⭕ 幻夢とデート 3
獅聖幻夢
「 マオ殿、此方は私の担当をしてくれている穹夂さんです 」
穹夂
「 初めまして、穹夂晟と言います。
貴方が獅聖先生の婚約者さんですか?
……………………可愛いですね(////)」
幻夢さんの担当者って人は、女装をしているオレを見て顔を赤らめている。
複雑な心境だ……。
だけど、ちゃんと笑顔を張り付けとかなといけない。
獅聖幻夢
「 穹夂さん、私の婚約者を口説かないでくださいね 」
穹夂 晟
「 なっ──(////)
く、口説きませんよっ!!(////)
えぇと…………因みに未成年ですか?? 」
獅聖幻夢
「 此でも彼女は20歳過ぎですよ 」
マオ
「 初めまして、宜しくお願いします 」
笑顔、引き吊ってなきゃ良いんだけどな……。
声色は首に巻いてるレースのリボンに掛けられている古代魔法の効果で、ちゃんと女性の声に聞こえている。
マオキノとセノコンが拘ってオレの声を決めてくれたんだよな──。
それにしても、幻夢さんがセロと被って見える。
口調も雰囲気もセロに似てるもんな~~。
マオ
「 えぇと──、打ち合わせでもするんですか? 」
穹夂 晟
「 あ、はい。
水墨画専門雑誌が有りまして、再来月号に掲載される対談の件で話の擦り合わせをする予定なんです 」
マオ
「 えと、私はどうしたら良いのかな??
邪魔にならない様に同伴しない方が── 」
獅聖幻夢
「 マオを1人にはしませんよ。
私の婚約者なのですから同伴してください。
構いませんよね、穹夂さん 」
穹夂 晟
「 あ……はい。
そうですね。
婚約者さんを1人にするのは良くないです!
ガッツリと同伴してください!! 」
マオ
「 あ、有り難う御座います…… 」
鼻息の荒い穹夂さんが許可してくれた事もあり、幻夢さんと幻夢さんの担当者の穹夂さんの話し合いに婚約者のオレも同伴する事になった。
──*──*──*── 打ち合わせ室
穹夂 晟
「 ──では、今回の擦り合わせは此処迄にしましょう。
婚約者さんとのデート、楽しんでください。
僕は他の用事が有りますから、お先に失礼します 」
マオ
「 お疲れ様でした 」
穹夂さんは幻夢さんとオレに頭を下げると打ち合わせに使った部屋から出て行った。
マオ
「 雑誌の打ち合わせって初めて見たよ!
あんな風に話し合いを進めるんだね。
やりとりを見ていただけなのに柄にもなく緊張しちゃった(////)」
獅聖幻夢
「 退屈では有りませんでしたか? 」
マオ
「 大丈夫だったったよ。
担当さんが出してくれたロールケーキ、美味しかったし♪ 」
獅聖幻夢
「 私達も部屋から出ましょう。
展示場には、お土産の販売もされているんですよ 」
マオ
「 お土産?
水墨画関連のって事?
気になる!
皆に買って帰ろうかな~~ 」
獅聖幻夢
「 マオ殿の御眼鏡に適う品が有ると良いですね 」
マオ
「 うん! 」
という訳で、幻夢さん一緒に打ち合せ室を出て、お土産の売店へ向かった。
──*──*──*──* 土産販売店
幻夢さんに案内されて到着した場所には、《 土産販売店 》と看板が掲げられている。
販売店の横には【 セロッタ商会・出張店 】とプリントされた幟が立っている。
どうやら此処でもセロカ会員への募集を募ってるみたいだ。
マオ
「 《 セロッタ商会 》が絡んでるって事は、店員は〈 器人形 〉なんだな。
水墨画展示会のバックスポンサーって《 セロッタ商会 》だったりするの? 」
獅聖幻夢
「 そうですね。
セロ殿は芸能業界だけでなく、芸術業界でも手広く活躍されていますね。
水墨画だけでなく、水彩画,油絵,骨董品,アンティーク等々──、あらゆる分野に手を回しています 」
マオ
「 そうなんだ…… 」
獅聖幻夢
「 来年には≪ 日本国 ≫全土から回収した贋作を主役とした【 日本の贋作展 】を開催するそうですよ 」
マオ
「 贋作展??
そんなに贋作って有るんだ? 」
獅聖幻夢
「 贋作の存在は、本物の作品を引き立て、本物の価値を更に引き上げてくれる存在なのだそうです。
現に贋作の多い作品は、有名で多くの注目を集めています。
贋作と言えど、ただ真似て描いているのではなく、贋作家の拘りが見え隠れしています。
本物との些細な違いを見分けるのも楽しみの1つです。
本物を知る目利き力を場にもなるでしょうね 」
マオ
「 それなりの腕とセンスを持ち合わせた人じゃないと贋作は描けないって事か。
一寸楽しみかも 」
獅聖幻夢
「 贋作家の紹介を映像で見れる様にするそうですよ 」
マオ
「 再現ドラマみたいな感じかな? 」
なんて事を幻夢さんと話しながら、お土産を見て回る。
《 セロッタ商会 》が絡んでるって事もあって、ちゃっかりセロカ君とのコラボ商品も置かれている。
限定販売品みたいで、商品の店内在庫も少なくない。
御客の中には、ごっそりと買って行く人も居て、セロカ君の人気度の高さが分かる。
マオ
「 あっ、扇子だ!
水墨画が扇子になってる。
墨で描かれてる雀、可愛いな~~ 」
獅聖幻夢
「 それは雀ではなく、“ 雪の妖精 ” と呼ばれているエナガですね。
◯◯◯◯先生の作品ですよ。
特に鳥の水墨画を得意としています。
エナガは特に女性から人気が有るので直ぐ売り切れてしまうそうです 」
マオ
「 エナガって白くて可愛いもんな。
鳥を描くのが得意な人か── 」
獅聖幻夢
「 ◯◯◯◯先生の作品なら──、手拭いと下敷きも有ります 」
マオ
「 他には無いのかな?
この扇子は、セロと弓弦さんと玄武さんに買おう!
オレは下敷き!
手拭いはマオキノとセノコンに──。
シュンシュンとキギナは何にしようかな 」
獅聖幻夢
「 マオ殿、虎はどうでしょう 」
マオ
「 虎?
うわっ、迫力の有る手拭いだね!
勇ましい虎がカッコいい!!
シュンシュンは好きかな?
キギナには── 」
獅聖幻夢
「 梅の花はどうですか。
花だけ赤墨で描かれています 」
マオ
「 わぁ……。
赤い梅が映えてるね。
よし、虎の手拭いをセロとシュンシュンに買って、梅の花の手拭いをセロとキギナに買おっと 」
獅聖幻夢
「 買う品が決まって良かったです 」
マオ
「 幻夢さん、有り難う!
皆へのお土産が買えたよ! 」
獅聖幻夢
「 どう致しまして。
マオ殿のお役に立てて嬉しいです(////)」
マオ
「 幻夢さんは何が欲しい?
オレが買うよ!」
獅聖幻夢
「 良いのですか?
有り難う御座います(////)
では──、私も扇子にします 」
マオ
「 セロ,弓弦さん,玄武さんと御揃いだね 」
獅聖幻夢
「 はい(////)」
幻夢さんと一緒に決めた品を買って《 土産販売店 》から出る。
幻夢さんの作品は未だ商品化されてないらしく、残念だった。