⭕ 海水浴しよう 8
柄杓を新調する事が出来た御礼に舟幽霊から教えてもらった絶景の穴場は、確かに “ 穴場 ” に相応しい程に素晴らしく美しい場所だった。
人間が未だ見付けれていない秘密の穴場でもあった。
人間が踏み入って無い穴場は神聖さすら感じた。
マオ
「 セロ──、“ 空気が違う ” ってのは、あんな感じの事を言うんだろうな 」
セロフィート
「 気に入りました? 」
マオ
「 海面に星空が反射して綺麗だったし、海面も七色に光って見えて不思議な光景だった!
自然界が見せる神秘って凄いよな~~!
ロマンチックだったよ(////)
セロフィート
「 舟幽霊さんに感謝ですね。
魚介類を乱獲している漁船のブラックリストをプレゼントする事にします 」
マオ
「 そ、そんなリストが有るのかよ? 」
セロフィート
「 キノコン調べですし、信頼は出来ます。
問題の漁船の待ち伏せが出来れば、舟幽霊さんも歓びます 」
マオ
「 海で沈没する漁船が増える事になって、ニュースになるんだな~~。
セロが事件を起こす原因を作ってるなんて…… 」
セロフィート
「 それは違います。
ワタシはマオが喜んでくれて嬉しい気持ちを形で返すだけです 」
ブラックリストを活用するもしないも舟幽霊さん次第です。
ワタシは関与してません 」
マオ
「 抑、ブラックリストを用意してる時点で渡す気満々じゃないかよ!
確信犯だろが! 」
セロフィート
「 心外です。
どうせなら愉快犯と言ってください♪ 」
マオ
「 尚更悪いしぃ~~ 」
セロフィート
「 人間が魚介類の乱獲を止めれば済む問題です。
決まりを守り、漁をする漁船も有ります。
自分達で決めた決まりを破り、漁をする漁船は自業自得です。
舟幽霊さんも決まりを守る誠実な漁船には悪戯しません。
寧ろ、漁をする間、漁船を災難から守ってます。
霧で迷った時は誘導し、助ける事も有ります 」
マオ
「 そ、そうなんだ……。
あくまでも悪さをするおおちゃくい漁船を対して──ちょっかいを出すって事だな? 」
セロフィート
「 そう言ってます。
『 時代に変わるにつれ漁師のマナーも悪くなっている事に困っている 』と海に住み着いている怪異から相談を受ける様になりました。
海水客に対してもです。
『 持ち帰らずに放置されるゴミの量が増えている 』と悩んでます。
『 食べ残しや飲み残しを海に捨てる人間も居る 』とも怒ってます 」
マオ
「 怪異は被害者側として、人間に対して怒ってる訳か──。
ちゃんと決まりを守って楽しむ海水客も居るのに、ほんの一部の心無い悪い輩の所為で台無しになっちゃうんだな 」
セロフィート
「 海水欲が禁止される砂浜が増えたのも結局は人間が原因を作っているからです。
怪異は被害者です。
人間に怪異を責める資格も権利も無いです 」
マオ
「 そだな……。
結局さ、オレ達って人間側じゃなくて、異形や怪異側なんだよな……。
人間より、優先しちゃうんだもんな~~ 」
セロフィート
「 ワタシの場合は役目と立場上、仕方無いです 」
マオ
「 そだな……。
海難事故を起こす側の味方だもんな~~ 」
セロフィート
「 ふふふ。
マオもですよ 」
マオ
「 そう言えばさ──、今年は川遊びしてる人間の事故が多いよな。
それもやっぱり川に住み着いてる怪異の仕業なのか? 」
セロフィート
「 何でも彼でも怪異の仕業だと思わない事です。
海とは違い、川に住み着いてる怪異は大人しいです。
余程の事をしない限り怪異は人間に構ったりしません 」
マオ
「 余程の事って例えばどんなのだ? 」
セロフィート
「 川を汚したり、ゴミを捨てたり、川魚を釣ったり、外来魚を放し、生態系を壊す等の行為です 」
マオ
「 う~~ん…………それって日常茶飯事の出来事じゃないのか?
毎日、誰かがしてる事だろ 」
セロフィート
「 怪異にも許せる限度が有りますし。
限度を超えた場合、人間を水中に引き摺り込み、命を奪います。
足を踏み外し、流され溺れ死ぬのは警戒を怠る人間側の過失です。
怪異は無関係です。
抑、川は安全な遊び場では無いですし 」
マオ
「 そ、そうだよな……。
川を遊び場にしてる危機感の薄い人間の方に問題が有るんだよな?
人間の勝手な解釈で川を遊び場にして水難事故に遭うのは、誰の所為でも無い自業自得って事か── 」
セロフィート
「 どうしても川で遊びたいならば、最悪のケースを想定し、覚悟して遊ぶ事です。
家族に遺書を残しておくのも良いでしょう 」
マオ
「 川遊びするだけなのに遺書かよ。
まぁでも、誰と何処の川で遊ぶかを書き残して出掛ければ、少なくとも両親は安心するだろうな。
帰りが遅ければ探しに行けるだろうし 」
セロフィート
「 マオ、BBQが始まってます。
そろそろ《 海の家 》へ戻ります? 」
マオ
「 あっ、そうだった!
デートに夢中で夕食の事を忘れてたよ!
早く戻ろう 」
セロフィート
「 はいはい 」
セロは古代魔法の転移魔法を発動してくれた 。
海面に浮いているゴムボートの下に魔法陣が出現する。
セロとオレはゴムボートごと《 海の家 》へ転移した。
◎ 訂正しました。
舟幽霊さん ─→ 舟幽霊さん
◎ 変更しました。
心外ですよ、マオ ─→ 心外です。