✒ 海水浴しよう 4
──*──*──*── 海水浴場
──*──*──*── 浜辺
キギナ・メグド・ナール
「 ──はぁ……。
コイツ等、マジで使えないわね!
こんな可愛くて美少女をナンパしといて、金を持って無いなんて!
マジで有り得ないわぁ~~。
幻滅よ、幻滅ぅ!! 」
惷麗
「 ──チッ。
3人で5万かよ。
しょっべぇなぁ、おい。
美少女をナンパするなら最低でも30万は財布に入れとけよ、クズ共が!
──キギナ、そいつ等は幾ら持ってた? 」
キギナ・メグド・ナール
「 ──6人で8万ね。
シラケるわぁ~~。
6人で8万よ、8万!
全く以て、ふざけてるわっ!!
もぅ、コイツ等はゴミよ、ゴミぃ~~~~ 」
キギナ・メグド・ナールは、砂浜に倒れている男達の財布から現金を抜き取り、札の枚数を数えている。
何度数えても1万円札は8枚しかない。
倒れている男達の腹に蹴りを入れながら、キギナ・メグド・ナールはブチブチと文句を言っていた。
その近くでは惷麗が砂浜に倒れている男達から財布を巻き上げ、現金を抜き取っている。
何度1万円札を数えても5枚しかない為、惷麗は男達の股間を踏み付けては痛みを与えていた。
傍から見れば可愛い美少女の2人組だが、惷麗は性別反転している男であり、キギナ・メグド・ナールは死神の娘だ。
どちらも人間では無く、異形に分類される種族である。
何故、普段から仲の悪い惷麗とキギナ・メグド・ナールがつるんで行動しているのかと言うと──、主人であるマオを誘ったが完全にフラれ、相手にしてもらえなかったからだ。
惷麗もキギナ・メグド・ナールも下心を全開にギラギラさせて異性をナンパしまくり、異性を食い物にしているけしからん男達を引っ掛けては、ヤクザ並みに容赦無く現金を巻き上げていたのだ。
惷麗もキギナ・メグド・ナールも遊ぶ為に必要な金を持っていなかった為、持ってる奴等から奪うしか方法が無かった。
とは言え、誰でも構わず狙って金を奪っている訳では無く、ちゃんと悪さをしている男達を選んでいるのは良心的だった。
2人がしている事は完全に犯罪なのだが、人間では無い惷麗とキギナ・メグド・ナールが律儀に人間の決まりを守る訳が無かった。
例え犯罪を犯したとしても、一々気にしないのが異形なのだ。
キギナ・メグド・ナール
「 惷麗、コイツ等の魂回収しちゃって良いかしら? 」
惷麗
「 好きにしろ。
死体は警察に見付けられない様に上手く捨てろよ 」
キギナ・メグド・ナール
「 抜かり無いわ!
死体には目印を付けて海に捨てるから、怪異が始末してくれるわよ。
骨も残らず食べてくれるわ★ 」
惷麗
「 確かだろうな?
身元の分かるヤツは全部、処分しとかないと──。
燃やしとくか 」
惷麗陰陽術を発動する。
身分の証明になりそうな物を財布事燃やし、証拠隠滅を始めた。
キギナ・メグド・ナール
「 待って、惷麗──。
免許証,保険証,マイナカード,クレジットカードなんかは、高額で買い取ってくれる奴が居るのよ。
そいつ等に売れば、かなりの額の小遣いをゲット出来るのよ★ 」
惷麗
「 おぃおぃ、裏社会のヤバい奴等とでも繋がってるのかよ。
死神が反社とつるんでて良いのかよ?
パパが知ったら大泣きするんじゃないかぁ~~ 」
キギナ・メグド・ナール
「 つるんでないわよ!
私はね、おこぼれを恵んであげてるの!
私は慈悲深い美少女ちゃんだから、心が清らかなのよぉ♥ 」
惷麗
「 清らかなお嬢さんってのはナンパ野郎から金を奪ったりしないだろ 」
キギナ・メグド・ナール
「 人聞きが悪いわねぇ!
奪って無いから!
此は貰ってあげるの。
だって、ほらぁ、コイツ等死人だからぁ★
死人に現金は必要無いじゃないの。
持ち主の居ない金は有効活用してあげないと──でしょ♥ 」
惷麗
「 ──フッ。
その通りだ!
目障りなコイツ等をポイしたら次の対象を狙うぞ! 」
キギナ・メグド・ナール
「 はいはぁ~~い★
魂を~~~~抜いた身体はぁ~~~~海へポッポぉ~~イよ♥ 」
キギナ・メグド・ナールは死神の能力を使い、11名の男性死体を海へ向かってポイっと捨てた。
惷麗とキギナ・メグド・ナールは、次の対象となるナンパ野郎共を探して、白く輝く砂浜を仲良く歩くのだった。