✒ 饅頭こわい 3
幻夢さん,玄武さん,弓弦さんの話を聞いた事を簡単に纏めてみると──、毒抜きをする為に干している蜂を摘まみ食いするのは、子供には良く有る事で大体は大人に見付かって怒られるらしい。
干した蜂を香ばしく炒った後、塩を振ったり砂糖をまぶしたりして食べたり、蜂蜜や庵を絡めて食べたりしていたらしい。
現代では油でカラッと揚げた後に塩を振ったり、砂糖をまぶしたり、蜂蜜や庵を絡めて食べると美味しいらしい。
現代では──って事は、現代でも暇さえ有ればスズメバチを捕まえて食べてたりするって事ぉ?
恐いんだけどぉ!!
獅聖幻夢
「 蒸しても煮詰めても美味しいですね 」
弓弦
「 私の故郷では茹でてもいたな。
茹でた蜂を他の食材と敢えたり、挟んだりして食べていた 」
玄武
「 我が人間だった時は、蒸したのも茹でたのも苦手だったな。
甘辛く煮詰めたのは食べれていたがな。
燻して燻製にしたのが好きだったのが懐かしいな 」
………………嫌だよ、3人共蜂料理の話を楽しんでるぅ!!
オレには付いて行けない!!
マオ
「 えと──、じゃあさ、この蜂饅頭は3人で仲良く分けて食べてよ。
オレは用事が有るから出掛けないと!! 」
弓弦
「 マオ──?? 」
オレは椅子から腰を浮かせて立ち上がると、そそくさと食卓テーブルから離れる事に成功した!
2階の寝室に上がると逃げ場が無いから、玄関に向かって走る。
靴を履いて、ドアを開けたら避難が出来るんだ!
用事なんて何も無いけど、オレは心のオアシスと化しているマックンナルドへ避難して、閉店時間まで時間を潰そうと思っている!
涼しい店内で全メニュー制覇をしてやるんだ!!
玄関のドアノブに手を伸ばして掴もうとしたら──、先にドアが開いた。
誰かが入って来る。
また来客の類いかよ?
クッソ、此じゃあ外に出られないじゃ無いかぁ!!
???
「 マオ、何処かへ出掛けます? 」
オレに声を掛けた人物の声は聞き覚えの有る惚れ惚れする美声だった。
女だったら、腰が砕けて地面とキスしちゃう殺人的な美声──。
マオ
「 セロ──(////)
何で──?? 」
「 今夜は帰れないです 」って言って出掛けて行った筈のセロが、何でこんなに早い時間に帰って来ちゃったんだ!?
どゆことだよ!?
神懸かってるタイミングの悪さだ……。
セロフィート
「 はい?
今朝のマオが寂しそうでしたし。
早目に切り上げて帰って来ましたけど──。
どうやら、その必要は無かった様ですね 」
セロはリビングで食卓テーブルを囲んでいる客人達の姿を見て、困った様な顔をしながら笑っている。
ぶっちゃけ、本心は全く困ってないんだろうけどな!
ミニマムキノコンにでもオレの監視させてんのか、セロぉ~~!!
マオ
「 ──あ、えと……幻夢さん,玄武さん,弓弦さんが来てくれたから賑やかになったよ── 」
セロフィート
「 その様ですね。
マオは遊びに来てくれた御客様を残してこのまま出掛けます? 」
マオ
「 う、うん……。
そりゃあ…………出掛けたい……かな。
マオキノもセノコンも居てくれるし、セロも帰って来てくれた訳だしな? 」
セロフィート
「 それは困りましたね。
お土産を買って来たんですけど── 」
マオ
「 お土産って?? 」
オレって「 お土産 」って言葉に弱いんだよなぁ~~。
どんな土産なのか分からないと気になって、出掛けたいけど出掛けられないよ……。
セロフィート
「 蜂の子です。
マオに食べてもらいたくて買って来ました♪
調理はセノコンとマオキノに任せます 」
終わったぁ~~~~。
確実に避難、決定ぇ~~。
今は蜂の子なんて絶っっっ対に食べたくないんだ!!
マオ
「 嘘だろぉ…………。
オレ、今さっき迄、蜂饅頭を食べてたんですけどぉ!! 」
セロフィート
「 それは良かったです♪
蜂の子は柔らかいので食べ易く美味しいです。
きっとマオも気に入ります♪ 」
嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
何で縒りに縒って蜂が続くんだよ!!
今夜は完全に蜂料理しか食べれないじゃんかよぉ!!
今日のオレには此処は地獄と化したぁぁぁぁぁぁ!!
獅聖幻夢
「 今夜は蜂料理ですか?
豪勢ですね 」
弓弦
「 どんな蜂の子料理を食べれるのか楽しみだな、マオ 」
玄武
「 良かったではないか、マオ。
今夜は御馳走だな 」
マオ
「 ……………………………………ははは………… 」
オレには豪勢でもなければ、御馳走でもないんだよぉ~~~~。
勘弁してほしい……。
セロフィート
「 折角ですし、幻夢さん,玄武さん,弓弦さんも食べてください。
沢山買って来てますし、十分足ります 」
セロの言葉に幻夢さん,玄武さん,弓弦さんは嬉しそうな顔をしている。
マオキノとセノコンも殺る気満々の時みたいに、腕を奮える事に喜んでるみたいだ。
新たな地獄の幕開けだぁ~~。
セロが帰って来ちゃったし、もう逃げれないんだ……。
トホホホホ……(;´д`)
この後の夕食には、蜂の子がふんだんに使って作られた甘露煮,佃煮,炊き込みご飯,ふりかけ,塩炒り,串焼き,天ぷら,かき揚げ,茶碗蒸し,だし巻き玉子,しゃぶしゃぶ,バターソテー──等々、気合い入りまくりな蜂の子料理が食卓テーブルに並んだのは言うまでもないよな?
皆で食卓を囲んで食べるのは楽しいだろうけど──、当分は蜂も蜂の子も見たくないや……。