⭕ お祓いの依頼 15
霄囹
「 チッ──。
中庭,裏庭だけじゃないな。
池の中にも何か仕込まれている。
被害者に寄り添う振りをして、霊能力者は風水すらも悪用してるみたいだな。
全く──霊能力者ってのは罰当たりな輩が多い 」
マオ
「 風水を悪用しても罰当たりにはならないんじゃないのか?
宗教とは無関係なんだろ? 」
霄囹
「 僕の助手なのに体たらくな回答だな!
世の中は信仰の中で生活しているんだぞ。
大自然の惠みと大自然の恩惠を受けて生かされているんだ。
生物が生きる為に必要としている酸素も大自然が生み出しているんだぞ。
この大自然を管理しているのが “ 神佛 ” と呼ばれ、世界中で信仰されている “ 見えない力 ” であるエネルギーの根元だ。
『 生活の中の信仰をしている 』と誤った考え方をしている大抵の輩は、自分は “ 無神論者 ” と主張しているが、とんだ勘違い野郎って事だ。
無神論者だと言い張る奴等は、大自然の惠みも大自然の恩恵も全否定し、『 酸素は要らない 』と大々的に公言しているイカれ野郎の恩知らずだ。
『 宇宙空間に放り出されても自分は生きられる 』とド阿呆な事をドヤ顔で公言し、威張ってるのが “ 無神論者 ” だ。
それぐらい覚えておけよ 」
マオ
「 シュンシュン…………今のは世界中の無神論者を敵に回したんじゃないのか? 」
霄囹
「 そうか?
なら、セロフィートのモルモットにすれば良いだろ。
それが可哀想なら、望み通り宇宙空間にポイしてやれよ。
無神論者共は涙を流して歓喜するだろうよ。
何せ念願叶って本当の無神論者になれて死ねるんだからな★ 」
マオ
「 まぁ……な。
確かに宇宙空間には空気も酸素も無いから生きられはしないだろうけど……。
歓喜はしないと思うな…… 」
霄囹
「 何はともあれ、風水も信仰の中に存在している。
大なり小なり大自然と関係が有る以上、自身の私腹を肥やす為に商売の道具とし悩める相手を騙すし悪用する──ってのは、“ 罰当たり ” って事になるんだ。
人間視点から見てセーフだと思っている事柄でも神佛から見てアウトであれば、必ず相応の報いを受ける事になる。
因果応報ってヤツだな。
罰当たりな事を平然としている悪党に対しては、気を付けないと弱味を握られ、子供や孫の代もカモられる事になるぞ。
親が確りしないと駄目だ!
霊能力者が来たら僕の名刺を渡して追い返してやれ。
次回、僕が来る迄、絶対に敷地内には入れるなよ 」
そう言ったシュンシュンは名刺ケースを狩衣の袖から出すと、名刺を30枚程抜いて奥さんへ手渡した。
住人の女性
「 まぁ、こんなに?
良いんですか? 」
霄囹
「 1枚1.000円だから── 」
マオ
「 シュンシュン!
名刺で金を取るなよ!
タダでどうぞ 」
住人の女性
「 あ…有り難う御座います。
娘にも持たせます 」
霄囹
「 怪しい奴に声を掛けられたり、勧誘されそうだと思ったら渡してやれ。
僕の名刺は効果抜群だからな! 」
マオ
「 何の効果か分からないのが不安だけどな~~。
シュンシュンは生意気で口調も悪いけど、オカルト番組でも大活躍してる本物の陰陽師だから、信用してくれて良いよ 」
霄囹
「 “ 生意気で口調も悪い ” は余計だろ!
和式から洋式へリホームした時、仏間は何処に移動したんだ? 」
住人の女性
「 仏間ですか?
確かにリホーム前には有りました。
でも、陰陽師様から『 仏間が鬼門になっている 』と言われたので無くしたんです。
和室だったのですが、洋室に変えました。
今は客間となっています 」
霄囹
「 …………………………。
因みに仏壇と位牌は何処に移動させた?
仏間が有ったなら仏壇も有っただろう。
菩提寺には相談したのか? 」
住人の女性
「 菩提寺……ですか?
多分……近所に在った御寺だと思うんですけど──、陰陽師様から言われて檀家を止めてしまいましたので、付き合いは無くなりました。
仏間を洋室へリホームする時に仏壇と位牌は陰陽師様が持って行かれました。
個人で処分をすると粗末になるので、陰陽師様の方で御焚き上げ供養をしてもらえるとの事で──お任せしました 」
マオ
「 …………こんな事って実際に有るんだな……。
和式から洋式へリホームさせて仏間を無くさせて、仏壇と位牌を御焚き上げ供養するって──。
然も、先祖代々御世話になってる菩提寺の檀家を止めさせるなんて── 」
霄囹
「 はぁ……。
その陰陽師──いや、霊能力者は確実に地獄行き確定だな。
来世も期待出来ないだろうよ。
本当に霊能力の有る霊能力者なら、仏間を『 無くせ 』とは言わない。
先祖代々付き合いの有る菩提寺との縁も切らせたりはしない。
仏壇,位牌を処分するなんて罰当たりな事もしない。
霊能力は謂わば、目に見えないが確かに遊在しているエネルギーの根元の一部だ。
エネルギーの根元は、広大な宇宙を動かし、永遠普遍に運営している驚異の大宇宙パワーの根元──主宰者だ。
そんな凄い能力を使わせて頂いている立場の霊能力者が、罰当たりな事をさせる事は無い!
アンタ達が信じている霊能力者は正真正銘、霊能力者と偽る偽者──詐欺師だ!! 」
マオ
「 自信満々だな、シュンシュン 」
霄囹
「 確信したからな!
被害者の会を立ち上げ、裁判を起こし、コテンパンに打ち負かせて良い犯罪者だぞ!!
何が何でも夫と娘を説得して呪物を回収する様にな! 」
マオ
「 貰い物を呪物と決め付けるのは早いんじゃないのか? 」
霄囹
「 そんな事は無い!
実際に買った品の中に呪物が入ってただろうが──。
800万の御札だけじゃ不十分になったじゃないか!
クソッ──、余計な事しやがって!!
僕の方で新しい御宝殿セットを用意してやる。
次回はリビングに床の間を作り、其処に御宝殿を置くぞ 」
住人の女性
「 わ…分かりました。
主人と娘に話してみます…… 」
霄囹
「 詐欺師で犯罪者の霊能力者の名刺か何か持ってないか?
他にも被害者が居る以上、僕が直々に調べ上げて “ 被害者の会 ” を立ち上げてやる。
奴等を訴えて裁判でギリギリと締め上げやるんだ!
クックックッ──全財産は僕が有効活用してやるぞ 」
マオ
「 シュンシュン!
急にどうしたんだよ?
正義の心に目覚めたのか?
人手が要るよな。
幻夢さん,玄武さん,弓弦さんにも協力してもらえないかオレから相談してみるよ!!
裁判するなら費用はオレが出しても良いよ。
霊能力者と不動産屋をズタボロに懲らしめてやろう! 」
霄囹
「 フフン!
分かってるじゃないか!
こんな罰当たりで悪どい詐欺師を何時迄も野放しにしとけないからな!
被害者達から騙し取った金も全額、取り戻すぞ!! 」
マオ
「 シュンシュン!
見直したよ!! 」
霄囹
「 はぁ?
『 見直した 』って何だよ!!
──菩提寺にも事情を話しに行かないとな。
その時は僕も同行するとしてだ──、仏壇を作る場所を浄める物が必要だ。
あまり使いたくは無いが仕方無いか…… 」
シュンシュンは渋々狩衣の袖から何かを取り出した。
マオ
「 キノコンのヌイグルミ??
何でもヌイグルミを使いたくないんだ?
可愛いからか? 」
霄囹
「 高いからだよ!
此は1体で1.000万もする特別なヌイグルミなんだぞ!! 」
マオ
「 はぁ?!
1.000万のヌイグルミぃ~~~~??
シュンシュン、そんな高額なヌイグルミも作ってたのかよ 」
やっぱ、シュンシュンの狩衣の袖の中は四次元ポケ◯トみたいになってるんじゃあ──。
結構、デカいヌイグルミだしな~~。
マオ
「 その篦棒に高いヌイグルミで何しようってんだ? 」
霄囹
「 特殊な素材を使って縫い上げたヌイグルミだ。
コイツは空気中に漂う悪い氣をグングン吸収してくれるんだ。
吸収力抜群な消臭剤や湿気取りみたいだろう!
ヌイグルミに吸収された悪い氣は中に入ってる式隷の餌になる仕組みだ 」
マオ
「 空気中に漂う悪い氣って、捻れてる氣や絡まってる氣と違うのか? 」
霄囹
「 完全に別物だな 」
◎ 訂正しました。
敷地内に入れるなよ ─→ 敷地内に入れるなよ
実際に買った品の中─→ 実際に買った品の中
人手が要るよな ─→ 人手が要るよな
その篦棒に高い ─→ その篦棒に高い
◎ 変更しました。
中に入っている ─→ 中に入ってる