✒ MMQ真夏イベント 後半6
──*──*──*── 地上
苦労して何とか地上に出る事が出来た。
はぁ…………長かった。
だけど、此で第5関門は無事に突破したって事だ。
忘れずに[ セーブ ]をしとく。
[ セーブ ]と言っても上書き保存をする訳じゃなくて、ちゃんと別の場所に[ セーブ ]をしている。
もう要らない[ セーブデータ ]の上に上書き[ セーブ ]する時は有るけどな。
[ セーブ ]も済ませたし、此から聖女を捜査する為に城内を隈無く調べないといけない。
どうやら此処が第6関門みたいだ。
全く……、運営側は関門を幾つ用意してるんだか!
早く聖女を見付けないとだ!!
本当なら手分けをして聖女を捜したいけど、此はゲームだから “ 分かれて捜す ” なんてしないみたいだ。
パーティで行動して、城内を歩き回らないといけない。
丁度4人居るから、2人ずつに分かれて捜せるんだけどなぁ~~。
ゲームって融通の利かない事って有るよな……。
姿を隠せる魔法や気配を消せる魔法でも使えれば、時々遭遇する敵兵士と戦闘する必要も無いんだよな。
セロなら睡眠魔法で城内に居る敵を1人残らず眠らせる事が出来るんだけどな……。
目障りで邪魔な敵兵士を倒しながら進んでいると、年配者のオッサン達が話している声が漏れてる部屋の前に着いた。
声は漏れているけど、話している内容までは分からない。
こういう時に使える盗聴魔法が有れば良いのにな!
マオ:セロー
「{ 何を話してるんだ? }」
霄囹:ゲンブ
「{ ──どうやら、連れ去って来た聖女は1人ではないみたいだぞ }」
マオ:セロー
「{ ゲンブ?!
内容を聞き取れるのか?
凄いじゃないか! }」
霄囹:ゲンブ
「{ ステータス画面に有る “ 音声クリア機能 ” を使えよ。
それでヒソヒソ話も聞こえる地獄耳になれるぞ }」
マオ:セロー
「{ えっ、そんな便利な機能が有るんだ?
知らなかったよ }」
ゲンブに教えられた通りにステータス画面を開いて、“ 音声クリア機能 ” を探してみる。
少しだけ手間取ったけど、“ 音声クリア機能 ” を見付けられた。
マオ:セロー
「{ ──あっ、本当だ!
聞き取り難かった声が凄くクリアに聞こえる!! }」
霄囹:ゲンブ
「{ ──聖女達の居場所が判ったな。
リ◯とナ◯ガには思う存分に魔法を放って、城内で派手に暴れてもらいたい。
リ◯とナ◯ガが敵兵士を引き付けて誘導してくれている間、僕とセローは聖女達を助けに行くぞ }」
マオ:セロー
「 えっ?
{ でも──、リ◯さんとナ◯ガさんは犬猿の仲だよな?
組ませて大丈夫なのかよ? }」
霄囹:ゲンブ
「{ あのなぁ、付き合いの短い相手と組むより、付き合いの長い顔見知りと組んだ方が動き易いだろ。
相手の短所も長所も把握してるだろうしな。
敵兵士を混乱させ、誘導する大役は規格外の魔法を使える2人にしか任せられないんだよ! }」
ゲンブの言葉にリ◯さんもナ◯ガさんも承諾してくれた。
2人の素直な反応が逆に恐い……。
何かとんでもない事を仕出かそうとしてないよな?
笑顔で送り出してくれるリ◯さんとナ◯ガさんを部屋の前に残して行くのは不安だけど、2人共一流の魔導士だから大丈夫……だよな??
ちゃんと手加減も出来る人だもんな??
ゲンブと一緒に聖女達が囚われている《 百合加護の箱庭 》を目指して走る。
何で “ 揺りかご ” じゃなくて、“ 百合加護 ” なのかは分からないけど、百合の花が咲き誇っている箱庭なのかな??
ネーミングセンスの無い運営さんが付けた名前かも知れないな。
──*──*──*── 百合加護の箱庭
目的地に到着した。
この部屋の中に連れ去られた聖女達が囚われているんだ!
第6関門も無事に終わったって事だな。
忘れずに[ セーブ ]をしておく。
いよいよ、第7関門か。
どうか、此で関門は終わりであってほしい!!
これ以上続いたら、流石にオレでも運営側にクレームを送ってやるぅ!!
バタンッ──と立派な両扉を勢い良く開けて、中へ足を踏み入れる。
その部屋には穢れを未だ知らない出来立てホヤホヤな純白のドレスの様に真っ白くて綺麗な百合の花が咲き誇っていた。
百合の花が一面を覆っているか床が見えない。
マオ:セロー
「 …………………………すげぇ……。
本当に百合が咲いてるなんて…………!! 」
霄囹:ゲンブ
「 甘い香りがするな。
百合から出ているみたいだ 」
マオ:セロー
「 百合の花は綺麗だけど──、肝心の聖女達が居ないんだけど? 」
霄囹:ゲンブ
「 …………………………上から垂れてるテラテラした液体は何だ? 」
マオ:セロー
「 確かにな!
彼方此方から垂れてるみたいだけど──、上に何か有るのかな?? 」
ゲンブと顔を見合わせてから、テラテラとした液体を垂れ流している正体を突き止める為、同時に天井を見上げる事にした。
…………………………涎じゃないよな??