⭕ 少年陰陽師★平安幻想異聞録 1
──*──*──*── 2階・居間
起きてしまった事件の事をとやかく言っても始まらない。
凍死してしまった人間は、何をしたって生き返りやしないんだから、忘れてしまえば良い。
幸いな事に──って訳じゃないけど、学校の校庭で凍死した多くの被害者達は、全国で指名手配をされている犯罪者達,現在も逃走中の犯罪者達,何処かに潜伏していた犯罪者達,事件や事故を起こそうと計画を立てて虎視眈々とチャンスを狙って犯罪を犯そうと考えていた犯罪者予備軍達だ。
セロの言う通り、犯罪者の大掃除が出来たんだから良かったような気もしない訳じゃない。
一気に多くの犯罪者達が凍死したんだから、治安も多少は良くなるかも知れない。
うん、なんかそんな気がして来た。
玄武さん,弓弦さん,シュンシュンは【 サンタクロース凍死事件 】を引き起こした真犯人がセロだって事に気付くかな?
セロと似たような思考をしていそうなシュンシュンは兎も角、真実を知った玄武さんと弓弦さんはセロに対してドン引きするかも知れない。
セロは当然の様にオレへカミングアウトしてくれちゃった訳だけど、オレはセロが犯人だって事を誰かに打ち明けるつもりも無ければ、バラすつもりもない。
況してや警察,記事を書く新聞社にリークするなんてしない。
セロはオレの全てで1番だ。
他人へセロを売ったりしない!
…………………………はい、嘘吐つきました。
オレの為のクリスマスプレゼントって事はだよ、完全にオレも関係者になるわけだ。
知らない内にオレはセロの共犯者にされていたって事だ。
警察や記者に言えるわけないだろ!!
オレ迄、疑われちゃうだろが!!
昨日のセロが発した言葉の中には、注意深く聞いていれば「 ん? 」って首を傾げるような “ 怪しい ” 言葉があったかも知れない。
普通の状態ならば、気付けたかも知れない筈の違和感に対して、オレは全く気付けなかった。
何故かって?
セロと『 大人のおまじない 』や『 いいこと 』が出来るって受かれていたからだ。
“ 恋は盲目 ” とは良く言ったもんだ。
昨日のオレは完全に、セロに対して盲目になっていた。
だから、本来なら首を傾げてしまうような違和感のある言葉に気付けず、スルーしてしまったんだと思う。
だから──、今回の事件に関してもオレは知らん存ぜぬを貫くつもりだ。
オレはセロから何も聞いちゃいない。
「 サンタクロース凍死事件?? はぁ? 何それ? エイプリルフールのネタですか?? 」って事だ!!
オレハナニモシラナイヨ!!
──とまぁ、そんな訳で、オレは【 サンタクロース凍死事件 】の事を頭の片隅に追いやる事にして、気分転換にゲームをする事にした!
昨日、セノコンとマオキノがオレの為にクリスマスプレゼントしてくれた【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 】のソフトで遊ぶんだ!
セノコンとマオキノが家庭用ゲーム機のPvS本体とスウィッチ本体を薄型TVに繋いでくれたから、何時でも好きな時に遊べちゃうぞ!
TVの電源を入れて、チャンネルをビデオに変えたら、PvS本体に【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 】のディスクをセットする。
電源を入れて、ソファーに座ったら、画面が立ち上がるのを待つ。
テーブルの上には昨日の駅構内の店で買ったチョコレートやパン,ケーキ,コンビニスイーツ,スーパースイーツと魔法のポットとマグカップを用意して置いてある。
そう──、ゲーム中にソファーから立ち上がらなくても良いように準備をしたんだ。
真っ暗だった画面が明るくなる。
ハードがディスクのデータを読み込んだみたいだ。
画面には写真と見間違えてしまう綺麗な映像が映し出される。
【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 】のOPムービーが平安時代をイメージしたような曲と一緒に流れ始めた。
主人公のモデルはシュンシュン。
声もシュンシュン本人だ。
名前を変更出来るみたいだけど、敢えて変更しないで “ 春舂霄囹 ” のままでゲームを始めた。
確か、最初はプロローグが始まるんだったよな?
マオキノが話してくれた内容を思い出しながら会話のボタンを押す。
完全フルボイスなのが嬉しい。
マオ
「 シュンシュンの声、久し振りに聴いた気がするな…… 」
ボタンを押せば会話が進んでくれるし、ストーリーも勝手に進んでくれるから楽だ。
クリアデータがあると、2週目からはオートモード,スキップモードを選べるみたいだ。
マオ
「 ──シュンシュン、めちゃくちゃ妬まれてるじゃん。
陰陽師の社会ってのは、こんなに泥々してるもんなのか?
こっわぁ~~………… 」
ついつい声に出して突っ込んでしまう。
ヤバいな、プロローグが面白い!!
目が離せない!!
悪役の陰陽師達も良い感じだし、見ていてハラハラしっぱなしだ!
悪役陰陽師達が悪巧みをして、シュンシュンを貶めようとしているシーン…………ドキドキするぅ!!
Sっ気心を掻き立てられるシーンだ!
まるで自分も悪役陰陽師達の仲間になったような気になる。
主人公と敵対する敵側の様子も丁寧に作り込まれていて凄いな……。
流石、妥協を許さない《 セロッタ商会 》が売り出すだけはある。
シーンが変わって、シュンシュン──じゃなくて主人公に切り替わる。
悪役陰陽師達の企みを何も知らないシュンシュンは、悪役陰陽師達に対してフレンドリーに接している。
シュンシュン……もう直ぐ、裏切り者の皆に騙されてとんでもない目に遭うっていうのに……。
悪役陰陽師達の企みと計画を知ってる分、教えてあげられない状況が歯痒くて仕方無い。
兄弟子や先輩達だけじゃなく、弟弟子達や後輩達,同僚達が全員がグルで、シュンシュンを罠に嵌めようとしている。
なんて胸糞の悪い展開になるんだ……。
シュンシュンは純粋に皆を──、仲間を信じて頑張ってるのに!!
画面を見ているオレ迄、仲間達に裏切られる気分だ。
見ているだけなのに、シュンシュンを裏切ろうとしている奴等に対して沸々と怒りが込み上げて来る。
裏切られるのは未々先みたいだけどな。
画面がドット絵に変わった。
シュンシュンを動かせるようになったみたいだ。
マオ
「 チュートリアル??
プロローグなのに戦闘シーンがあるって事かな? 」
シュンシュンが居る場所は現代風の陰陽院の中みたいだ。
現代にも陰陽院がある設定なんだろうな。
陰陽院の中に入った事がないから、本当にこんな感じなのか分からないけど、むちゃくちゃ広いな…。
シュンシュンのイラストが出て、「 何処へ行こう? そうだ、中庭へ行ってみよう! 」って台詞が出る。
兎に角、中庭を目指せば良いんだな。
地図が右上に出ているから迷わずにシュンシュンを動かせるのは助かる。
地図を見ながら中庭を目指してシュンシュンを動かす。
中庭に出るとドット絵から写真みたいに綺麗な日本庭園のイラストに切り替わる。
ヤバい…………綺麗過ぎる。
画面に選択肢が出た。
マオ
「 え~~と、〔 散歩 〕〔 散策 〕〔 戻る 〕の3択か。
〔 戻る 〕にすると陰陽院の中庭に戻るんだよな?
〔 散策 〕か…。
〔 散歩 〕とは何かが違うんだよな? 」
オレは試しに〔 散策 〕を選択した。
画面がドット絵に切り替わって、シュンシュンを動かせるようになった。
中庭の中を動いていると赤字で[ check ]の文字が出ている場所が幾つもある。
[ check ]に近付くと〔 する 〕〔 しない 〕の選択が出た。
オレは〔 する 〕を選択した。
シュンシュンが動くと[ check ]の文字が消える。
ピロン──と音が鳴るとアイテムのイラストが画面に出た。
[ 藁人形を手に入れた! ]って文字が出る。
藁人形の説明文には、[ 依り代。式神召喚に使用する ]って書かれている。
マオ
「 依り代か。
式神を召喚する時に選べるのかな?
よし、[ check ]の場所を全部チェックしてアイテムをゲットするぞ! 」
シュンシュンを動かして全部の[ check ]をチェックして、アイテムをゲットした。
殆んどが依り代に使うアイテムだった。
呪符,御手玉,オハジキ,キーホルダーも入手した。
御手玉の絵柄はセロカ君で、キーホルダーもセロカ君だ。
ちゃっかりセロカ君を売り込んで宣伝してるよ。
呪符は戦闘中に使えそうだけど──、他のは何処で使うんだろうな?
使い道があるのかすら分からないや。
[ check ]が消えると画面に選択が出る。
〔 散歩 〕〔 戻る 〕の2択だ。
オレは〔 散歩 〕を選ぶ。
画面がドット絵からイラストに切り替わる。
〔 散歩 〕を選択するとシュンシュンを動かさなくても話が進むみたいだ。
シュンシュンの前に人物が現れる。
年配の陰陽師だ。
シュンシュンの師匠かな?
年配の陰陽師とは会話が始まる。
年配の陰陽師は、意味深な事を言い残して去って行った。
マオ
「 何か嫌な感じの陰陽師だったな。
──何か拾った?
何だろう?? 」
アイテム欄に同人誌が追加された。
…………年配の陰陽師は何で同人誌を持ってたんだろう??
まぁ、良いか。
使い道は分からないけど、何処かで使えるかも知れない。
年配の陰陽師とのイベントが終わって、画面に〔 戻る 〕が出た。
中庭での用事は済んだみたいだから、オレは〔 戻る 〕を選択した。
陰陽院の中へ戻るとシュンシュンのイラストが出て「 訓練場へ行ってみようかな 」って台詞が画面に出る。
画面がドット絵に切り替わる。
地図を見ながらシュンシュンを動かして訓練場を目指した。
◎ 訂正しました。
聞いちゃない。─→ 聞いちゃいない。
【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 】ソフト ─→ 【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 】のソフト