪との戦闘シーンは手に汗を握る大迫力だ。
式神を召喚する時に現れる魔法陣も格好良い!
マオ
「 ──高画質の映画を見てるみたいだ…。
ちゃっちさの欠片も感じない!!
すげぇ……!! 」
セロフィート
「 当然です。
些細な妥協もしません 」
あらかたの妖怪の退治が済んで、陰陽師達の間では、やれやれ感が出ている。
だけど、シュンシュンだけは険しい顔をしていた。
その理由は直ぐに判った。
空に悪雲が集まって来て、雷がゴロゴロと鳴り始める。
ビカッ──って激しい稲妻が地面に目掛けて何本も落ちて来る。
シュンシュンから「 やはりか──。本体の御出座しだ! 」って台詞が出る。
画面には超絶美麗な映像で、妖怪の親玉が出現した。
妖怪の親玉は、さっきの妖怪よりも俄然強そうな妖怪達を地上へ解き放った!!
さっきの妖怪との戦闘で体力や法力を消耗している陰陽師達は、新たに現れた妖怪とまともに戦えない状態で、容赦なく次々に妖怪から襲われ、捕まり、血祭りにあげられ殺されて逝く。
まさに地獄絵図降臨って感じだ。
恐怖に戦き、戦意を消失した陰陽師達の末路は残酷だった。
妖怪達に繰り広げられる無慈悲な蹂躙だ。
妖怪に捕まった陰陽師は頭を砕かれ、腸を貪られ、身体を切れてるチーズみたいに引き裂かれ、無惨にも喰い散らかされる。
彼此から悲痛な悲鳴と骨が砕ける音、咀嚼音が鮮明に聴こえて来る。
幾らゲームだからって、これはやり過ぎてるんじゃないかって思うレベルだ。
子供に見せたら駄目なグロくてエグいシーンが満載だ。
マオ
「 セロ──、幾らなんでもリアル過ぎないか?
ゲームだからってさ、此処まで力を入れる必要があったのか? 」
セロフィート
「 妥協はしません。
ファンタジーに突っ込まないでください 」
マオ
「 いや……ファンタジーだからって、流石に…… 」
セロフィート
「 マオ、主人公が活躍します。
最強陰陽師・春舂霄囹の見せ場です 」
画面が切り替わって、シュンシュンが映し出される。
シュンシュンの隣には実体化している夕鶴ちゃんの姿もある。
普通だったら夕鶴ちゃんは居なくて、シュンシュンだけ何だろうな。
画面の中のシュンシュンは印を切って使役している8体の式神を召喚した。
陰陽師達を襲っている妖怪達をシュンシュンの式神達が一斉に動いて倒し始めた。
シュンシュンの安全を守るのは夕鶴ちゃんみたいだ。
夕鶴ちゃんも強力な光属性の法術を使って近付いて来る妖怪達を退ける。
夕鶴ちゃんの法術めっちゃ強い!!
古代魔法みたいに強力だな~~。
8体の式神も超絶強い!!
LV51だから??
シュンシュンの式神達が好戦的過ぎるぅ~~~~!!
マオ
「 す…凄い迫力だ。
シュンシュン無双じゃんか!
これなら妖怪の親玉も倒せるんじゃないか? 」
オレはセロの左腕に抱き付いたまま画面を見る。
セロフィート
「 倒せないと平安時代へ送られるイベントが起きません 」
マオ
「 だよな… 」
印を切っていたシュンシュンから「 領域展開! 」って台詞が出る。
マオ
「 セロ、領域展開って何だ?? 」
セロフィート
「 周囲に被害が出ない様に張る結界です 」
マオ
「 そんな凄い結界が張れるなら、もっと早く張れば良いんじゃないか? 」
セロフィート
「 発動させる迄に時間が掛かります。
領域展開は光属性ですから、御神木の精が居なければ張れない結界です 」
マオ
「 そうなんだ…。
夕鶴ちゃんの恩恵なんだ。
凄いんだな… 」
光属性の強力な結界をシュンシュンが張った事で妖怪達が弱まり始めた。
光属性の影響なのかな?
陰陽師達が妖怪達に襲われる前に領域展開しとけば、犠牲者も多少は少なくて済んだように思うけど……、良く良く考えたらコイツ等は全員がシュンシュンを裏切って罠に嵌める側の奴等だったよな…。
無理して助ける必要なんか無いな!
画面の中では8属性の式神達の全身が光っていて、属性の光が柱になって空へ伸びている。
夕鶴ちゃんの全身も光っている。
何が始まるんだろうな?
霊符を持って印を切りながらシュンシュンから「 我の言葉に応えたまえ! 現れ出でよ、鬼神絶鬼姫!! 」って台詞が出る。
マオ
「 鬼神??
絶鬼姫??
何??
新しい式神?? 」
セロフィート
「 9属性の式神が法術を解放する事で、9属性を操る強力な鬼神を召喚する事が出来ます。
これも御神木の精から受けられる恩恵です 」
マオ
「 夕鶴ちゃんが居なかったら、領域展開もしないし、鬼神召喚もしないで物語が進んで行くって事か。
領域展開や鬼神召喚をしなくても妖怪の親玉は倒せるんだよな? 」
セロフィート
「 通常なら倒せず、深傷を負わせて退散させる流れになります。
時空を超えて現世へ戻って来た主人公が、妖怪の親玉と戦闘をします。
主人公は平安時代でパワーアップしてますから、再び現れた妖怪の親玉を倒す事が出来ます 」
マオ
「 そっか、エピローグに持ち越されるんだな。
平安時代へ飛ばされる前に妖怪の親玉を倒したら、エピローグも変わっちゃうんだな 」
セロフィート
「 EDは1つではないです。
2周目からED集めも楽しめます 」
マオ
「 …………オレは良いや 」
画面を見ると身体の左半分が白くて、右半分が黒い鬼神絶鬼姫が妖怪の親玉を相手に大暴れしている。
9属性の法術を出し惜しみしないで発動させまくっている。
こっわぁ~~~~。
鬼神絶鬼姫を使役して、コントロールしているシュンシュンが凄く格好良い!!
妖怪の親玉が鬼神絶鬼姫に押されている。
畳み掛けるように華麗に決まる鬼神絶鬼姫の攻撃が気持ち良いくらい妖怪の親玉にクリーンヒットしている。
地面に叩き付けられた妖怪の親玉へ目掛けて、鬼神絶鬼姫が9属性の光の玉をぶつけた。
光の玉を直撃した妖怪の親玉は、シュワシュワと炭酸の泡みたいに消えて去って逝く。
すげぇ…………なんて幻想的な消え方なんだろう……。
マオ
「 セロ──、こんなに綺麗な画像、どうやって作ってるんだよ?
CGなんだよな? 」
セロフィート
「 古代魔法を使ってます。
良い感じにリアルとCGが融合してます 」
マオ
「 古代魔法を使ってるのかよ。
それなら納得かも。
絶対に映画も顔負けの映像は話題になると思うなよ! 」
妖怪の親玉が完全に消え去ると、8体の式神は消えた。
夕鶴ちゃんも一緒に消えたみたいだ。
1人になったシュンシュンは、疲れたのか休憩を始める事にしたみたいだ。
1人で身体を休めているシュンシュンの背後に人影が忍び寄る。
妖怪の親玉を倒したシュンシュンが疲弊している瞬間を狙うなんて卑怯な奴等だ!!
完全に油断していたシュンシュンは頭を殴られて気絶させられた。
捕らえられたシュンシュンは、両足首と両手首を縄で縛られた。
口には白い布を咥えさせられて、後ろで結ばれる。
シュンシュンが気を失っている間に、裏切り者達はシュンシュンが身動きを取れないように自由を奪った。
徹底してるなぁ……。
此処から画面がシュンシュンを裏切った陰陽師達視点に切り替わった。
邪魔なシュンシュンを現代から追放する為の悪意の塊のような準備が始まった。
マオ
「 いよいよ始まっちゃうんだな…。
シュンシュンを現代から追放する為の儀式が── 」
生き残った陰陽師達が一斉に法術を発動させる。
巨大な魔法陣が出現して、妖怪が現れた。
この妖怪が時間を操ってシュンシュンを平安時代へ飛ばす妖怪なのか…。
妖怪が能力を発揮する。
シュンシュンの周囲が歪む。
歪んだ空間にポッカリと空いた黒い穴が出現すると、気を失っているシュンシュンを吸い込んだ。
黒い穴にシュンシュンが吸い込まれると、時を操る妖怪が黒い穴の中へ飛び込んだ。
黒い穴が閉じると画面が切り替わって、時空間を遡るシュンシュンの姿が映し出される。
時を操る妖怪がシュンシュンを飲み込んで時空間から出た。
どうやらプロローグは此処で終わりらしい。
長かったプロローグが終わって、これから物語の上盤が始まるんだ。
マオ
「 マオキノが教えてくれたけど──、シュンシュンが飛ばされた平安時代って、魑魅魍魎が跋扈する世界なんだよな?
身動きが取れないように縛られてるけど、大丈夫なのかな?? 」
セロフィート
「 さて、どうでしょう。
マオ、[ セーブ ]しますね 」
マオ
「 うん、頼むよ 」
画面に「[ セーブ ]しますか? 」って出ている。
セロが[ セーブ ]をしてくれた。
「 [ ロード ]しますか? 」って出ている。
セロは〔 いいえ 〕を選んだ。
マオ
「 ちょっ、セロ!
何で〔 いいえ 〕なんだよ!
其処は〔 はい 〕だろ! 」
セロフィート
「 先ずは朝食です。
済ませてから続きをしましょう。
良いですね 」
マオ
「 ……………………。
分かったよ…。
もうそんな時間なんだな… 」
ゲームを続けたいけど、コントローラーはセロが握っているから仕方無い。
諦めて朝食の後にゲームの続きを始めるとするか。
「 お楽しみは朝食の後で 」ってヤツだな!
◎ 駆け足になりましたが、何とか「 プロローグ 」を終わらせる事が出来ました。
頭の中に浮かぶイメージを文章にするのは難しいですね。
雑な仕上がりになりましたけど、“ ご愛敬 ” って事で大目に見ていただきたいです。