✒ 夏祭りと花火大会 1
──*──*──*── 8下旬
──*──*──*── 東京都米●市米●町米●横丁
──*──*──*── 犯罪天国都市・米●町
──*──*──*── 裏野ハイツ
──*──*──*── 102号室
──*──*──*── 2階・寝室
マオキノ
「 マオ様──、今回は此方の浴衣を着て頂きますエリ 」
マオキノが可愛い柄物の浴衣を見せてくれる。
どう見ても女の子の為に作られている浴衣だ。
セノコン
「 マオ様はナチュラルメイクで十分ですエリ。
今回は此方の髪型にさせて頂きますエリ 」
セノコンはスケッチブックに描いてあるヘアスタイルの絵を見せてくれる。
今回の為に色んな髪型を考案したんだろうな~~って思う。
マオ
「 う、うん……。
今回もマオキノとセノコンに任せるよ…… 」
8月に入って何度目かの夏祭り当日。
オレは何故か女装をされられ、女物の浴衣を着せられている。
マオキノとセノコン曰く、オレは男物の浴衣を着るより女物の浴衣を着た方が似合うらしい。
オレだって、幻夢さん,玄武さん,弓弦さんみたいに男物の浴衣を着たい!
だって、オレは男なんだから!
だけど、オレの意見は完全に無視されている状態だ。
女物の浴衣を選ぶのはマオキノとセノコンだけじゃなくて、セロも関わっている。
幻夢さん,玄武さん,弓弦さんも関わってて、この前なんて女物の浴衣を買いに金持ちしか出入りしない様な格式の高そうな呉服屋へ連れて行かれたぐらいだ。
何で皆揃って、オレに女装させたがるんだよぉ!!
貢がれる高額な品が女物の浴衣一式セットを3点って、明らかにおかしくないかな!!
どうせなら男物の浴衣セットが欲しかった!!
正真正銘女のキギナは、女装したオレがちやほやされるのが気に入らないみたいで機嫌が悪くなるし──。
性別反転して女の身体になったシュンシュンには対抗心を向けられるしぃ~~。
楽しい筈の夏休みや花火大会なのにどどっと疲れてしまって、毎回ちゃんと楽しめない。
惚れてるセロからちやほやされるのには耐えられるけど──、幻夢さん,玄武さん,弓弦さんからちやほやされる事に関しては、男のプライドが居た堪れない……。
幻夢さん,玄武さん,弓弦さんが喜んでくれるのは嬉しいけど、女装しない状態でオレも夏祭りと花火大会を楽しみたいもんだ。
セロは面白がってるだけだろうけどな!
セノコン
「 マオ様、終わりましたエリ♥ 」
マオキノ
「 今回も完璧な仕上がりですエリ♥ 」
マオ
「 有り難な…… 」
マオキノとセノコンは♥を飛ばしながら、滝の様に涎を垂れ流しながら、キャッキャッと喜んでいる。
女装したオレは美味しそうな御馳走に見えてる──って事なのかぁ!?
マオキノもセノコンも涎を垂れ流しながら器用にスマホでオレの姿を連写しまくっている。
マオ
「 毎度の事だけど……涎をドバドバ垂れ流しながら写メるの止めてくれないかな? 」
マオキノ
「 涎は止めれませんエリ~~ 」
セノコン
「 キノコンの生理現象ですエリ~~ 」
マオキノ
「 ささっ、マオ様──。
セロ様がリビングで御待ちですエリ 」
セノコン
「 存分に愛でられてくださいませエリ♥ 」
マオ
「 ははは………… 」
オレは階段を下りて1階のリビングへ移動した。
──*──*──*── 1階・リビング
リビングではセロが読書をしていた。
オレが「 セロ── 」って名前を呼んで声を掛けると、セロは読書を止めてオレを見てくれる。
嬉しそうに微笑むセロの顔を見るだけで、セロを押し倒したい衝動に駆られるけど、そんな事をしたら浴衣や髪型が崩れて台無しになってしまう。
抑、身長だけじゃなくて腕力でもセロには敵わないから、簡単に押し倒されて食べられちゃうのは断然オレの方だ。
セロが白銀に輝く神聖で孤高な大型犬なら、オレは黒い小型犬なんだろうな……。
天地が逆転しても小型犬が大型犬に勝てる訳が無い。
セロフィート
「 マオ、良く似合ってます。
今回は弓弦さんの選んだ浴衣ですね 」
マオ
「 ははは…… 」
セロフィート
「 弓弦さんの感激する姿が目に浮かびますね、マオ 」
マオ
「 そ、そうかな…… 」
セロフィート
「 夏祭りは始まってます。
行きましょう 」
マオ
「 う、うん…… 」
セロが差し出してくれる手を取る。
セロも浴衣を着ていて、セロに似合う高級感漂よう上品な白い浴衣には赫い彼岸花が刺繍されている。
白いキャンバスには鮮血を連想させる彼岸花が似合う。
セロは古代魔法の転移魔法を発動する。
交通費を使って何時間も掛けて移動をしなくても、一瞬で夏祭り会場へ付けるから有り難いよな。
今回の夏祭りと花火大会は楽しめると良いな……。