⭕ 幻夢とデート 8
幻夢さんの呪舞が終わると、陰陽陣から出る様に言われた。
陰陽陣から出たオレは、幻夢さんの隣に移動する。
陰陽陣に目を向けてみたら、ドス黒くて禍々しく見える “ 何か ” が不気味に蠢いている。
マオ
「 げ…幻夢さん──、あの黒くて不気味なのは何かな…?? 」
オレは思わず幻夢さんの後ろに隠れた。
獅聖幻夢
「 マオ殿にも見えますか。
成功した様ですね。
マオ殿、陰陽陣の中に閉じ込めているアレが、マオ殿に取り憑いていた呪怨霊の正体です 」
マオ
「 嘘だろぉ…………。
あんなおっかないのが…………オレに取り憑いていたって──?? 」
はぁ~~~~なんですけどぉ!?
オレには全く見えなかったから分からなかったけど、あげな危険物が今迄オレにベッタリとぉ~~~~!?
此は帰ったらセロに問い質さないと駄目なレベルじゃないか?!
セロめぇ~~~~!!
獅聖幻夢
「 確り引き剥がせた様ですね。
それでは今から、陰陽陣の中へ呪靈を向かわせます。
呪靈達が呪怨霊を喰べてくれます 」
マオ
「 えと──、陰陽陣の中に入らせる呪靈って10体って事? 」
獅聖幻夢
「 そうです。
きっと喰べ堪えの有る呪怨霊でしょうね 」
マオ
「 ……………………………… 」
ワクワクしている様に見える幻夢さんに対して、オレは何も言えなかった。
10体の呪靈が陰陽陣の中へ入って行くのを黙って見ている事しか出来ない。
10体の呪靈が、ドス黒くて禍々しく不気味に蠢いている呪怨霊の中へ取り込まれる様に消えて行く。
マオ
「 何も見えなくなったね…… 」
獅聖幻夢
「 マオ殿、この近くに飲食店が在ります。
夕食を済ませてから戻って来ましょう 」
マオ
「 うん…… 」
オレは幻夢さん手を掴まれる。
そのまま工場を後にした。
──*──*──*── 工場
リッチな飲食店で遅めの夕食デートを済ませた幻夢さんとオレは、再び工場へ戻って来た。
陰陽陣の中を覆っていたドス黒くて禍々しく不気味に蠢いている呪怨霊は嘘みたいに跡形も無くなっていた。
代わりに陰陽陣の中に居たのは────。
マオ
「 幻夢さん!
何で陰陽陣の中に赤ん坊が居るんだろう??
一体何処から迷い込んだんだろうね? 」
獅聖幻夢
「 マオ殿、あの赤ん坊は呪靈ですよ 」
マオ
「 は?
呪靈??
どう見ても人間の赤ん坊に見えるけど?? 」
獅聖幻夢
「 いいえ、アレは間違い無く呪靈ですよ。
人間を思わせる容姿をしていますけど──、アレは新種の呪靈です 」
マオ
「 し…新種の呪靈??
えっ…………どゆことぉ?!
幻夢さんの呪靈が呪怨霊を喰べたんじゃないの??
何で新しい呪靈が生まれちゃうの?? 」
獅聖幻夢
「 陰陽陣の中で何が起きたていたのか──、それは私にも分かりません。
唯言える事は、私の生み出した呪靈達が間違い無く、呪怨霊を “ 喰らい尽くせた ” と言う事です。
それがどうして赤ん坊に姿を変えたのかは分かりません 」
マオ
「 ……………………赤ん坊なのに髪が白いんだな…… 」
獅聖幻夢
「 新種の呪靈を見せれば、セロ殿も喜ばれます。
呪靈ですから、此れからはより人間らしい容姿の呪靈を増やせるかも知れません 」
マオ
「 た…確かに……。
じゃあ、あの新種の呪靈はセロに献上るするって事? 」
獅聖幻夢
「 そうなります。
特殊な布で包みしょう 」
幻夢さんは再び狩り衣の袖の中から何かを取り出す。
真っ白い布だ。
陰陽陣の中へ入った幻夢さんは、赤ん坊を真っ白い特殊な布で包むと両手で抱き上げた状態で出て来た。
マオ
「 …………寝てるみたいだね? 」
獅聖幻夢
「 可愛い寝顔に騙されないでください、マオ殿。
この赤ん坊は危険極まりない未知なる呪靈です。
警戒を強め、危険視してください 」
マオ
「 う、うん…… 」
自分と瓜二つの複製呪靈を2体も作ったり、大量の呪靈や更に強くてヤバい特級呪靈を生み出して、改良した呪靈まで作って従えてる危険人物の御手本みたいな幻夢さんが傍に居てくれるんだから大丈夫な気もするんだけどな~~。
言わないでおこう……。
獅聖幻夢
「 セロ殿にとっておきのお土産が出来て良かったですね、マオ殿♪ 」
幻夢さんは嬉しそうだ。
どうなってしまったのか分からない10体の呪靈の心配はしてないのかな?
幻夢さんにとって呪靈は使い捨ての消耗品なのかも知れない。
特級呪靈じゃないからかな?
でも──、「 改良した呪靈の性能を試してみたい 」みたいな事を言っていたから、犠牲になったのは普通の呪靈じゃなくて改良した呪靈の方かも知れない。
幻夢さんとオレは工場を出ると裏野ハイツへ帰る事にした。
工場へ着く迄は楽しいデートだったのに、最後にはとんでもないデートになっちゃったな……。
当分の間は幻夢さんとのデートは遠慮したいな──。
何はともあれ、無事にデートが終わって良かったぁ~~~~(////)
◎ 訂正しました。
とっておきの(・) ─→ とっておきの