✒ 顔の変わる人形 8
シュンシュンが呪文を唱えると赤色だった幻炎の色がオレンジ色に変わり始めた。
オレンジ色と赤色が交互に変わりながら、混ざり合いながら次第に紫色に染まって行く。
紫色から青色に変わると最後には薄い蒼色に落ち着いた。
幻炎の色が変わる理由をオレは知らないから、「 綺麗だな 」ぐらいにしか思わない。
キノコン達は未だうちわで幻炎を扇いでるのかな?
霄囹
「 ──大人しく、僕の式隷に下れぇ!! 」
呪文を唱え終えたシュンシュンが真っ赤な御札を8角形のキャンプファイヤーへ向けて法力で飛ばす。
大量の真っ赤な御札が丸太の隙間から中へ入り込むと、丸太から大量の血が流れ出て来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
マオ
「 ど…どゆことぉ~~~~?!
シュンシュン、何で血が流れ出て来てるんだよぉ!! 」
霄囹
「 慌てるな、落ち着けよ、マオ──。
実際には何も流れ出てない。
此は本来、肉眼では見えないモノだ。
どうやら、間違い無く、マオは麼白の影響を受けてる様だな。
喜べよ、マオ。
霊視眼鏡に頼らなくても見える様になったんだ。
おめでとう! 」
マオ
「 ちっとも『 おめでとう! 』じゃないし、嬉しくない!!
見えないモノなんて、見えないままで良かったんだよっ!! 」
霄囹
「 諦めろよ、マオ。
こうなる運命だったのさ。
腹を括って素直に受け入れろ。
それが1番だぞ★ 」
マオ
「 今度、セロに “ 見えない眼鏡 ” を作ってもわないといけなくなったじゃないかよ…… 」
最悪だぁ~~!!
1番嬉しくない、望まない結果になってしまった。
呪靈を眷属にするなんて、間違ってたんだ!!
此はちゃんとセロに抗議しないとだぞ!
マオ
「 シュンシュン──、赤い御札は何の為に丸太の中へ飛ばしたんだ?
それに炎の色だって何度も変わってたしさ── 」
霄囹
「 幻炎の色が変わったのは、うちわの風力で中に閉じ込めてる怪異や霊的存在を混乱させる為に故意に変えていたのさ。
方向感覚を狂わせてる感じだと思えば良い。
赤い御札は霊的存在を排除する為に入れたのさ。
赤い御札の中に霊的存在を閉じ込め、最後に本物の炎で燃やしてしまうのさ 」
マオ
「 も…燃やすって──。
随分と乱暴な処分の仕方だな…… 」
霄囹
「 安心しろ。
元は残留思念体だ。
気に止む必要は無い。
遠慮無く燃やせば良いんだ 」
マオ
「 そっか……。
じゃあ、キャンプファイヤーの中は怪異だけが残ってる状態なんだな 」
霄囹
「 既に僕の式隷になってるぞ。
後はキノコンに任せて帰るだけだ 」
マオ
「 未だ幻炎が燃えてるのに良いのか? 」
霄囹
「 直ぐに消える。
触っても何とも無んだ。
じゃあ、城を見て回ってから、僕の本邸へ行くか 」
マオ
「 城の中も見れるのか? 」
霄囹
「 城の中はスッカラカンだぞ。
何処の城も中身まで使ってないんだな
プラモ見たいに外観だけ見て楽しむんだ 」
マオ
「 そうなんだな……。
見て楽しめるのは、外観と庭園だけなんだ…… 」
そんな訳で、シュンシュンが呼び出した式神の背中かに乗せてもらって、飛び立つ。
マオ
「 シュンシュン、一緒に来たキノコンを置いてって良いのかよ? 」
霄囹
「 問題無い。
キノコンは自力で異界から出られるんだ。
帰りたきゃ自分で《 陰陽師4事務所 》に戻るさ。
お祓い場所の近くには、キノコン達が勝手に作った《 キャンプ地 》も在るしな 」
マオ
「 そ、そうなんだ?
《 キャンプ地 》を作って暮らしてる──って事か。
でもさ良いのか?
シュンシュンの異界なんだろ?
キノコン達に占領されたりしないのか? 」
霄囹
「 別に構わないさ。
僕の本邸もキノコン達に管理させてるんだ。
≪ キノコン王国 ≫を捨てて移住なんかして来ないだろ 」
マオ
「 シュンシュンが良いなら別に──。
あっ、じゃあさ──、城の中をキノコン達に作ってもらったら良いんじゃないか?
庭園の管理もキノコン達に任せたら良いじゃんか。
10kmも離れてるならさ、線路を作ってトロッコでも走らせたら良いんじゃないのか? 」
霄囹
「 マオが城に泊まったり、トロッコに乗るってんなら、キノコン達も喜んで作るんじゃないか?
城内の設計図ならセロフィートに〈 テフ 〉で構成してみれば良
マオ
「 じゃあ、オレからセロに相談してみるよ!
セロに許可をもらえたら、キノコン達も直
霄囹
「 僕の異界も賑やかになるねぇ 」
シュンシュンが怪異を式
シュンシュンの異界がキノコン達に占領されないか一寸
そう思いたい。
結局──、人形の顔が変わる瞬間も見れなかったな……。